ヒバク差別

   この↓記事を読んで、みなさんはどう思います? 「検査は必要」という人が多いんじゃないでしょうか。
 つくば市、福島からの転入者に放射能検査要求

  茨城県つくば市が、東京電力福島第一原発の事故で福島県から避難して転入する人たちに、放射能汚染の有無を確認する検査を受けた証明書の提示を求めていたことが18日、わかった。市側は「市民に無用な不安を与えない目的だった」としているが、転入者からの抗議を受け、検査を求めないことにした。
  つくば市によると、市民課長名で3月17日、福島からの転入者にスクリーニング検査を求めることに決め、担当する窓口へ通知した。窓口の担当職員が、転入者に消防本部や保健所で検査を受け、証明書をもらうように指示するなどしていたという。
 原発事故が起きてから、つくば市には福島県いわき市などからの住民が避難している。今月11日、つくば市内の研究機関に就職するため仙台市から転居してきた男性(33)が証明書の提示を求められ、このことを茨城県に訴えたことから問題が発覚した。つくば市の岡田久司副市長は、「放射能汚染について、誤解があったと認めざるを得ない」と釈明した。4月19日(火)3時7分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110418-00000858-yom-soci
 市民を守るべき役所が、こういう人権侵害に近いことを平気でやっている。公害にしても、刑事被害にしても、日本人は決して「被害者」に優しくないから、あるいは市民からそういう要望があったのかもしれません。だから、たとえ「検査」しても、差別は続くでしょう。東北の方々はこれから、こんな「ヒバク差別」とも向き合わなければならないのです。
 問題はすでにおきていて、福島県から東京などに避難した子どもたち―特に原発周辺地域の子どもたち―が、仲間はずれにされるなどいじめにあっているようです。福島県内でも、居住地域の証明書(汚染度が低いなど)を求めるなど、実質的な「差別」が起きているようで、心が痛みます。
 他の国にとっては五十歩百歩なんですけどね・・・。
 SPEEDIを見ると、日本列島はほぼすっぽり―南の八丈島あたりまで―放射性物質を含む大気に包まれている(風向きにもよりますが)から、すでに、すべての日本人が汚染を疑われているわけです。でも他の国に入る時の放射線チェックはやむをえないとしても、自国でそれをやってはメクソハナクソ。人々が助け合うのではなく、互いの猜疑心が強くなる。これも原発の後遺症。ほんとは共に乗り切らないといけないのに。
2011.4.19

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/