明日(19日)、輪島で産廃の住民投票

 輪島の産廃処分場問題では、明日2月19日、賛否を問う住民投票が行われます。現地のみなさま、ぜひ投票所に出向き、反対票を入れてください。(本ブログの関連記事:輪島の「大釜産廃処分場」で想定されること | WONDERFUL WORLD 2016/07/23)

産廃処分場計画問う 輪島の住民投票告示

http://www.chunichi.co.jp/hokuriku/article/news/CK2017021402100013.html

 

 石川県輪島市門前町大釜の産業廃棄物最終処分場計画の賛否を問う住民投票が告示され、十三日から期日前投票が始まった。石川や富山など主に北陸エリアの産廃処理を担う大がかりな施設。初日の期日前投票は二百八十九人で、二〇一五年の市議選の一・七倍に。一方、一〇年の市長選に比べると六割にとどまった。期日前投票は十八日まで。投開票は十九日だが、市の条例は投票率が50%を超えないと開票しないと定めている。投票は賛成、反対の二者択一方式。反対する市民団体は街宣活動で市内を回り「五十~六十年に及ぶ処理計画で、大規模災害など不測の事態が起きた際は有害な排出水で環境が汚染される恐れがある」と訴えた。一方、賛成派の市議らは表立った活動はせず、支持者の会合などで「産廃施設は全国にあり、風評被害は聞かない。賛成の人は投票へ行かないで」と呼び掛けている。梶文秋市長は投票結果を「尊重する」と説明する一方、反対票が多かった場合「全有権者のどれだけの割合になるかが意味を持つ。議員と協議し適切に判断したい」と話している。計画の許認可権は県にあり、投票結果には法的な拘束力がない

 民間業者による計画は〇六年に輪島と合併する前の旧門前町が公表。合併後、環境汚染や風評被害を懸念し、市議会が〇六年と一一年に建設反対の意見書を可決し、市の検討委も〇八年に反対を答申した。昨年六月の市議会で、市長が処理水を市下水道に流す議案を提出。賛成多数で可決され、計画が容認された。隣接する剣地地区住民をはじめ市民らが住民投票の署名活動をし、必要な有権者の約二倍となる八千人超を集めた。十一日現在の選挙人名簿登録者数は二万四千八百十五人。 (山本義久)

輪島市の産業廃棄物最終処分場計画産廃処理大手のタケエイ、大成建設、日本政策投資銀行が出資する「門前クリーンパーク」(輪島市)が事業を担う。計画では主に北陸3県から産廃を受け入れ、約48年間で約18ヘクタールの広さに東京ドーム三つ分の容量の約345万立方メートルを埋め立てる。地権者は約30人。当初の総事業費は120億円。

 「投票率50%以下だと開票しない」という規定には驚きます。住民投票は、だいたい市民に不人気の公共事業に対して実施されることが多いのですが、低投票率だと反対派ばかりが投票して「No」確定…その結果、事業ができなくなるーーそういう事態を恐れて、設けた規定でしょう。でも、これでは投票にかけた経費はムダになるし、住民投票の実施を望む市民の意思は無視され、推進派による不投票作戦(=市民の選択の機会を奪う)が展開されかねません。もちろん、その一つ一つが地方自治に反する行為。

 それを証明するように、賛成派議員は「賛成の人は投票へ行かないで」と呼びかけている。議員でありながら、投票の権利、表現・意思の自由、制度を尊重する権利を投げ捨てろと言っているのだから、こういう議員はさっさと落選させないと、今後もけっして郷土のためになるようなことはしないでしょう。

 ところが、なんと地方自治の否定は議員だけではありませんでした。

輪島の住民投票実施が確定 来月、産廃施設の賛否問う

headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170105-00441658-hokkoku-l17 北國新聞社 1/5(木) 2:28配信

 輪島市門前町大釜で計画されている産業廃棄物処分場に反対する市民団体「輪島の産廃問題を考える会」は4日、梶文秋市長宛てに施設建設の賛否を問う住民投票を本請求し、実施が確定した。市は11日、市議会臨時会を招集して投票の予算措置を行い、選挙管理委員会による日程審議を経て2月中旬には投票が実施される見通しである。石川県内での住民投票は2003年に羽咋市と旧の志雄、押水両町の3市町合併協議会設置の是非を問うため初めて実施されて以降、行われていない。産廃施設に関する住民投票は初めてとなる。

 考える会の板谷外良代表ら3人が市役所を訪れ、有効署名8185人分の署名簿を添え、住民投票実施請求書を提出した。市の条例上、投票率が50%を超えると住民投票が成立し、50%以下だと開票しない。同会は15日、門前、輪島両地区で投票を呼び掛ける集会を開くなどして、周知を図っていく。板谷代表は投票率目標として70~80%を掲げ、「よそから来るごみをなぜ輪島で受け入れる必要があるのかを訴え、市内の端々にまで運動を広げたい」と話した。

 梶市長は4日、仕事始め式、新年名刺交換会で市の廃棄物埋め立て処分場が近く満杯となることを挙げ、産廃施設の必要性をあらためて強調した。住民投票について記者団に「結果は尊重する。市と事業者間で結ぶ安全協定において斟酌することになろう」と述べ、投票結果が反対だった場合、協定を結ばない可能性を示唆した。仕事始め式で梶市長は、産廃施設に賛成する市民が投票に行かないことも選択肢の一つであるとの考えをあらためて語った。名刺交換会では地元の宮下正博石川県議会議長も産廃施設に触れ、「将来を見据えた時、必要なものは必要。昔と違って安全性も確保されている」と計画に賛成の立場を示した。

 市長自ら「投票に行かないことも選択肢」だと「あらためて語った」・・・自ら賛成だと表明するだけでなく、市民に対しては恫喝、公務員に対しては行政命令ともとれる発言をくりかえしていたとは、地方自治体の長として失格。「産廃」が基礎自治体の守備範囲ではない(許認可権は県)事を考えると、梶市長はこの事業に何かしらの使命を帯びているのか、と疑問をもつのはあたりまえ。ま、地方の公害事業をめぐって、自治体の長が「買われる」のはよくあることだから。なので、ほんとは市長リコールの住民投票をすればよかったかもしれません。結果によってはすぐそこに取り掛からないと。2017.2.18

 

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
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