あまり報道されないかもしれませんが、日本製品の輸入禁止がじわじわ広がっています。
真っ先に食品の全面禁輸を打ち出したのはインド。4月6日に保健・家族福祉省が、「放射性物質の危険性が許容レベルまで低下したとの信用に値する情報が得られるまで」、即時全面禁輸を宣言しています。ところがその二日後、この宣言は「誤って発表された」として、商工省に取り消されています。①
でも、宣言から取り消しまでのタイムラグを考えると、多分、日本側が泣きついたのでしょう。「風評被害を世界に広げてしまう。そんなことしないで、後でお礼はしますから」って。相当広い範囲の食品が放射能汚染されているのは、「風評」ではなく、「事実」なのですが。
中国も輸入禁止の範囲を12県に広げました。福島県、群馬県、栃木県、茨城県、宮城県、山形県、新潟県、長野県、山梨県、埼玉県、東京都、千葉県が対象(8日発表)。全面禁止ではありませんが、これらの地域から、食品・農産品・飼料を輸出しているすべての企業は、通関検疫所に、放射性物質測定の合格証明と原産地証明を提出することが義務づけられ、これに合格しないと陸揚げできないわけです。②
中国側の輸入代理店も、輸入した産品の名前、企画、数量、生産日、生産者、許可番号、保存期限、販売者の連絡先など詳しい情報を記録しなければなりません。特に水産品に対しては、品質検査総局が、事前の検疫の許可審議手続を求めています。これは養殖地や加工場の住所、空港や港までの運送ルートなどを含むもので、「汚染地」経由の産品をこれでカットしようということですね(特定ルートの道路混雑が予想されます)。
ところが日本政府は、この中国の措置は「根拠を欠くとみて」、是正を申し入れるんだとか。③ 話合いは7月下旬とのことですが、それまでに事が収束すればいいのですが、見通しは暗い。汚染ももっとひどくなり、輸出入の数量も相当落ち込むことが考えられます。この春から、食料の自給体制、特に地産地消を見越した準備が必要だと思われます。みなさんがお住まいの行政に、都市近郊の廃休田の再活性化などを働きかけてみて下さい。2011.4.10
① http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110408-00000216-jij-int
② http://msn.ynet.com/view.jsp?oid=77763822&pageno=1
③ http://www.nikkei.com/news/latest/article/g=96958A9C93819481E2
EBE2E2948DE2EBE2E6E0E2E3E38297EAE2E2E2 2011/4/10 1:30
農産物の禁輸が広がっている
この記事を書いた人
山本節子
調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/