焼却炉メーカーが目をむきそうな論文が、最近、科学専門誌「環境公害(Environmental Pollution 158: 1595–1602)で発表されました。研究者らは台湾の二つの焼却炉の排ガスや焼却灰をサンプリングし、そこに含まれているダイオキシン・フラン類(PBDD/Fs)など、難分解性有機毒物(POPs)を分析してその特徴を調べました。その結果、
● ダイオキシン含有率は、飛灰(フライアッシュ)より底灰の方が高い
● 煙突排ガスや焼却炉のPBDEは、一般環境の大気や参考土壌の3倍も高かった
● 焼却炉やリサイクル施設からのPBDEの発生は無視できない
ということのようです(念のため、アブストラクトを下につけます)。PBDEとは難燃剤などに含まれる毒物で、今や母乳にも、赤ちゃんの血中にも含まれており、その削減が問題になっています。「ごみを燃やす社会」である日本人の血中には、おそらく他の国の人々より高濃度の毒物がいろいろ含まれていることでしょう。
日用品に含まれている毒物は、それを「買わない、使用しない」ことで、ある程度避けられても、焼却による害は見えないから厄介・・・・・・誰も気づかないうちに、誰もがその汚染の被害を受けているのです。それを防ぐには、あなたの街の焼却炉を停めなきゃ。2010.4.27
ダイオキシンの高温完全分解は疑問
Taiwan:Wang et al., 2010. Distribution of polybrominated diphenyl ethers (PBDEs) and polybrominated dibenzo-p-dioxins and dibenzofurans (PBDD/Fs) in municipal solid waste incinerators.
The stack flue gases and the ashes in different units of two municipal solid waste incinerators (MSWIs) are sampled to investigate the characteristics of polybrominated diphenyl ethers (PBDEs), polybrominated dibenzo-p-dioxins and dibenzofurans (PBDD/Fs), and polychlorinated dibenzo-p-dioxins and dibenzofurans (PCDD/Fs). Bottom ashes (BA) exhibited much higher PBDD/F (8.11–52.2 pg TEQ/g) and PBDE contents (20.4–186 ng/g) than those of fly ashes (0.0932–2.02 pg TEQ/g and 0.332–25.5 ng/g), revealing that the PBDD/Fs and PBDEs in the feeding waste may not be completely destroyed. The PBDE
concentrations/contents in the stack flue gases (26.1–109 ng/Nm3) and in the BA (20.4–186 ng/g) of the MSWIs could reach three orders higher than those in the atmosphere and reference soils. PBDE contributions to the environment from the stack flue gases or the reutilization of BA of MSWIs should not be ignored from the developing PBDE inventory.
この記事を書いた人
山本節子
調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/