ベトナム原発輸出の黒い面々

 今の「原発輸出反対」の動き、もちろんないよりいいけれど、なんだかピントが外れているような気がしてしらべてみました。海外では、輸出される原子炉は東芝ーウェスチングハウス(米)のAP-1000型であり、しかもこのタイプの炉は、まだどこにも設置されたことのない『実験炉」で、さまざまな危険性が指摘されているとの報道があります。FOE英語版にも、そういうことはちゃんと書かれていますが、日本の「反原発輸出声明」には、それが十分反映されていないような気がします。http://www.foe.org/ap1000-nuclear-reactor-design-grave-danger
 日本のメディアに至っては、この型の危険性どころか、機種についても輸出主体についてもなるべく触れまいとしているような。例えば下の朝日の記事(10月29日、部分):
 日本原電、ベトナムと原発調査契約 初の輸出へ一歩
 電力卸大手の日本原子力発電は28日、ベトナムで原発導入を進めるための調査契約を、ベトナム電力公社と結んだ。日本は昨年10月、ベトナム政府と原発輸出で合意。今回の調査は、日本初の原発輸出へ向けた第一歩となる。 ベトナムは、2030年までに14基の原発新設を計画している。これまで4基の受注国が決まり、ロシアと日本が2基ずつ担当。東京電力の原発事故後も、日本からの受注方針を変えない意向を示している。 日本は南東部のニントアン省ビンハイで建設。21年に1基目の稼働をめざす。原電は気象や地形、地質、地震・津波の影響を調べ、原発の基本設計や経済性などを検討。13年3月にベトナム側に報告する。
http://www.asahi.com/business/update/0928/TKY201109280402.html?ref=reca


 日本原子力発電が行うのは可能性調査(フィージビリティ・スタディ)だけ。この調査はベトナム側(輸入したい方)と共同で行われるので、「問題ないよ」って結果が出てくるのも目に見えています。なお同社は、ベトナム人の原発技術者育成の「国際協力」で知られていますが、こうしてベトナムのエリートたちを汚染拡大のツールにするのだから、二重に犯罪的。
 ところで、記事には書かれていませんが、この輸出の事業主体は、2010年10月22日に設立されたばかりの、国際原子力開発株式会社(JINED)です。構成企業は、電力9社、メーカー3社(東芝・日立・三菱重工業)と政府機関(産業革新機構)だから、いわばオールジャパン原発推進機構。資本金は2億と小額ですが、事業にはわんさか私たちの税金が使われる予定。
 出資比率は以下の通りで、東電の比率が最大。「原発輸出反対」を唱えるより先に、このJINED解体を目指さないと、もぐら叩きになるでしょうね。2011.11.20



















































★国際原子力株式会社(JINED)の資本比率


出資者


比率()


北海道電力



東北電力



東京電力


20


中部電力


10


北陸電力



関西電力


15


中国電力



四国電力



九州電力



東芝



日立製作所



三菱重工業



産業革新機構


10

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/