中国でごみ焼却反対、一万人が衝突

 
ちょっと気になるお隣の国のニュースです。問題はマーカー部分。

広東・福建省でごみ処理場建設巡り住民1万人以上が警察と衝突
2015.12.06
07:00
 http://www.news-postseven.com/archives/20151206_368761.html
 中国では11月下旬、広東省と福建省で、ごみ焼却発電施設や産業廃棄物リサイクル処理施設の建設をめぐって、地元住民が激しく抵抗し、それぞれ1万人以上の住民と警官隊が衝突し、住民と警察の双方に多数の負傷者が出たもようだ。
 中国では近年、環境汚染に関して住民の意識が高まる一方で、住民のごみや産業廃棄物の処理についての知識が不足していることもあって、大規模な反対運動が暴力事件に発展する例が増えている。米国を拠点にする中国問題専門の華字ニュースサイト「博訊新聞網」が報じた
 広東省のケースは汕頭市内郊外の農村部における、ごみ処理施設建設をめぐるもの。市政府は201312月、建設計画を発表したところ、住民らが強く反対し、数万人規模のデモや集会が連日行われ、多数の負傷者を出したとの経緯がある。この衝突事件で、市政府は建設に慎重になっていたが、このところ、本格的な建設準備のための調査が再開されたことで、住民側を刺激。11月中旬、現地入りした市政府の調査グループが住民グループに包囲されて、追い返された。このため、市政府は11月下旬、約千人の警官隊や武装警察部隊を動員し、装甲車や催涙ガスなどで武装し、住民ら1万人と衝突した。住民らは農具やこん棒など武装し、石を投げるなどして抵抗したことから、双方に多数の負傷者が出た。警官隊が周辺の道路を封鎖しているが、11月上旬も時点で、いまも双方の睨み合
いは続いている。

 一方、福建省の場合、省政府が11月初旬、三明市に産廃処理施設を建設する計画を発表。産廃物は同省福州や厦門、泉州など9市から集められ、三明市の処理場で焼却、リサイクルされるというもの。これに対して、同市の建設予定地周辺の市民が反対を表明し、市政府庁舎などに1万人以
上の住民が押しかけて、
11月下旬から1週間以上も抗議集会を続け
ており、駆け付けた警官隊らともみあいになった。
12月初旬の段階で、大きな衝突には発展していないが、一触即発の状態になっているという。
 両省では建設する施設の名前がごみ焼却発電と産廃リサイクル処理とそれぞれ異なっているものの、同じような処理施設であると考えられる。中国では近年、
住民の環境保護の意識が高まっており、上海では昨年、日系企業のパルプ工場建設が阻止されるなど、住民による反対運動が拡大している

 本ブログでは中国のごみ焼却炉反対運動を何回もお伝えしていますが、彼らが反対するのは、「ごみや産業廃棄物の処理についての住民の知識が不足している」のが原因ではありません。完全にその反対。日本での反対運動は、いまだに「なぜここなのか」という不信・不満が主流ですが、中国人は焼却炉と来ると「子孫が危ない」なのです。当然、重金属・ダイオキシン被害のことも、日本人よりはるかによく理解していて、私にも講演の声がかかるほど(急だったので断りましたが)。あらゆる街にごみ焼却炉+発電施設がある日本は、どの国にとっても一種、異様な国であることを知ってほしい。ごみ焼却炉は問題を悪化させるだけ。

 また、気になるのは、このニュースがまっ先に英字新聞で流れたこと。私も所属している国際NGOのMLで、中国人ではなくアメリカ人メンバーが投稿していました。アメリカは中露を敵国ととらえており、特に中国では、環境に関する暴動で社会不安がおきることを期待しているフシがある。規制のゆるい中国で狂ったような大量生産を続けているのも、その処理法としてごみ焼却やごみ発電、ついでに原発まで売り込んだのも欧米日のくせに。

 中国政府はこれまで、市民側に立ってきたことが多かったのですが、現状では「社会不安」を抑えることが優先されるため、暴動に厳しい態度で対応することになるでしょう。気になります。2015.12.6

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/