ベビーパウダーの発ガン性、わかっていた

 ジョンソン&ジョンソンの「ベビーパウダーでがん、J&J、賠償を命じられる (03/17)の続き(続けて読んでほしかったので、↑の投稿を27日に改めました)。
 J&J社が「懲罰的罰金」をくらった経過を知りたいと思って検索したら、2009年のハフイントン・ポストの記事「タルカム・パウダー、隠された危険」という記事を見つけ、読んでびっくり。ベビーパウダーは昔から発がん性があることがわかっており、企業はそれを隠していたとは・・・この記事の書き手は医師のサミュエル・エプスタイン氏、イリノイ大学(シカゴ)公衆健康学部環境職業医療の名誉教授で、200本以上の科学論文や15冊の本の著者であり、全米がん予防連合Cancer Prevention
Coalition
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会長です。以下、いつもの山本の「超訳」です。論評の際は原文(文末)にあたってね。

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 誰もが一度は使ったことがあるはずのベビーパウダー、これはやわらかいマグネシウムシリカのミネラル化合物を加工したもので、タルカムパウダー、あるいはタルクと呼ばれています。タルクのパウダーは赤ちゃんや幼児の湿疹やおむつかぶれを抑えるために、よく使われています。しかし、この習慣は危険なのです。それによってかなりの量の粉末を吸い込むため、肺に急性・慢性の炎症が起きるからです。これをタルコーシスと呼びますしかし、今は安全な代替品であるコーンスターチ製のパウダーがあり、それに切り替えることでこのリスクは避けることができます。(山本注:タルコーシス、Talcosis、タルク塵肺症;
滑石肺症; タルク肺;
滑石沈着症; 滑石肺

 ジョンソン&ジョンソンが製造し、オスコ、ウオルグリーンズ、その他のドラッグストアで広く販売されているベビーパウダーは、女性に対し、陰部の匂いが隠せるとして熱心に使用が勧められてきました。しかし1971年には、陰部へのタルク使用の危険について最初の警告が出されています。卵巣がんからタルクの分子が見つかったという報告があったのですが、J&J社の医薬品部長、ヒルディック-スミス博士は、この発見に激しくかみつきます。そしてこの論文が、名高い医学雑誌、「ランセット」に発表された時には、「タルクは卵巣に対し・・・おそらく有害かもしれない(ので)・・・無視されるべきではない」となってしまったのです。

 1982年にはDr.Cramerらが、タルカムパウダーを使った女性は卵巣がんのリスクが3倍高いとする論文を発表しています。また1986年にはJ&Jの技術的見通しに関する内部資料で、ベビーパウダーに対する懸念が高まっており、売り上げが落ちると考えていたことがわかりました。

 これらの警告が確定的となったのは、1992年、医学雑誌「産科婦人科学」の論文で、タルクを常時使用している女性は、使わない人に比べ、卵巣がんのリスクが三倍高いと発表された時です。問題のタルクは、「ベビーパウダー」というブランド名で示してありました。これに引き続き、卵巣がんとタルクの関係を裏付ける学術論文が、有名な学術誌の「キャンサー」「ランセット」「オンコロジー(腫瘍学)」などで次々と発表されました。
 それらの研究の頂点となったのが、2003年、「アンティ・キャンサー・リサーチ」誌で発表されたメタ分析(大規模な比較分析の論評)でした。この分析で合計で11,933人の女性を対象にした16本の先行研究を見直したところ、タルクの常時使用の女性の卵巣がん発生率は、対象郡に比べ33パーセント高いことが確証されたのです。

 卵巣がんを患う65歳、あるいはそれ以上の年齢の女性が大量死の率が急上昇しているのは不思議はなかったのです。特にタルクの使用が多い黒人女性では、それが顕著です。
 アメリカでは毎年、1万6000人の女性が卵巣がんで死亡しています。これは女性のがんによる死因の中で四位にあたります。ある推定によれば、アメリカでは五人に一人が陰部にベビーパウダーを使用しており、その用法は、直接ふりかけたり、タンポンやナプキン、あるいはペッサリーにふりかけたりしているとのことです。

 タルク使用の危険性は化粧品業界でさえ認めています。2002年、「化粧・衛生・香水協会」の会長エドワード・カバノー氏は、「タルクは毒性があり、ヒトの卵巣に達することができる」ことを、しぶしぶ認めました。それにもかかわらず、タルク製造者が、その製品が健康を害する恐れがあると警告を表示しないのは理解できません。FDA(食料薬品局)もまた、タルクの危険性について何も触れようとしていません。

 アメリカ保健福祉省法制委員会の臨時次席委員は、1993年、「我々は医学文献の中で、長年にわたるタルクの使用により、それが卵巣がんに発展する統計的可能性があるとのリポートがあったことに気づいている」と認めました。しかし、この公務員は、驚くべきことに、「FDAは禁止したり、制限したり、製品のラベルに警告表示を求める考えはない」と続けたのです。

 タルクの危険性に気づき、一方で政府が決して責任を取ろうとしないことに危機感を覚えた「がん予防連合」は1994年、「憲法上の権利を求めるニューヨークセンター」と共に、FDAに市民請願を提出しました。陰部へのタルクの使用は卵巣がんのリスクをもたらすという警告を表示するよう求めたのです。しかし、FDAはまたもやこれを拒否しました。

 2008年5月、がん予防連合は新たに請願を出しました。今回は、有機農業消費者協会、国際人道的薬剤協会、全米黒人女性議会のフェイ・ウィリアムズ博士など幅広い分野の賛同を得てのものでした。私たちは、タルクの危険性についての新たな科学的根拠にもとづいて、FDAはすべてのタルク製品に警告表示を義務付けることを求めました。「タルカムパウダーを陰部に使うと卵巣がんのリスクをかなり高めます」という風に。

 しかしながら、当時FDA委員長であったアンドリュー・フォン・エッシェンバッハ医師はこの請願に応えなかったのです。私たちは尊敬すべき新長官のマーガレット・ハンバーグ医師が、タルクの危険に気づかない女性たちを守るために、早急に規制に向けて動かれることを期待しています

(原文)Talcum Powder:
The Hidden Dangers by
Samuel
S. Epstein 

http://www.huffingtonpost.com/samuel-s-epstein/talcum-powder-the-hidden_b_279523.html 

(その他の参考記事)

http://www.talcumpowdercancerlawsuitcenter.com/talcum-powder-warning.asp

Talcum Company Calls Study on Cancer Link Inconclusive

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/