ごみ焼却と健康被害

  2002年9月、当時、政府がすすめていた「ごみ処理広域化計画」に反対する立場から、小さいシンポジウムを開きました。以下は、その時書いた「決議文」の、ごく一部です。状況は――残念ながら――、当時よりさらに悪化していると思われるので、ぜひお読みください。全文は:http://yokohama.cool.ne.jp/miyagasedam/sub2.htm
 焼却は危険:
 日本人に尋ねると、その多くは「ごみ処理施設;焼却炉は必要」と答えるだろう。これは厚生省が「適正処理」と称して焼却主義を押し進めてきた結果だが、化学物質が氾濫する現在、雑多なごみの焼却がいかに危険かということを社会に広く知らせる必要がある。
 焼却炉はいわば毒ガス発生装置であり、焼却炉の中ではダイオキシン以外にも、連続する化学反応によって未知の化学物質が大量に発生し、それが煙突から風に乗って拡散し、環境を汚染し、動植物や人体に蓄積していく。高温炉(ガス化溶融炉や灰溶融炉など)の場合、これに大量の気化重金属が加わる。焼却後の灰や、灰を溶融したスラグには、さらに大量のダイオキシン、重金属が含まれる。それらを完全に分解し、取り去る技術は存在しない。非焼却処理に移行するまでの間、すべてのごみ処理施設は、新設、解体、運転、保守などすべての段階で、原発なみの危険施設として管理しなければならない。
 焼却による環境公害:ある調査によれば、日本人の毛髪には水銀と鉛、批素の値が非常に高く、特に水銀には異常なほど高い値が見られた。この数値は、いたるところで排気をまきちらしている焼却炉の存在と決して無関係ではない。ダイオキシンや重金属などはいずれも分解しにくく、生物への蓄積、濃縮を経て次世代に影響してゆく。その汚染がもっとも強く作用するのが子供たち、特に四歳以下の男児であり、川崎病、躁鬱病、アルツハイマー病、自閉症などの原因として、重金属汚染が疑われている。日本全国が焼却炉列島と化している今、日本の子供たちに将来どのような健康被害、異常が現れるか懸念せざるを得ない。ごみ焼却は環境汚染と健康被害をもたらす「公害」であることは否定できず、私たちは今後、公害罪法にもとづく訴えも視野に入れて、ごみ焼却処理の中止を求めてゆく所存である。

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/