名古屋HPVワクチンアンケートの不可解

前記事の続き。

 名古屋市による子宮頸がんアンケートの調査結果が市のサイトにアップされていますが、ひとまず、調査のポイントとリンクをまとめておきます。マーカー山本

 

名古屋市:子宮頸がん予防接種調査の結果を報告します(暮らしの情報)

www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/page/0000073419.html

【調査の趣旨】子宮頸がん予防接種については、接種後に全身の痛みなどを訴える事例が発生したことから、平成256月以降、国の通知により積極的な接種勧奨を中止しているところです。症状と予防接種の因果関係については未だ明らかになっておりませんが、副反応を訴える方々から実態調査を求める切実な声が寄せられています。本市といたしま しては、予防接種を実施した主体として、このような声を真摯に受け止め、まずは実態を把握する必要があると考え、調査を実施したものです。子宮頸がん予防接種を受けていない方も含めた約7万人を対象とした調査であり、接種を受けた方と受けていない方を比較する、全国で初めての大規模調査です

【対象者】平成27812日時点で名古屋市に住民票のある、中学3年生から大学3年生相当の年齢の女性(平成642日~平成1341日生まれの女性)

調査方法9月上旬に対象者に調査票を郵送し、記入後に返送していただきました。

【子宮頸がん予防接種調査結果】…子宮頸がん予防接種調査では質問項目だけでは拾い上げられないような声を広く集めるため自由記載欄を設けております。性質上統計的に分析することは困難ですが、非常に貴重な情報ですので、取りまとめたすべてのご意見等につきましても掲載い たします。

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 まず、「無記名、郵送」では、「子宮頸がんワクチン後の副作用の有無」どころか、「子宮頸がんを受けたか受けないか」さえ確定できません。調査対象が多ければなんとかなるなんてもんじゃない。この時点で何らかの「医学的結論」を出すなんて考えはアウト。 しかも、「ワクチン後の有害事象」は、子宮頸がんワクチンのみならず、他のワクチン接種後にも起こりえますが、質問は意図的に、そこに気づかせるのを回避する内容になっているのです。

 質問は――①年齢(生年を選択する)、②身体的症状の種類、有無など、③学校生活、就職などへの影響、④これまでに受けたワクチンについて(小学校6年生以降、ここに初めて子宮頸がんワクチンが出てくる)、⑤子宮頸がんワクチンを受けた人について(①サーバリックス、ガーダシルのどちらを受けたか、②途中でやめた人はその理由―選択肢)、⑥その他の意見――の五つ。一目でわかるとおり、②の身体的症状に関する質問は、ワクチンと関連づけて問われているわけではなく、「一般論」で聞いているにすぎません。

 

身体の症状に関する質問  ※経験したことのある症状についてご回答ください。

質問2.小学校6年生から現在までの間に、以下のような症状を経験したことがありますか。 経験したことがある症状の「なし」・「あり」に×をつけて、症状が「あり」の場合、経験したことがある症状について、 症状の始まった時期などをご回答ください。ただし、風邪をひいて頭が痛かったなど、原因がはっきりしている一時的な症状は「あり」に含めないでください。 (①月経不順、②月経量の異常・・・)

 

 したがって、③の「学校生活への影響」も、決してワクチン後副作用に限った質問ではなく、ほとんどの回答者もワクチンとは無関係と考えているのが、「自由記載欄」への回答からはっきり読み取れます。・・・従って、②と③の質問は、ワクチン後の有害情報のアンケート調査という意味では、完全に無意味なのです。

 そして④では、9種類のワクチンの接種の有無と時期だけを問い、⑤では上記の通り、HPVワクチンの種類と、途中でやめた理由を聞いている。②③と切り離しているので、両者を関連付けることなど最初から不可能なわけ。・・・つまり、名古屋市が多額の血税と時間をかけて行なったのは、誰でもすぐ気がつく「欠陥」を抱えた、不可解、疑わしい調査だったのです(予想通り…)。そこには、当然、医師会、医薬産業界との資金的つながりなどが疑われますが、その闇はぜひ名古屋の人々に追ってもらいたいと思います。2016.6.29

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
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