住民踏み付け、厚木市のごみ処理施設建設問題

 ごみ焼却炉・処分場の建設問題でいくつか連絡をいただいています。

 以下は厚木市の住民からのもの。

「神奈川県厚木市の清掃工場が建て替えの時期を迎え、説明会がありました。
 (資料:http://www.h7.dion.ne.jp/~atsuai-k/zimotosetsumeikai.html)

新工場は、事業主体が厚木市から厚木愛甲環境施設組合へと変わり、焼却灰は飛灰も主灰も全量を民間委託でリサイクル。地下水のモニタリングはせず、厚木市、愛川町、清川村で災害が起きた時のための災害廃棄物置き場を設置(通常は緑地として運用)といったひどい内容でした。これ、山本さんから見ると、どうなんでしょうか?」

 私は厚木市のごみ処理問題にも多少かかわっていました。なので、「どうなんでしょうか?」の答として、厚木市の廃棄物政策は犯罪的だ、と答えておきましょう(横須賀市とよく似ている)。以下、長くなりますが、経緯がわかるように、3本の新聞記事をアップしときます。

 現在地隣に新ごみ処理施設、「耐えた思い踏みつけ」金田地区で有志が反対運動 /厚木. – カナロコ

www.kanaloco.jp/article/54430 2013/02/08 – 厚木市が愛川町、清川村とつくる厚木愛甲環境施設組合の新しいごみ中間処理施設の建設予定地として金田地区を選定したことについて、地元住民の有志が反対運動を展開している。予定地は紆余曲折の末、現施設の隣に。住民は「これまで耐えてきた地元の思いを踏みにじる決定」と怒りを隠さない。現在の「市環境センター」(同市金田)は1987年に完成。当初は2012年を目指して後継施設を稼動させることにしていた。市は建設予定地の選定を進め、山口巌男前市長時代の05年には棚沢地区に決定したが、地元の反対などがあり、市長交代後の09年に白紙撤回した。後継施設の稼動予定時期に間に合わない見通しが出てきたため、市は08年に金田地区の3自治会に現施設の20年度までの使用延長を申し出て、09年に了承を得た08年に開かれた候補地再検討委員会が9ヵ所から4ヵ所に絞り、さらに11年の市経営会議が金田地区を候補地とすることを決めた。

 市は現施設の敷地も含めた北側約1・8ヘクタールに後継施設を建設する方針。決定理由は「敷地面積の確保、アクセス道路、埋蔵文化財など多くの項目を検討し総合的に判断した」としている。この選定に地元住民らでつくる「金田地区新ごみ焼却場建設に反対する会」(鈴木正次代表)は「初めから決定ありきではないか」と不信感を抱く。同会が情報公開で取寄せた市の検討資料では、点数評価で1位だった金田地区と2位の土地との差はわずか1点で「不自然で作為的なものを感じる」と鈴木代表。さらに「いままで30年間も施設を受け入れ、使用延長にも応じてきたことが全く評価されていない」と不満が募る。また、今回のように敷地内で施設を造り替えていけば、新たな候補地を探さずに永続的に施設建設が可能なため、「半永久的に施設が存続するのではないか」という不安も消えない。市は、施設を受け入れてきたことへの配慮については「配慮は選定項目にはないが、受け入れの事実を委員は知っている。議論の中で勘案されたものと思う」とし、半永久的な存続については「市が勝手にやることはない。不安ならば次回は建設しないという内容を市と地元が交わす覚書に入れることもできる」と、ともに否定した。

 同会は8日に1076人分の署名と陳情書を小林常良市長に提出。22日開会の市議会2月定例会にも決定撤回の陳情書を提出している。その扱いを受けて今後の活動方針を決めるともいい、市も「議会がどう判断するかは大きな問題」と行方を見守る。

 

 いったん、ごみ処理施設が受け入れられると、施設はそこに半永久的に居座るものなのです。金田地域の住民も、初めは、おそらく「仕方がない」「30年後にはなくなる」と思っていたのでしょうが、行政や企業はそうは考えない。「耐えた思い」は、それなりの行動に移さないと誰にも通じないものなのです。たとえ、「協定書」や「覚書」(民事の契約に当たる)を交わしていても、悪徳弁護士を使ってそれを平気で反故にするのが行政なので(清水市)。彼らは確信犯として公害事業を実施しているのです。

