放射能ごみを長距離運送?

  福島出身の安部川崎市長が、「地震、津波、原発、風評被害の『四重苦』に苦しむ」福島県のごみを引き受けると約束したんだそうだ。
   川崎市、福島から震災の粗大ごみ受け入れ
 川崎市の阿部孝夫市長は7日、福島市内で佐藤雄平・福島県知事と会談、東日本大震災で大量発生した木材などの粗大ごみを受け入れるほか、ごみ収集車、消防車などを提供し、復興を支援する考えを伝えた。被災地の粗大ゴミは、貨物列車で運搬し、川崎市内の処理施設で焼却する。既にJR貨物と調整を進めており、月内にも始まる見通し。復興の過程で必要となる車両は、消防車10台、バス二十数台などを提供する。(後略) 2011年4月8日15時13分  読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20110316-866918/news/20110408-OYT1T00194.htm
 でも、これを「美談」と勘違いしないでほしい。震災や災害ごみは広域連携で処理するという取り決めはあるけれど、その多くは近隣都府県での提携に限られる。この場合、距離が長すぎてコストが大きすぎるし、根拠法も不明。それに何より、放射能に汚染されたごみが紛れ込む可能性が高い。
 ごみ移送というのは、非常に現実的なことなのに、どの地域のごみを何トン、貨車にして何両、などという数字も出ていない。それに、川崎市民は―もっと広くいうと、神奈川県民は―納得したのだろうか? 運搬ルートに当たる住民はどうだろう。放射性物質をかえって広範囲にばらまくのではないかということも気になる。
 阿部さんねえ、政治家ならそのあたりのことをきちんと説明してからにしてよね。その上で、市民が反対したら、いさぎよくやめてよね。福島県知事は原発を支持した責任をとるしかないんだから。2,011.4.8

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
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