指定廃棄物処分場反対、塩谷町のその後は?

   行政が庁舎整備するとなると、普通は大きな関心を集めます。ところが栃木県塩屋町の住民説明会はまったく人気がなく、参加者は3人とか28人と少なく、参加者ゼロで中止になるなどの事態も…

参加者0人で中止する事態も 新庁舎整備の町民説明会 塩谷町

下野新聞社 2018/11/28 11:25  

 庁舎整備を検討している塩谷町は2325日夜、町庁舎整備基本構想案について町民説明会を町内3カ所で開いた。しかし想定外に参加者が少なく、23日は3人、25日は0人で中止する事態となった。町が町民へ説明会開催を知らせたのは11月に入ってからで、周知不足が原因とみられる。多額の事業費となる町の一大事業だが町民との距離感が露呈した格好で、住民の関心度を高めるだけでなく町側の周知方法も課題になりそうだ。(中略)…(説明会の)開催を決めたのは10月下旬。町の広報紙11月号への掲載が間に合わず、町民へは11月に入ってから回覧で参加を呼び掛けた。その結果、初日の参加者はわずか3人となったが、24日は28人が足を運んだ。関係者によると、この日の会場がある船生地区は整備事業への「関心が高い地区」。整備位置の再検討や事業費、町民への周知方法といったさまざまな項目で意見が交わされたという。だが鈴木室長は「船生地区でさえ思っていたより少なかった。周知不足は否めない」と振り返る。最終日の25日、会場の塩谷中アリーナには開始時間になっても参加者が現れなかった。10分を経過しても状況は変わらず、町は中止を決めた。現時点で今後の住民説明会は予定していない。鈴木室長は「1212日まで実施のパブリックコメントで町民からの意見を受けたい」とした上で、「何か周知する際は、しっかりと町民に行き届く方法を考える」と話している。

 他の自治体なら参加者が少ないこともあるでしょうが、塩谷町といえば、あの「指定廃棄物最終処分場計画」に町をあげて戦い、全国的に有名になった地域。いったい何が起きたのかと思いました。塩谷町の計画は、住民の激しい反対と町長の「候補地返上」で「一時棚上げ」になっているだけで、最終決着したわけではないというのが私の見方ですが、この情報で、処分場推進側は、町民の関心が薄れたと判断し、水面下工作を始めかねないからです。で、改めて検索したら、「塩谷町民指定廃棄物最終処分場反対同盟会」はまだ存在していました。でも、HPもFBもあまり更新されていないようです。

断固阻止 – 塩谷町民指定廃棄物最終処分場反対同盟会 https://shioya-doumeikai.jimdo.com

 自然豊かな高原山麓が、指定廃棄物最終処分場の詳細調査候補地に選定されたことの白紙撤回を求める塩谷兆民による団体です。

塩谷町民同盟会 – Home | Facebook

https://www.facebook.com/shioya.doumeikai

 塩谷町寺島入地区が、栃木県における指定廃棄物最終処分場詳細調査候補地に選定されたことの白紙撤回に向け活動する、塩谷町区長会を母体とする団体です。ご支援をお願いいたします。

 

 それに、この記事↓を見ると、環境省が決してあきらめていないのは明らか。

またもや環境省からのダイレクトメールが発送されました。平成29年3月に入り、環境省から第6弾のダイレクトメールが各戸に配付され始めました。前回までと同様、以下にてご対応ください(山本注:封を切らずに、一括して突き返す)

 

 塩谷町は2014年9月、処分場予定地にある湧水群の保護のため、塩谷町高原山・尚仁沢湧水保全条例を策定しています。これは、国有地といえどもその開発には塩谷町の許可が必要と定めたもので、それなりに有効ですが、これでおとなしく引き下がるような原発マフィアではありません。彼らはおそらく、行政にも公選の町長にも議員にもダイレクトメールを送り付けているはず。特に、地元ボスには繰り返し働きかけがあるはずなので、町民は警戒心を新たにする必要があります。

 なお指定廃棄物の処理は、本来、県内一か所で集約処分する予定でしたが、候補地すべてが「降りた」ため、今は各市町村ごとに分散保管せざるを得ない状況になっています。そして、このような↓ニュースはいずれ当たり前になってゆくでしょう。

日光市 農家保管の指定廃棄物 市施設に移転方針

20181128http://www.tokyo-np.co.jp/article/tochigi/list/201811/CK2018112802000173.html

 東京電力福島第一原発事故で発生した指定廃棄物の処理問題で、日光市は二十七日、市内の農家一戸が一時保管している七トンを、市が指定廃棄物を保管している市の可燃ごみ処理施設「クリーンセンター」に移す考えを明らかにした。県内農家が保管する指定廃棄物を巡っては、農家がある同市など六市町が二十六日、環境省との会議で各市町ごとに集約することで合意。今後は具体的な集約場所の選定が焦点となる。市によると、一時保管する市内農家は一戸のみ。同センターでは、センターから出た焼却灰の指定廃棄物約五百五十六トンを既に保管している。市の担当者は「農家分は量が少なく、センターの保管場所には余裕もある」と説明した。今後、農家保管分の放射性物質濃度の再測定を同省に求め、その結果を見てセンターの周辺自治会などと集約について協議するとしている。 (小川直人)

 放射性物質を含む廃棄物を焼却し続ける限り、(放射能が濃縮されるため)指定廃棄物も増え続ける運命であることを、何よりも行政は学ばなければならないのですが。

 そして、市民は、市民運動は戦争であり、根比べであることを知らなければ。

 地元の住民が問題への興味と関心を失い、手を放せば負け。一方、推進側はたゆむことなく、持てる金と権力を注ぎ込んで市民の関心を薄め、そらそうとするものです。2018.11.29

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/