 で、金田地区の人々が訴えた先は議会でした・・・もっともムダでやってはいけないことですが。

② 白紙撤回求める再陳情不採択 新ごみ処理施設建設/厚木市
2013618日 
http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1306170014/
   厚木市議会環境教育常任委員会で17日、市が新たなごみ中間処理施設の建設予定地として同市金田の市環境センターの隣接地を選定したことの白紙撤回などを求める陳情の審議が行われ、同常任委は陳情を不採択とした。陳情を提出していたのは「金田地区新ごみ焼却場建設に反対する会」(鈴木正次代表)。3月議会に続いて2回目で、前回も決定の撤回などを求めたが不採択になっている。今回は①自治会長らが昨年12月に市に提出した合意文書を破棄する、②住民の意見を無視した候補地選定、計画を改める、③今回の決定を白紙にした上で適切な方法で選定する-ことを市へ要求するよう市議会に求めている。この日の常任委では、市は①の「昨年12月の合意文書」とは、受け入れへの方向性を示したもので合意文書ではないと説明。ことし3月に合意書を交わしたとした。委員の市議から、3月の常任委で要望した地元への説明についての質問が出たが、一般住民レベルでの説明会は開かれていないことが分かり、「再度、説明会をしっかりやってほしい」と注文が出た。 委員からは「①③を議会が要求するのは、地元の自治会長らの意向があるので難しいが、②はもっとも」と趣旨採択を求める声も出た。採決では趣旨採択(賛成1人)、全体の採択(賛成なし)とも不採択となった。市は神奈川新聞社の取材に、前回に続いて地元への説明を求められたことについて、5~10世帯で構成する隣組の組長を集めた説明会には意欲を見せたが、「(受け入れについての)合意書をもらっている。説明会では計画を進めることを前提で、(地元の代表が)地元で考えていることを整理して話すのではないか。開催は地元が主体で、市の勝手ではできない。説明会に出てくれと言われれば出る」と話した。

 この件については、本ブログ 公共事業における自治会の役割 ①神奈川県厚木市の場合 (2013年11月29日) で、以下のように書きました。「記事から判断すると、①現地選定について地元は反対、しかし、②市は地元で説明会も開かず、逆に、③水面下で自治会長らにコンタクトし、新計画への了承を得た、④それを文書にして提出させた(環境省と議会説得用→後に正式な「合意書」)、⑤説明会は「建設を前提」で開く、⑥その説明会の開催は合意書を出した自治会の主催とする…という流れが読み取れます。
 これは、施設を受け入れた地域を永久に迷惑施設立地地域にしようという行政の策謀で、住民はだまし討ちにあった形。市民の「不断の努力」がないと、こうなる。でも、ごみ焼却炉は公害施設だから、住民説明も、本当の合意もなく、ごく一部の地元ボスと手を結んで事業を強行するのは犯罪行為です(違法不当な手続きで公害施設を建設する)。その片棒をかついた自治会役員とともに、本来は罰せられなければなりません。ところが、そういう地域の住民に限って、なかなか反対の声をあげないーー。各地の焼却炉闘争に協力した経験から、どの地域も、本当によく似ています。ちなみに、こういうケースでは文書を公開請求しても、肝心な部分は真っ黒。今がこうだから、いずれ、特定秘密保護法法が成立・施行されると、状況はさらに悪くなるでしょうね。
 自治会、町内会を甘く見てはいけません。特定の地元ボス、特定の政党、特定の企業・利害関係者に仕切らせてはいけません。地元に無関心な市民が多いと、彼らはすぐに行政と結託し、市民を抑圧する工具になってしまうのです・・・過去の戦争も、市民生活のレベルでは、「隣組」から始まったことを考えるとわかりやすい。だから、環境を守ろう、戦争を阻止しようと思えば、街に出てデモをするより、あなたの町の「自治会」「町内会」を、本当に「民主化」する方が有効、私はそう思います。2013.11.29

 

