寝屋川に行ってみた

 うだるような真夏の昼下がり。廃プラ公害の焦点になっている寝屋川市(寝屋川廃プラ処理施設のすさまじい被害)に行ってきました。現地は、なだらかな丘に囲まれた盆地で、打上川の遊水地が広がる住宅地。立派な家も多く、事件さえなければ、大阪の良好なベッドタウンだったでしょう。
 H17年4月、リサイクル・アンド・イコール社が廃プラ(R&E社)の破砕・溶融・パレット(荷台)成型事業を始めてから、様相が変わりました。住民は異臭に悩まされ、目や鼻、喉の痛み、湿疹、頭痛、疲労感を覚えるようになったのです。建設用地は市街化調整区域(当時)だったといい、資料を見ても、行政が便宜をはかったようです。
 住民たちは被害を訴え、善処を求めましたが、それをあざ笑うかのように、今度は北河内一部事務組合(寝屋川、枚方、交野、四條畷)が、R&E社の至近距離に廃プラのリサイクル施設を建設したのです。この「公共」施設がH20年2月に収集・減容・梱包の稼動を始めると、被害は当然悪化しました。取材させていただいた住民の一人は、喉頭がんで手術を受けたとのこと。
 廃プラを圧縮すると、ベンゼン、ジクロロメタン、アセトンなど、いわゆるVOC(揮発性有機化合物)が発生することが知られています。これらVOCは、シックハウスの元凶として有名。中枢神経や肝臓・腎臓などに悪影響を及ぼし、喉、目、呼吸、貧血、頭痛、ぜんそくなどの症状を起こします(怒りっぽくもなるらしい)。もっとも、VOCは、熱や摩擦を加えなくても、室温や普通の気圧下にある廃プラからも出るのですけどね・・・
 「放置した状態でも有毒な化学物質が発生しており、それを圧縮、破損することで、さらに有毒な化学物質が多種にわたり発生していた」http://envsys.k.u-tokyo.ac.jp/info/thesis16/36642.pdf

 なのに、この一部組合の廃プラ施設、「VOCの規制対象施設ではありません」と、堂々と表示しているから話になりません。http://www17.ocn.ne.jp/~recyclek/data/kankyoukanshimonitashinkyuu.pdf
 しかも、この施設を運転している業者名も連絡先も教えようとしないのです。(公開請求してくれ、だって!) 近くには焼却炉(クリーンセンター)もありますが、住民はそれには寛容度が高いようで、不思議な気がしました。もし、リサイクルが中止されたら、廃プラはここで燃されるの?
2010.9.2

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/