ベビーパウダーでがん、J&J、賠償を命じられる

 どの家にも無害な顔をして転がっているベビーパウダー、それでがんになるとは・・・そしてこのニュースが、日本ではたいして話題にもなっていないとは・・・






J&Jに81億円の賠償義務と米陪審-ベビーパウダーめぐり
2016/02/23 15:20 JST(ブルームバーグ):・・・昨年死亡したジャッキー・フォックスさんの遺族は、フォックスさんが
ベビーパウダーを含むタルク(滑石)原料の同社製品を長年使用していたことが原因でがんになったと主張している。タルク原料の製品ががんを引き起こす可能性を数十年前から知りながら、J&Jが消費者への警告を怠ったとして起こされた訴訟で、同社に損害賠償の支払いが命じられたのは初めて。J&Jの弁護人を務めるジェラード・ノース氏は評決についてのコメントを控えた。

 
 で、海外記事を検索したところ、アメリカ女性はベビーパウダーを会陰部に使うと知り、驚きました。それはJ&Jが「一日をさわやかに過ごすために」「いやな匂いを消すために」と、「そこ」への使用を宣伝していたからです。J&Jのベビーパウダーは1890年代から販売されている有名商品。消費者はその宣伝を疑いもせず、下着からナプキンにいたるまでパウダーをふりかけるのが習慣となってしまったとのこと。中にはタンポンや、避妊器具のペッサリーやコンドームにまで使う人も多いとか・・・でも、これは生殖器に直接、異物を入れることになり、それを長年続けていれば、そりゃあ子宮や卵管、卵巣に蓄積して異常が出てきても不思議はありません。
 ベビパウダーの原料、タルク(滑石、ミネラル)には、マグネシウムやシリコンのほか、微量のアスベストが含まれている場合があり、1970年以後、「アスベスト・フリー」に切り替えられるまで、この製品はもろ発ガン物質だったのです。ただし、その頃は社会がそれほど豊かではなく、使用者は限られていたので、病気との関連はあまり認識されなかったのでしょう。
 
 今は違います。誰もが、不必要なほど大量にシャンプーやリンス、デオドラントなどを使っているのです(その安っぽい化学物質の匂いのおかげで、私は外出のたび気分が悪くなる・・・)。なお、国際がん研究所(IARC)は、○アスベストを含むタルカムパウダーは「ヒトに対して発がん性がある」とする一方、○会陰部へのタルカムパウダーの使用は「ヒトに対して発がん性がおそらくある」と、2Aクラスに分類しています。

 今回の判決の前にも、南ダコタ州の女性が「ベビーパウダーで卵巣がんになった」としてJ&Jを訴え、2013年に勝訴していました。この女性もがんと診断されるまで、30年にわたって同パウダーを使い続けていたのです。それでなくても、ベビーパウダーの微細な粉末が赤ちゃんや幼児に危険、との指摘もずっとなされてきました。これは鉱山労働者や解体業者が、労働環境のせいで塵肺になったり、PM2.5が死に直結するのと同じで、「小さい」ことそのものが人体にとって有害なのです。ベビーパウダーと発がんの關係を調べた医学論文もたくさん発表されていました(もちろん御用医師による「まったく問題なし」の論文もあるでしょうが)。

 問題は、このような批判にさらされても、J&Jは、決して製品に注意書きや警告を出そうとせず、そのため被害者が増え続けたこと。その結果が、1200にものぼる訴訟です。J&Jは、2013年にも、抗精神病薬「リスパダール」に関し、事態を拡大させまいと罰金約22億ドルを払ったという企業です。つまり、消費者の安全よりも企業のメンツ重視型。ま~、アメリカの健康行政は、それほど企業の支配下にあるのですね。2016.3.17

(参考サイト)
米J&J、「リスパダール」めぐり米当局と和解-22億ドル … http://www.johnsonandtoxin.com/
https://www.drugwatch.com/talcum-powder/ovarian-cancer/
http://naturalsociety.com/bombshell-lawsuit-johnson-and-johnson-baby-powder-cancer-63758/

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/