富山県の処分場周辺住民、がれき受け入れに8割反対

  富山チューリップテレビの報道。「これほど保守的な地域はない」と言われた富山の農村地帯で、母親たちがせっせと反対署名を集めていました・・・すばらしい!よくやった!と思います。以下、「」発言部分は音声を拾って記事に加えました。
富山市山本地区の8割が反対署名
(2012年10月31日 17時00分)
 震災がれきの受け入れをめぐって、富山市は、市の最終処分場がある山本地区周辺の住民から、受け入れに反対する237世帯549人分の署名の提出を受けたと発表しました。
 市は、この数が、住民全体のどのくらいの割合にあたるのかは明らかにしませんでしたが、署名が集められた地区全体で7割、処分場がある山本地区に限った場合は実に、住民の8割が署名していることがその後の取材でわかりました。
 岩手県山田町の震災がれきの受け入れに向けて準備を進めている富山地区広域圏では、焼却施設がある立山町がすでに試験焼却実施の方針を示しているため、焦点は、焼却した灰の最終処分場がある富山市山本地区の理解が得られるかどうかに絞られていました。
 「山本町内の皆様方が、被災地の視察を行なうということも伺っていますので、その状況というものも、静かに見守ってゆく必要があるのかな、と」
 富山地区広域圏の理事長を務める森富山市長は、31日の定例会見で、山本地区の住民が来月5日と6日に岩手県を訪れ、山田町にあるがれきの仮置き場と奥州市の最終処分場の視察を計画していることを発表。その上で、試験焼却の実施について次のように話しました。
 「いつになるかということについては見通すことができないという状況です」
 また、富山市は今月9日に山本地区と周辺に住む住民から市の環境政策課宛てに、震災がれきの受け入れに反対する237世帯549人分の署名が提出されたことを明らかにしましたが、反対の割合がどのくらいだったかについては公表しませんでした。
 「署名の多寡によって判断が動くということはありません。もしそういうことで行政が動くようなら、なんでも実現を求める人たちがなんでも署名活動をして、そこにひっぱられてゆくことになる。それは、参考にはいたしますけど。そういうものだと、昔から思っています」
 署名活動の中心になったのは、小学校や保育園に通う子どもを持つ親たちで、池多小学校の校区を対象に署名活動を行い、その結果、対象世帯のおよそ7割にあたる549人分の反対署名が集まったということです。署名活動を行った住民によりますと、対象となった世帯には山本地区以外も含まれているものの、山本地区だけでみた場合、62世帯のうちおよそ8割の50世帯が署名しているということです。
http://www.tulip-tv.co.jp/news/detail/index.html?TID_DT03=20121031170131&MOVE_ON=1
 森富山市長という人間がどういう人物か、とてもよくわかる報道です。彼は「署名が多くても、がれきを燃やすという政策は変えない」って言っているんだけど、これって、民主主義(多数決の原則)を否定しているの? しかも「昔からそう思っていた」と、ワンマン志向を隠していません。まあ、基礎自治体の首長でありながら、国策「みんなの力でがれき処理プロジェクト」に、ほいほいと乗ってしまったくらいだから、それが地方自治法に抵触するなんて考えもしないのでしょう。
 でも、さすがの彼でも、地元と行政の間で締結された公害防止協定は無視できないはず。同協定には放射能を含むごみを入れていいなんて規定はないんだから、もともとがれき受け入れなんてできないんですけど。法令と住民の意思を無視するような人間は、政治家としておいておけません。私が住民ならリコール運動をやるわ。2012.10.31

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/