焼却炉はやはりダイオキシンの発生源

 検証された飛灰中のダイオキシン再合成
 
いまだに多くの市町村が(特に地方ほど)、「ダイオキシン問題は
解決した」と考えているのは本当に驚きです。「広域化―連続・高温
焼却」という経済対策を、技術的解決と誤解しているのですね。
 でも、広域化したって、ガス化したって、灰溶融したって、埋め立て
たって、ダイオキシンはなくなりません。なんせ「難分解性」なんだから。

 ダイオキシンが焼却炉の中、特に、250-400℃域で多く発生すること、
高温温で一時分解しても、温度低下とともに再合成することはよく知られ
ていましたが、これまであまりはっきりしていなかったその反応機序を、
英国リーズ大学、エネルギーリソース研究所の二人の教授が明らかに
したそうです。doi:10.1016/j.wasman.2008.04.004   (要約)
「ダイオキシン・フランのデ・ノボ合成と、焼却排ガスの記憶効果」
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彼らはベンチスケールリアクターを用い、排ガスと飛灰中のダイオキシ
ンのすべての同族体や異性体について、濃度などを詳細に分析し、
灰中でデノボ合成がおきていることを明らかにしました
。濃度には大きな
差があったものの、温度差はあまりなく、全温度帯で、排ガス中にダイ
オキシンが検出されたとのことです
。350℃での放出量が最大でした。
 つまり、焼却炉はあいかわらずダイオキシンの発生源だということです。
皮肉なことに、飛灰が排ガスとともに送りこまれる「ガス洗浄工程」こそ
毒物再合成の舞台なのです。
 排ガスのうち、径の小さいもの(SPM)はフィルターにもかからず、煙
突から大気中に出て、私たちの環境を汚し続けています。一部の飛灰
は底灰と共に灰溶融され、スラグに加工されていますが、そこに含まれ
た高濃度のダイオキシンはそのまま。この有毒物質を、道路やビルの
建設材料に使い回すよう「指導」している環境省、焼却炉メーカー、
廃棄物学界、その分野の学者のウソと環境犯罪は許せません。
 この悪循環はごみを燃やし続ける限りなくなりません。このような
「終わりなき汚染」こそ、業界とその手の学者のメシの種ですから。
 みなさん、共にごみ処理方式の根本的変革を求めませんか?
2008.12.12

この記事を書いた人

hiromachi