白昼の殺人(ミネアポリス)

 あまりにもひどい事件なので少しフォローします。アメリカが自称する「自由と民主主義の国」は、実は「差別と圧制の国」であることを隠すための標語。↓はNHK国際の報道の一部(写真カット)
トランプ大統領 デモの一部暴徒化に必要なら軍派遣と警告
 …アメリカでは、中西部ミネソタ州で、5月25日、黒人男性が白人の警察官にひざで押さえつけられ死亡する事件が起きたことをきっかけに、抗議デモが首都ワシントンやニューヨークなど全米に広がっています。多くのデモは平和的に行われているものの一部が暴徒化して物を壊したり略奪したりしていて、AP通信はこれまでに5600人以上が拘束されたと伝えています。
こうした中、トランプ大統領はホワイトハウスで記者会見し、破壊行為や略奪について「国内でのテロ行為だ」と非難したうえで「住民の命や所有物を守るための行動を拒否する州知事や市長がいれば、私がアメリカ軍を派遣して瞬時に問題を解決する」と述べ、必要であれば大統領権限で連邦軍を派遣すると警告しました。また、アメリカの複数のメディアは、トランプ大統領が記者会見の前に行った州知事とのビデオ会議の音声を入手し、この中でトランプ大統領は「抗議デモを制圧しなければならない。時間をむだにするな。デモ参加者になめられ君たちは愚か者に見られてしまう」と発言したと伝えました。これに対し、野党・民主党の州知事の間からは「大統領の攻撃的な発言がかえって対立をあおっている」との批判の声が上がり、ニューヨーク州のクオモ知事はツイッターに「大統領は自国民に対して軍を派遣しようとしている。彼にとってはすべて『リアリティーショー』だ。恥ずかしい」と投稿しました。ワシントン・ポストなどは、国防総省高官の話として、連邦軍の憲兵隊や工兵部隊が治安維持に備えてすでにワシントン近郊に待機していると伝えていて、事態が収束に向かうかは不透明です。
地元当局は殺人と断定
 事件で亡くなったジョージ・フロイドさんの死因について、中西部ミネソタ州の地元当局は1日、「法の執行による制圧と拘束、首の圧迫による心肺停止」として、殺人だと断定する調査結果を公表しました。発生状況については「警察官によって拘束された際に心肺停止に至った」としています。また、フロイドさんが動脈硬化症や高血圧による心臓病の持病があったことや、薬物を使用していたことが影響した可能性もあるという見方を示しました。
黒人への暴行事件が後を絶たず
 アメリカでは、白人の警察官が取締りの際に黒人を暴行したり死亡させたりする事件が後を絶たず、これに反発した市民による抗議が繰り返されてきました。
 1991年、西部カリフォルニア州のロサンゼルスでは白人警察官4人が飲酒運転の疑いがあったロドニー・キングさんを路上で暴行する様子がテレビで放映されました。しかし、1992年、この警察官たちが無罪となったことに黒人たちが強く反発して、「ロサンゼルス暴動」と呼ばれる大規模な暴動が起きました。2012年には、南部フロリダ州で、黒人の高校生、トレイボン・マーティンさんが自警団の男性に銃で撃たれて死亡する事件が起き、警察は当初、正当防衛にあたるとして、男性を逮捕しませんでしたが、「人種差別だ」として抗議する声が広がり、およそ40日後に逮捕しました。2014年には白人警察官の取締りで黒人が死亡する事件が相次ぎ、このうち、ニューヨークでは、違法なたばこを販売していたとして、43歳の黒人男性が複数の警察官に取り押さえられ、その際に首を絞められて死亡。中西部ミズーリ州のファーガソンでは、18歳の黒人の少年、マイケル・ブラウンさんが白人の警察官に銃で撃たれて死亡しました。しかし、いずれの事件でも警察官は起訴されませんでした。
 新型コロナウイルスの感染が広がったことしに入ってからも、黒人差別だとして反発を招く出来事が相次いでいます。2月、南部ジョージア州でジョギングをしていた黒人男性を射殺した疑いで、白人の元警察官と息子が5月になって逮捕されましたが、逮捕は、事件の映像がSNSに投稿されたあとだったことから、「被害者が黒人であるため不当に扱われた」として、各地で警察への抗議の声があがりました。5月25日にはニューヨークの公園で、犬をリードでつながずに散歩させていた白人女性に対し、黒人男性が公園の規則に従うよう注意したところ、女性が「アフリカ系アメリカ人の男に命を脅かされていると警察に言う」などと叫んで通報する様子の動画が広がり、女性に批判が集まりました。
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 日本のメディアでは「死亡」ですが、これは真昼間、衆人環視の中で行われた公開処刑=虐殺です。フロイトさんは46歳。元バスケのスターだったとかで立派な体格ですが、警官が主張するように「抵抗」などしていません。下の動画①と②は虐殺シーンを含む抗議行動の動画。③は首をひざで押さえつけられたフロイトさんが、「息ができない」とあえぎ、空気を求めてもがきながら、やがて動かなくなり、担架で救急車に運びこまれるまでの動画(子どもには見せないようにご注意を)。なお、抗議活動が活発化したため、この件にかかわった四人の警官は28日までに免職されています。
①https://www.youtube.com/watch?v=xz575YtRnpA(ミネアポリス抗議行動)4‘43”

②https://www.youtube.com/watch?v=DhY1cocW0-c(フロイトの最後の瞬間―分析)2‘47″

③https://www.youtube.com/watch?v=oCb8gFRrJU0(フロイト、白昼虐殺される)10‘08”

 警官がフロイトさんが動かなくなっても膝をはなそうとせず、事が終わった後も平然としているのに、アメリカ社会の「病理」を感じます。そして、これがアメリカの日常。ちなみにコロナ外出禁止令の先にある「ワクチン強制接種」で動員されるのが彼らです。新人警官を募集し、ワクチンを拒否する家庭のドアをけ破って家に入り、抵抗すると家から引きずり出し、医療刑務所に送り込む訓練が行われているらしい。…この事件がアメリカ人の覚醒=革命=につながらないもんか。

2020.6.3

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/