相模原が米軍基地のごみ受け入れ

 少し前ですが、ごみ関係でこんなぞっとするニュースもありました。

 相模原市、米軍基地のごみ焼却、受け入れへ
2015年7月10日カナロコ(神奈川新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150710-00002333-kana-l14
 相模原市が在日米陸軍キャンプ座間(座間市、相模原市南区)など市内の米軍基地から出される事業系一般廃棄物のごみ焼却を初めて長期的に受け入れる方針であることが、9日までに分かった。キャンプ座間内にある焼却炉の老朽化や、基地の機能強化・恒久化につながる施設建設を減らすという観点から総合的に判断した。ごみ処理では一般的な事業系ごみと同じく、米軍から料金を徴収する。◇
 市によると、受け入れるのは市内にあるキャンプ座間と相模総合補給廠、相模原住宅地区の3施設から出るごみで、1日当たり計9トン程度。キャンプ座間の焼却炉は1985年に運転を開始し、その後2002年に一部改修されたが、施設は老朽化しているという。10年10月に加山俊夫市長と当時の在日米陸軍司令官との間で締結した覚書に、将来に向けて取り組む課題として「ごみ焼却」も盛り込まれ、協議を重ねていた。市は受け入れ方針について、今月1日の市議会基地対策特別委員会で説明。「米軍のごみを受け入れる考えに立ったところで、開始時期など具体的な取り扱いについてはこれから米軍側と協議する」とした。6月には、キャンプ座間に炭疽菌が誤送付された問題が明らかになったばかり。危険物がごみに交ざる不安などを市議がただしたのに対し、市は「一般的な事業系ごみ同様に、搬入されたごみの検査を行う。ルールにないごみがあれば指導や受け入れ拒否も行う」などと答えた。焼却炉の老朽化は環境面への懸念がある一方、新設されれば基地の機能強化・恒久化につながることなどから、市渉外部は「総合的に判断した」と話している。近隣では、米海軍厚木基地(大和、綾瀬市)のごみを大和市環境管理センターで焼却している

 山本がこれまで調べたところによると、国や県には米軍基地がごみをどのように処理しているか知るすべはなく、何もわからないとのことでした。おそらく民間に処理をまかせているのでしょうが、それが自治体に押し付けられる、また、厚木市ではすでに基地のごみを焼却していたとは。
 これは危険な兆候です。
 軍事基地は、どんな公害施設よりダーティだと言われています。武器弾薬、燃料類、薬品類、兵器用化学物質、ガス類、そして核物質など、あらゆる化学物質が貯蔵されているからです。おまけに米軍基地は治外法権。たとえ日本の法制度に沿わない物質があっても、警察も自治体もそこに立入って調べることはできません。もちろん、「基地の事業系一般廃棄物」がいったいどんなものなのかも、まったく把握していないはず。
 第一、基地のごみを受け入れるのは違法性が高い。なぜなら、駐日米軍は憲法の「市民」ではないし、「治外法権の地域」のごみを受け入れるのは「ごみ輸入」になり、自治法や廃棄物処理法だけでなく、憲法に抵触するからです。それに、日本は毎年、米軍に多額の「思いやり予算」を上納しているのだから、基地で出たごみは自分の国に持ち帰らせるべきなのです。

 在日米軍の関係経費総額のうち2014年度の日本側負担分は6739億円であることが、外務省が日本共産党の赤嶺政賢衆院議員に提出した資料をもとにした
本紙計算で判明しました。前年度比287億円増で、米軍「思いやり予算」が始まった1978年度以降では3番目の高水準です

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-12-22/2014122201_01_1.html

 でも、基地のある街の市民はボケっとしていることが多いから(いろんな面で囲い込まれている)、そんなことを問題視する人もいないのかもしれません。一方で、安保法制への反対がとても高まっていますが、その反対が、どうして治外法権の基地や、その前提条件である不平等条約ー安保条約と日米地位協定ーに向かないのか実に不思議です。明治時代の人々だって、不平等条約廃止に必死になっていたのを思えば、現代人の思考力の低下は否定できません・・・まあ、そう仕向けられてしまうんでしょうが。2015.9.1

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
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