疑問と不信、名古屋HPVワクチン調査への自由記載の重み

 名古屋の「子宮頸がん予防接種調査結果」の分析を続けます。

 このアンケート調査で、親(や本人)の意見をもっともよく反映しているのは「自由記載欄」です。自由記載欄は、①質問2「身体症状について」、②質問3「学校や部活、就職などへの影響について」、③質問6「その他ご意見など」の三箇所に設けられていますが、そこに寄せられた回答は、なんと述べ4,792件にものぼります。この多さは異例なのでは。

 

 うち山本が読んだのは①と②、そして③のごく一部。③は量が多く(pdf文書で142ページ)、全部には目を通せませんが、その内訳は、子宮頸がんワクチンを受けていない人が1,053、受けた人が2,169、その他61となります。なかでも、「受けていない人」の回答は多岐にわたっており、面白い。以下は、そこから読み取った「傾向」です。

 

 「HPVワクチン受けていない」人々は:

 一、事前にHPVワクチンに関する情報を得ていた人々は、意識的に接種を止め、以後も接種するつもりはない

 二、多くの人々が、TVやネットでHPVワクチン被害者のことを知り、「怖い」と思ってやめている

 三、打たなかった人々は、みな「打たなくてよかった」とほっとしている

 四、「怖い」と思って止めたが、自分で情報収集しなかった人々の一部は、いまだにワクチンに幻想を持ち、「安全なものができ」「無料化が続けば」打ちたいと考えている。

 五、多くの人がHPVワクチン被害者のことを「他人事」ではなく、真摯に心配しており、国・自治体の対応を無責任と感じ、早い救済を望んでいる。

 六、ごく一部ながら、「設問」のおかしさに疑問を投げかけている人がいる。

 

 という感じですかね。六に関しては、当然ながら、次のような意見がありました。

 「どうして接種しなかったのかという問いかけがないのがおかしい」

 「『どうして、子宮けいがん予防接種を受けなかったか』という質問は無いですね。」

 「接種しなかった方の意見がわかる質問がないのは残念でした」

 

 ・・・そりゃあ、「予防接種をしなかったわけ」なぞ聞くと、「事前にこのワクチンが危険だという情報を得ていた」という回答が多く寄せられかねなかったからです。そうなると、次には、名古屋市がその危険性を事前に認識していたかいなかったかの問題が出てくる。つまり、自治体の加害責任に直結し、裁判にも影響するから、そんなこと聞くわけにはゆかったわけ・・・逆に言うと、この質問を避けたことそのものが、名古屋市が責任回避しようとしていたことを意味しているのですが。

 

 また、前記事でも書いた「質問2」の問題(ワクチンとの関係を切り離して聞いている)にも意見がありました。

 「質問(特に質問2)の内容がわかりにくく、答えづらかった」

 「2の設問の意味が分からない。子宮頸がんワクチンを打っても打たなくても答えるのか」

 「最初の質問は、問4のHPVワクチン接種の有無、にすべき」

 

 というわけで、市民の一部は、このアンケートの設問のおかしさにすでに気がついています。

 それにしても、名古屋市はHPVワクチン接種にとても熱心だったんですね。

 「小学校卒業式のとき、受けるようにしましょうとのプリントをいただきました」

 「子宮頸がん予防のワクチンを接種しましょうと、小学校よりプリントが届きました」

 「中1の時に子宮頸ガンワクチンの接種を知らせるプリントを学校からもらった

 「名古屋市から子宮頸がんワクチン接種のお知らせをいただいた」

 

 一方的な「打て、打て」キャンペーンが行なわれていた模様。さらに、「ノー」を選んだ保護者たちには、医療機関からの督促や、学校からのいやがらせがあったようです。・・・これがひどい。

 「保健所に電話した時は、強くすすめられました」

 「婦人科に問い合わせた時、詳しい説明もなく、とにかく受けて、2種類もあるのにどちらでも良いぐらいの返事しかなく、不信感を持ちました。病院ではこのワクチンを既婚者にまで接種をすすめていたり(意味がない)金もうけにしか思えず、受けなくて正解だったと思います」

 「中学校PTA主催の子宮頸がんワクチンに関する説明会に出席しましたが、接種ありきで勧奨する内容でした。

当時学校で接種してない子どもに手を挙げさせ、クラスで接種してない子は2人だけでした。その2人にむかって先生が理由も聞かずに『接種させない親はひどい』と言われたと言って帰って来ました」

 

 最後のケースなど子どもの人権を完全に無視していて、教員免除の剥奪に値するんじゃないかと思うけど。

 また、「副反応が出る様な予防接種を無料で大量に女子に打つなんて、本当にこわい」「人体実験はやめて」という意見もありました。さらに、インフルエンザワクチンやMRワクチンの副反応を訴えている人もいて(しかも、それを「被害」とは考えていない)、このアンケートにはいろんな「真実」が見え隠れしています。

 「このアンケート結果をきちんと生かして欲しい」-公的調査の結果だから、名古屋市はこれを無視するわけにはゆきませんって。しかも、これは 将来の結婚、出産など 、HPVワクチン世代に今後もずっとつきまとう問題であり、市民側の追跡調査が必要です。政党・「学識者」とは無関係の市民グループを立ち上げてほしい。2016.7.3

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/