名古屋、大江ごみ破砕工場の正月火災

 この三が日、昨年末のロシア機撃墜事件のショックでぼうっとしていて(この件については アレクサンドロフ・アンサンブル に書いたのでご覧になって下さい)で、環境・健康関連のトピックを積み残してしまいました。で、これから順次あげていきます。

 まず、「元旦からごみ処理場火災です!」というお知らせをいただきました。で、この方のブログ記事(元旦に、名古屋のゴミ処理施設で火災事故!8時間以上燃え続ける …)を参考に事件を追ってみました。

 まずここ↓で短い動画を見ることができます。平成9年竣工の建物はまだきれいですが、そこから猛烈な黒煙があがっています。

名古屋市のゴミ処理施設で火事

2017年1月1日17:54 www.hicbc.com/news/detail.asp?cl=c&id=00042769
 1日午前11時前、名古屋市港区にある名古屋市のゴミ処理施設「大江破砕工場」から火が出ました。消防によりますと、けが人はなく、民家などに延焼する恐れもないということですが、火は午後6時現在も消し止められていません。工場はこの日は休みで、保管していた不燃ゴミや粗大ゴミから火が出たとみられています。
 まず、ごみ破砕施設の火事は決して珍しくありません。その理由は①ごみの種類が雑多なこと、②有機物(可燃物)が入っていること、③爆発物・危険物が混入していること、④物理的な圧力を加えるため摩擦が起き、熱が生じやすいこと、⑤そのため可燃ガスが発生しやすいこと、⑥発生源がつきとめにくく、初期消火しにくいこと…等々。また有害排ガスも発生するため、消火活動にあたる消防士にも危険が伴います。しかし、施設を運営する行政側にはごみ処理施設が危険だという認識はなく、住民は無知・無関心だから、怒ったりする人は誰もいないんじゃないかな。

ゴミ処理施設の火事 鎮火せず

01月01日 19時03分 1日午前、名古屋市のゴミ処理施設のゴミから出火し消防が消火にあたっていますが、鎮火にはいたっておらず煙が出続けています。1日午前10時半すぎ名古屋市港区にある市のゴミ処理施設「大江破砕工場」のゴミをためるピットから出火したとの通報がありました。消防によりますと、燃えているのは建物の中にある深さ20メートルのピットにためたゴミで、捨てられた陶器や家具、木材などだということです。消防は消火活動を続けていますがゴミの量が約1000トンと多く、水が中まで浸透しにくいことから出火から数時間たっても鎮火しておらず、煙が出続けています。元日の1日はゴミ処理施設は休みで警備員しかおらずけが人はいないということです。煙が流れる風下の住宅に住む60代の男性は「正月に大変だなと思います。早く火が消えて欲しいです」と話していました。この処理施設では平成20年にもピットのゴミが燃える火事があり、修理のために一部のゴミの受け入れを中止しました

 でも、検索したらもっとリアルな反応もあって↓ちょっとほっとしました。
 「煙で臭い」というのは、記事にあるように、単に「陶器、家具、木材」などが燃える匂いではなく、何らかの化合物が発生していることを意味しています。また「陶器が燃えた」としたら、相当高温になっていたという意味。後述するようにクレーンの部品(恐らく鋼鉄製)が熱で破損したほどですが、温度についての情報はありません。 

ゴミ処理施設で火事 名古屋・港区(愛知県)

1/2 7:37 中京テレビ 消防によると、1日午前10時半すぎ、港区本星崎町にある名古屋市のゴミ処理施設「大江破砕工場」で、施設の警備員から「火が出ている」などと119番通報があった。火は保管されていたゴミから出たものとみられている。消火活動は14時間近くにわたり、付近の住民などからは「異臭がする」などと通報が相次いだが、名古屋市環境局は「ただちに人体への影響はない」としている。施設は名古屋市内の不燃ごみや粗大ごみを細かく砕く唯一の工場だということで、市は今回の火事による設備への影響がないか、2日午前9時から詳しく調べる。

 この記事にも「異臭」とあります。しかし、環境局は、住民を14時間も悪臭にさらしておいて、「ただちに人体への影響はない」。まさに原発マフィアと同じでまったく信用できません。

 名古屋市:大江破砕工場(暮らしの情報)の工場は12月31日から正月休みに入っていました。つまり、30日17時の稼動停止から1日11時に発火するまで約40時間。その間、深いピットの中で何が起きていたのか。その状況を人間はチェックできません。赤外線カメラがその熱を感知し、火災報知機が作動したのですが、その発火は突然で、しかも大規模だったことを、横井名古屋市議が伝えています

■ 出火の原因は不明
そして、今回の自然発火の原因だが、工場は12月31日~1月3日は年末年始による休業日だったため、作業による出火ではなく、「2号ピット」に保管していた不燃ゴミや粗大ゴミから自然発火したものとみられている。出火当時のビデオを解析したところ、突然、「車1台分に相当する火が出た。ライターや家庭用ガスボンベによる出荷(出火)というよりは、ガソリン缶やストーブなどが破砕施設に持ち込まれ出火した可能性も否定できない(関係者談)。」とのことであり、再発防止のためにも、消防当局による現場検証作業によって出火原因を明らかにする必要がある。

(http://blog.livedoor.jp/minami758/archives/2350559.html)…

 ・・・ガソリン缶やストーブは、事前に目視で除去できないはずはなく、この「関係者」の話には違和感があります。「車一台分に相当する」のはおそらく一斉に火があがった面積のことを言っているのでしょうが、ガソリン缶やストーブ内の石油・灯油が原因なら、その前の段階で、「匂い」でわかるはず。それとも目視選別もせずにすべてを破砕機にぶちこんでいるのか?だとしたら、とんでもない管理不行き届き、不適正処理じゃない?

 名古屋市ではプラスチックは平成23年度に不燃ごみから可燃ごみへと変更されていますが、破砕施設に運び込まれる粗大ごみにも、木材やプラスチックなど可燃物が使用されています。これらの粗大ごみは、破砕された後、さらに可燃物と不燃物に分けられ、可燃物はガス化溶融炉にぶちこまれますが、それでも相当量の可燃物(=有機物)が、そのままピットの中に残っているはず。施設が停まれば、そこで有機発酵が起き、可燃ガスが充満し、発火に至るのはRDFでおなじみ。実際、有機ごみを含む破砕工場は、RDF工場と同じように、いつでも火災・爆発の危険性があるのです(それにリチウム電池などが混入していたら、発火はより簡単)。

 従って、その可燃ガスがそのままでは、いつ爆発に至ってもおかしくなかったわけ。そこで、強制排気が行われました。

■ 火災の経緯
・・・警備員が午前10時41分に119番通報を行い、放水銃による散水作業、ごみピット内への水の充填等の消火活動をおこなった。およそ14時間後に鎮火したが、ごみピット内に充満した煙を外部に放出したため、隣接する住宅(南区宝生町)の方々に排煙に伴う異臭など多大な迷惑をおかけすることになった。

 焼却炉にも破砕工場にも、まさかの時には住民に汚染を押し付けて施設を守るための、外部にガスを放出するシステムがあるわけです。そ、原発のベントと同じ。また、横井議員によると、この火災による熱でごみを運ぶクレーンの部品が破損し、その修理のために、施設は当面、操業を停止するとのこと。費用については、平成20年のコンベア火災の修理にも30億円、1年余を要したそうですが、今度はどうなるか。・・・その前に、住民、特に小さい子どもたちの呼吸器官に問題がおきないか心配です。

 ごみ処理施設はすべて、危険な公害施設であるということを忘れないでおきましょう。2016.1.4

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/