社会的実験としてのコロナウイルス

  山本は今の「新型コロナウイルス」を地球規模での「社会実験」と認識しています…メディアなど既存の制度が全面動員されていることから、すでに実験段階を通り越している気もしますが。

 この社会実験とは、「恐怖」によって人々をコントロールするというものです。個人であれ大衆であれ、もっとも安上がりで有効な人民コントロールのツールは「恐怖」だというのが私の見方。特にそれが生命を脅かす病気をもたらす病原菌で、目にも見えず、源も不明だとくれば、恐怖はさらに増幅します。そうなると市民が取る次の行動は、自分たちを守るよう、何か対策を取れ、と政府に求めることしかありませんーーそのために税金を払っているんですからね。

 一方、この件での日本政府の動きは極めてすばやく、例の「ダイヤモンド・プリンセス」乗客の長期隔離(病原菌を培養?)から始まり、臨時休校の要請などを打ち出しています。これに答えて多くのイベント・行事が中止となり、外出や海外旅行の自粛が広がるなどしていますが、市民の多くはこれを社会を守る対策と考え、おとなしく受け入れているようです。

 でも、政府が根拠法によることなく、事実上、市民の行動を規制し、自由を縛るというのは、本当はありえません。

 で、ここでは公立校の臨時休校の件をとりあげます。

 国内ほぼすべての学校が「安倍総理」の要請に応じて臨時休校中…これには驚きました。

小中学校の臨時休校 全国の98%超(4日午後4時現在)341915

新型コロナウイルスの感染拡大で、国の要請に応じて臨時休校する小中学校は全国で98%を超えています。

文部科学省が4日午後4時までに全国1736の自治体に問合わせた結果、
小学校は、全体の98.8%に当たる1万8923校、
中学校は、99%に当たる9124校が、すでに休校、もしくはこれから休校するということです。
高校は、島根県を除く46の都道府県が休校としています。
特別支援学校は、埼玉県と島根県を除く、45の都道府県が休校としています。
また休校の期間については、
2週間未満が休校した小中学校の19%、
2週間以上3週間未満が休校した小中学校の23%、
3週間以上4週間未満が休校した小中学校の50%でした。

 ①まず、首相には、学校(ここでは公立学校)に対して休校を要請できる権利はありません。なぜなら、教育の自由は憲法などで保障されていて、休校にするかどうかの決定権も学校長にある↓からです。

 第六十三条 非常変災その他急迫の事情があるときは、校長は、臨時に授業を行わないことができる。この場合において、公立小学校についてはこの旨を当該学校を設置する地方公共団体の教育委員会(公立大学法人の設置する小学校にあつては、当該公立大学法人の理事長)に報告しなければならない。 (学校教育法施行規則)

 上記マーカー部分、「非常変災その他急迫の事情」については、細かい規定=判断基準=はありません。こういう場合、学校長は臨時に教育委員会などを開き、現地の実態や今後の見通し、市やPTA、親の意見なども入れて、独自に判断する必要があります。盲目的に「上級庁」の求めに応じるのではなくね。

 ②次に、「教育」の事業主体は「地方自治体」であり、その意味でも、国の方針を盲目的に実行するのは間違いです…特に日米のような政治システムの国では、どんな口実であれ、教育に「国家」が介入する目的は市民コントロールのためだからです。

 ウソだと思うなら、法律でも、教育に対する国家支配を排除するための規定があることを知っておいてください。

第10条 (教育行政) 教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負つて行われるべきものである。

教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない。

 上記は「旧」教育基本法(1947年)から。「不当な支配」とは、国、政治家、大企業、組織などが、その社会的圧力、脅しや詐欺、ペテンによって国民を「従属」させることを意味します。教育=知識は社会のもっとも基本的な基盤であり、そこにウソやプロパガンダ、特例や人治の「支配」を許すと、社会全体がーー戦争含めーー国・政府・受益者の指示通りに動くことになるからです。 ところが…この旧法は2006年全面改悪され、こう↓なりました(「不当な支配」の文言は残っていますが)

(教育行政)第十六条 教育は、不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであり、教育行政は、国と地方公共団体との適切な役割分担及び相互の協力の下、公正かつ適正に行われなければならない。

2 国は、全国的な教育の機会均等と教育水準の維持向上を図るため、教育に関する施策を総合的に策定し、実施しなければならない。

3 地方公共団体は、その地域における教育の振興を図るため、その実情に応じた教育に関する施策を策定し、実施しなければならない。

4 国及び地方公共団体は、教育が円滑かつ継続的に実施されるよう、必要な財政上の措置を講じなければならない。

 当時、メディアでは「愛国心教育」をめぐる論争が起きていましたが、ポイントはそこじゃない。最大の問題は、新法は国や地方自治体による「教育」への介入を可能にし、さらに教育を「主導」できるようにしたことです。山本にとって、これは地方自治法の改悪(広域化計画他)に次ぐショックでしたが、その点で異議を唱える学者はいなかったと記憶しています。

 実は、日本の法令は1990年代以来、ずっと改悪を重ねすっかり「帝国主義」の法体系になっています。…いつでも戦争ができ、市民を犠牲にする準備ができている、という意味ですね。そして今回は、その「悪法」という根拠法もなしに、政府が事実上市民の行動を規制し、自由を縛っている。これは本当にありえません。

 そして③、今回の「コロナウイルス」の実態が何もわかっておらず、「陰謀」の可能性が指摘されていることからも、政府の対策は慎重でなければならず、教育の場に事実上の規制(臨時休校)を押し付けることはまちがいです。これらの対策を通じて、国家は親の「教育の権利」も、子どもたちや納税者の「教育を受ける権利」も奪うことができ、国民の方は国家の号令におとなしく従うことに慣らされていくからです。

 「臨時休校」するな、と言っているわけではありません。それなりの手続きを踏み、関係者も納得した上で行うべきだと言っているのです。…恐怖は無知によって生まれ、メディアによる煽り報道で増幅されることは歴史的に何度も証明されていますが、教育の現場は特に「国の関与・介入」に敏感であるべきです。従って、恐怖を克服するには、大本営発表ではない「まともな情報」を得ること、そして、こまごまとした情報に踊らされず、「大きな絵」を思い浮かべること。

 ちなみに中国におけるコロナウイルス感染症の治癒率と死亡率は以下の通り。発生率は頭打ちになっているようです。

累计确诊 80735
累计治愈 54006
累计死亡   3045

2020.3.7

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/