産廃プラ焼却に否定的ー福井県の場合

 お伝えしてきた通り、環境省は各自治体に違法な要求(廃掃法違反、地自法違反)をつきつけ始めました。それに対して、例えば福井県では、ほぼすべての自治体(一部事務組合)が「ノー」。でも、「補助金」がつけば事情は変わってくるでしょう。

 

産廃プラ焼却に否定的 環境省要請に県内自治体

201967日 https://www.chunichi.co.jp/article/fukui/20190607/CK2019060702000010.html  

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産業廃棄物として排出されたプラスチックごみの処理が追いついていないことを受け、環境省は五月下旬、全国の市区町村に、ごみ焼却施設で受け入れるよう要請する通知を出した。県内の市町やごみ処理を共同で行っている事務組合は取材に、プラごみの焼却を想定していなかったり、施設が小規模で対応が難しいなどとして、いずれも受け入れに否定的な考えを示した。国内で年間に約七百万トン生じる産廃プラごみは、うち百五十万トンほどをリサイクル用に輸出していたが、中国が二〇一七年末、環境汚染を理由に輸入を禁止。一八年は輸出が約百万トンに落ち込み、輸出できなかったごみが国内で行き場をなくしている。

 環境省は五月二十日、全国の市区町村に、産廃プラごみの受け入れを要請。自治体は本来、家庭やオフィスなどからの一般ごみを処理し、工場などからの産業廃棄物は専門業者が処理するのが原則だが、「緊急措置として、産廃のプラごみの処理を積極的に検討してほしい」と求めた。県内では福井市のクリーンセンターが一日に三百四十五トンのごみを処理できる最大の焼却施設だが、扱っているのは燃えるごみだけで、産廃プラごみは受け入れられないとした。市の担当者は「プラスチックを燃やさないのは建設時から地元に説明してきた」と強調する。坂井市、あわら市などでつくる福井坂井地区広域市町村圏事務組合の清掃センター(あわら市笹岡)は福井市に次ぐ規模で、プラごみを焼却できる施設があるが、二月に粗大ごみ処理施設が火災になり、復旧していない。組合の担当者は「現在はとてもプラスチックを受け入れる状況ではなく、そうでなくても地元の理解を得られない」と話す。敦賀市も受け入れを否定し、担当者は「産廃のプラごみを燃やすと、焼却炉の温度が上がり過ぎ、破損させる恐れがある」と説明する。県内で発生する産廃プラごみは一三年度の調査で年間十五万トン程度。県循環社会推進課は「県内業者でプラごみの保管量が急増しているという情報はない」と説明している。問題になっているのは関東方面などとみられ、市町の担当者の一人は「環境省が受け入れを期待しているのも大都市で規模が大きく、余裕のある処理施設だろう」とみる。(今井智文)

 もちろん、産廃プラごみを喜んで受け入れるとしたら、すでにごみ発生量を上回る規模の施設を抱えている大都市でしょう。ましてや大都市住民は焼却炉の問題やごみの行方などに興味はなく、住居に隣接して焼却炉があっても平気な人が多いから…日本には大気汚染の軽減を求める運動がほとんどないことも、環境省や産業界がこういう違法な手に訴えるという背景になっているのでしょう。

 海外では「大気汚染で何百万人もが死亡」とWHO報告に、政府や自治体をあげて大気の清浄化に取り組んでいますが、放射性廃棄物さえ燃やしてしまうことの国では、ごみ焼却(大気汚染の元凶のひとつ)のデメリットはまるで報道されない。

 それにしても年間七百万トンのプラごが生じるのに、そこに手をつけずに「燃やす」ことしか考えていないとは恐ろしい。海外ではプラごみの約8割が焼却されるか埋め立てられていると報道されていますが、日本では9割以上が焼却されているのでは? だって「リサイクル(熱利用)」という口実が通っているし、文句をつける市民はごく少ないから・・・・アレルギーやアトピーが減らないはずですね。2019.6.7

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
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