鳥取県廃棄物審議会ー右翼街宣と呼応?

 米子市淀江の「産廃処分場予定地」周辺を右翼の街宣車が回った翌日、鳥取県廃棄物審議会が開かれていました。この審議会も産廃事業にOKを出すために作られた知事の諮問機関であり(条例、審議会規則を読むと、そうとしか考えられん)、呼応していたのかと考えたくなります。報道でも、審議委員が事業者サイドであることは一目瞭然。

 

淀江の処分場計画「住民の理解えられず」 県が廃棄物審に見解案

1121() 日本海新聞 

米子市淀江町小波に計画される産業廃棄物管理型最終処分場の建設について、鳥取県廃棄物審議会が20日、倉吉市で開かれた。事業主体の県環境管理事業センターによる計画周知の実施状況報告については、「住民への周知に係わる事業者の対応は十分だが、関係住民の理解が得られていない」とする見解案を示し、審議会は妥当と判断。県は合意不成立の通知を出す方針を初めて示した。

審議会で県は、センターが計画を周知するため事業計画書を縦覧したほか、関係住民と2度にわたって意見書と見解書のやりとりしたことなどを説明。一方で、米子市が県に提出した意見照会への回答書やセンターの計画周知の実施状況報告書、県が行った関係住民への聞き取りで、関係6自治会のうち2自治会で「理解が得られたとは認められない」との見方を示した。計画地選定の経緯や地下水への影響など14項目について、センターと意見書提出者らの間で「平行線になっている」との報告もあった。審議会の委員からは「事業者は回答しようとしているが、反対の方の理解を得るのは難しいという印象を受けた」「質問者の気持ちに寄り添った回答を」といった意見が出た。県は近く審議会の報告を受け、住民理解に関する判断を縦覧センターや住民から要請があれば意見があれば意見調整を図る(田子誉樹)

 

 「合意不成立」は当然ですが、いったいどこから「周知にかかわる対応は十分」というセリフが出てくるのやら。その「説明会」で、PRTR物質の例を聞かれた時、センターは、物質名のひとつさえあげられず、固まってしまったんですよ。しかも、説明会議事録は半分近くが墨塗り。非公開の密室審議がなぜ「周知は十分」となるのか、審議委員は、おそらく県の説明を鵜呑みにしているだけでしょう。こんな審議会は、存在そのものが犯罪的であり、さっさと解散させるべきです。だって、審議会の会長田中氏(現在は鳥取環境大の教員)はこういう黒い過去↓があるんだから(記事は一部省略。原文は→http://www.citizens-i.org/gomi0/proposal/20100805.html)

 

「プラスチックごみは、もっと燃やせ」(田中部会長発言)に市民からは怒りの声

 7月24日 朝日新聞記事での「プラスチックごみは、もっと燃やせ」の田中勝(中央環境審議会・廃棄物リサイクル部会長)さんの発言について、市民から怒りの声が寄せられています。3R全国ネットでは、8月2日環境省廃棄物・リサイクル対策部リサイクル推進室長宛て以下の意見書を提出しました。(2010年8月5日掲載)

7月24日(土)朝日新聞記事「プラスチックごみは、もっと燃やせ」について

…私は、中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会「容器包装の3R推進に関する小委員会」の委員を努めさせていただいています。委員会の委員として、また全国のごみ問題に取組んでいる市民団体のネットワークの一員として意見を申し上げます。

 標記の記事について、市民の間に誤解と混乱が広がっています。「国は、環境省は、プラスチックのリサイクルを止めて、燃やす方向にするのですか? 一生懸命努力してリサイクルして出すことが、よくないことなのですか?」といった声が、私どもの集会や会合など、さまざまなところから寄せられます。

 発言の自由はもちろん誰にとっても保障されていますが、中央環境審議会の廃棄物・リサイクル部会長が、このような主要新聞紙面で大きく発言されているのですから、市民の間に誤解と混乱が起きるのも当然です。まして、審議会ではリサイクル手法を巡って真剣な議論がされている最中に、リサイクル不用という主旨の発言であり、審議会の議論をないがしろにするものです。しかも、それが、審議会の責任者の発言とは、読むに耐えない記事でした。審議会の委員として、こうしたご意見をお持ちの部会長の下にある中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会のあり方にも疑問を抱きます。審議会において、部会長から、新聞発言の内容について説明いただきたいと思います。また、環境省の方針については、きちんと発表し、市民に広がる誤解と不信を取り除く必要があります。さらに、部会長として適任なのかについても、委員の皆様、各界の皆様にも広くご意見を伺う必要があると存じますので、ご検討いただきますよう、お願いいたします。また検討結果を、文書にてご回答いただきますよう、お願いいたします。敬具

2010年7月24日朝日新聞記事

 残念ながら田中センセイのご発言は、産業界の意を受けたもので、何をどう議論しようが、「循環型社会」の目的は、プラごみを含む「ごみ全量焼却」であることは、最初から決まっていたのです(広域化計画、循環型基本法を読めばわかるんですけどね~)。で、プラごみ全量焼却を軟着陸させるため、いろんな「賞」を次々と与え(「環境おかやま大賞」(2006)、廃棄物学会著作賞「循環型社会評価手法の基礎知識」(2008)、日本リスク研究学会賞(同)、廃棄物資源循環学会大賞(同)など)、2010には中環審の部会長に抜擢して、この爆弾発言を落とさせたわけです。地位を利用した市民だまし。これを「黒い過去」といわずしてなんといえばいいのか。ま~、だまされた方も悪いんですけどね。当事、私がどれだけ「循環型はごまかしだ」と言っても、聞く耳をもつ人はほとんどいなかったし。

 で、それ以後は、東京都を初め、自治体はいっせいにプラごみ全量焼却に走り、環境汚染と、さらなるプラスチック増産に拍車をかけているのです。「燃やしてエネルギー回収すれば問題はない」といわれたら、どの企業がプラスチック生産をためらうでしょう。

 

 問題は、田中氏の論理からは、廃棄物焼却に伴う汚染の問題がすっぽり抜け落ちていること(彼に賞を与えた機関に天罰を・・・)。しかし、実際は、有害重金属や有機化合物を大量に含む焼却灰(特に飛灰)は、高額の処理費用がかかる特別管理産廃であり、その現実を隠すため、廃棄物処理法では「焼却灰」ではなく、「燃え殻」などとしているのです。

 はっきり言っときますけど、廃棄物処理の世界ほどごまかしが多い、というか、ごまかしだらけのj分野はありません。私たちにできるのは、唯一、「作り過ぎない」「使いすぎない」という、当たり前の対処法。でも、それを法律にするには市民がもっともっと学ぶ必要があります。2017.11.27

 

 

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/