 でも厚木市は地元の反対を無視、「遅れ」を取り戻すべく計画にまい進し、2016年1月には基本計画案を発表、パブコメを求めています。

厚木愛甲のごみ新施設案 稼働、25年度に遅れ 

政治・行政|2016/01/06  http://www.kanaloco.jp/article/144162

 老朽化しているごみ焼却施設の更新問題で、厚木市、愛川町、清川村からなる厚木愛甲環境施設組合(同市栄町)は新施設整備に向けた基本計画案などを作成、5日から市民意見の募集を始めた。予定地選定が難航した影響で、稼動開始は2025年度にずれこんだが、技術の進展により焼却灰の資源化が図られ、最終処分場の確保が不要になる。拡張用地には災害廃棄物の一時保管場所の機能も持たせる。基本計画案によると、新施設は現在3市町村のごみを受け入れている市環境センター(同市金田)の隣接地sに建設する。購入予定地は民間のうちで焼く5.6ヘクタール、新施設は1.8ヘクタールを使い、約3.8ヘクタールは市民に開放される緑地・広場へ一体的に整備、災害発生時には廃棄物一時保管場所に転用できるようにする。施設規模は、焼却炉が2炉構成で処理能力は一日当たり273トン。1987年に完成した同センターよりも一回り小さくなる。従来型に比べて排ガス量が低減できる「ストーカ式」を採用する。

 相模川沿いに立地するため敷地を約2メートルかさ上げし、防災面に配慮。管理棟には環境学習や大規模災害時の住民の一時避難所になる設備も整える。余熱利用として高効率のごみ発電施設を併設し、売電事業も検討する。

 事業手法は公設民営(DBO)方式を導入。公共が主体となり設計・建設し、運営・維持管理を建設事業者らの特別目的会社(SPC)に委託する。資金調達と施設所有は公共が担う仕組み。建設費は粗大ごみ処理施設を含めて約209億円と試算されている。

 同組合は、今回の基本計画の策定に伴って、上位のごみ処理広域化実施計画も改訂する。同時に公表された実施計画案によると、新施設では焼却灰の溶融処理を行わず、民間に資源化を全量委託。従来の埋立処分が不要になるため、清川村内に予定していた最終処分場の整備を見直す。現在の焼却炉は20年の耐用年数を既に超過、新施設の建設場所について同組合で2005年以降、厚木市内を対象に選定作業に当たっていたが、地元住民の反対で難航し、ようやく1311月に金田地区に決定した経緯がある。この段階で18年着工、20年稼動の整備見通しが示されていたが、今回の基本計画案では21年着工、25年度稼動にそれぞれ変更された。同組合は「周辺住民の中には反対する声もあり、計画案を説明しながら引き続き理解を得るように努めていきたい。意見募集の結果も反映していく」と話している。意見募集はホームページなどで25日まで。

 ぎょっとしたのは、この事業はごみ処理民営化と、最も危険な焼却副産物の焼却灰(飛灰含む)の全量「再利用」を目指していることですが、この件についてはほとんど説明もなく、厚木市と組合は、2016年12月20日、文頭のコメントにある「説明会」を開いています。その「新ごみ中間処理施設整備に係る地元説明会概要http://www.h7.dion.ne.jp/~atsuai-k/27.12.20%20kaneda-setsumeikai/giziroku.pdf」には、以下のような、あっと驚く質疑が記録されていました。

「市長が地元説明を行った回数は7回としていますが、これには飲酒を伴う会も入っております」(住民)

「地元説明会の回数に飲酒を伴う会を入れることについては、環境保全委員会の意見交換会のことだと思いますが、市長は、市長として委員の皆様の御意見等をしっかりと伺っております」(厚木市)

「東部自治会では65%以上の方が建設に賛成しているという根拠を見せていただきたい」(住民)

前回の説明会後に個別に反対の方も含めて訪問して御意見を伺っております」(厚木市)

 酒食を伴う席で委員を説得する、反対派を個別訪問する・・・これらの人々が意見を変えたとしたら、そこには当然、金銭や利便の提供があったと考えられます。だった、ごみ処理施設は公害施設、それを建設するには多額の住民対策費が飛び交うのは常識だから。そして、もし、行政がこのような形で住民の「翻意」を迫ったとしたら、それは権力と金銭を用いた恐喝であり、相手が企業なら賄賂として犯罪とされるもの。企業でなくても、その「翻意」の結果、事業が実施されるとしたら、その説得に応じた人も共謀者として責任があります。・・・厚木市、変わってないね。2017.1.11

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/