気になるナノテク

 ずっと前から気になっているものの一つに「ナノテク」があります。ま、科学的なことはそれぞれで調べていただいて、今日は、「やっぱりね」と思うような記事を目にしました。
 「お母さんの胎盤は、プラスチックのナノ粒子を防げない」こういう記事です。
 
 動物実験では、ナノ粒子が胎仔の脳や神経系統を傷つけ、死亡に至らせることが知られていますが、これがヒトで確かめられたのは初めて。スイスの研究者グループは、出産直後の女性に提供してもらった胎盤に、蛍光剤を加えたポリスチレンのナノ粒子入り溶液を注入し、胎盤を通過するかどうか調べました。すると、50、80、240ナノメートルの粒子は、15分で胎盤の母親側から胎児側に出てきたのです。500ナノのものは、6時間の実験時間中には移動しなかったそう。
Barrier Capacity of Human Placenta for Nanosized Materials
http://ehp03.niehs.nih.gov/article/info%3Adoi%2F10.1289%2Fehp.0901200
 「ごみを燃やす社会」では、焼却排ガスのPMの危険について書きました。PMはせいぜい2・5とか10マイクロメートルという大きさですが、それでも、呼吸と共に脳や肺に到達し、健康被害を起こすことがわかっています。それよりずっと小さいナノ粒子は、毒性ははるかに強く、しかもコントロールできません。なのに、ナノは薬品や化粧品に普通に使われています。たとえば、日焼け止めクリームに使われているチタンのナノ粒子は、フリーラディカルを発生させるという実験結果があり、オーストラリアではナノ化粧品を使わないようにというキャンペーンもあるほど。
 でも、化粧品や薬は避けられますが、問題は焼却炉や工場、車の排ガスのナノ粒子。大気はつながっているので、大気汚染は人体被害に直結するのですね・・・ということで、欧米では焼却炉や工業過程のナノ粒子と健康被害について、たくさんの研究がなされ、とうてい読みきれないくらいの報告が出されていますが、日本ではどうでしょうか。環境にうるさい人がもっともっと多くならないと、原状は変わらないでしょうね。2010517

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/