チェルノブイリ、その後


 日本人は「フクシマの衝撃」がわかっていないの? と思いたくなるようなニュースばかり流れます。たとえば「 福島県では農作物から国の暫定基準値を超える 放射性物質が検出されるなどしたたため、31日から県内の田畑で土壌調査を始めまし た」①
 
「土壌検査を通じて、これから栽培される農作物の安全性をPRしていきたい」、というから絶句です。何千キロも離れたアメリカでもミルクから放射能が検出されているのに、汚染源のそばでまだ農業ができる、という幻想をふりまくのは犯罪です。
 菅首相の「高台に家、漁港へ通勤―被災地再生の街づくり構想を」②に至っては、許せません。4月中に補正予算案をまとめるそうだから、もうハゲタカ・ゼネコンが裏で暗躍を始めているのでしょうが、「世界のモデルになるような街づくり」に、いったい誰が住むの? 福島県はもちろん、岩手・青森だって汚染がひどくなる一方だろうし、三陸鉄道は壊滅状態。早く大規模避難を実施して、住民を保護するのが先でしょう。
 企業の貪欲と、行政・政治家の無知・無責任が招いた「汚染の時代」。私たちはこれから、そんなこわいものと共存を強いられるのです。だから、今後、何が起きるか知っておく必要がありますが、そのためにはまず「チェルノブイリ」を知るのが一番。日本語でも関連本はたくさん出ていますが、最近、英語圏での出版も多く、別のブログでも少し書きました(チェルノブイリでは何がおきたか 03/31)が、こちらにもポイントだけ引用しておきます。

 1.汚染地域では甲状腺悪性腫瘍が100倍、被爆による腫瘍(白血病、骨や脳腫瘍など)が50倍に増加した。異常の多くは子どもに見られた。
 2.遺伝子突然変異による先天異常のうち、感覚、心臓血管、骨格、筋肉系統、結合組織、神経系統の異常、および精神異状が30パーセント増加。
 3.早産が20パーセント増加。
 4.ただし、上の数値には、放射線を浴びたことによる自発的堕胎、流産、死産は含まない。
 5.これらの問題を取り上げたり、批判した物理学者や科学者は、信用をなくされるようなことをされたり、首になったり、投獄されたりした。
 6.低レベルとされる被爆さえ、今なお危険なレベルにある。
 人口も減るでしょう。すでに相当、ヒトの遺伝子は弱っています(精子の数が激減しているってニュース、放射能にも関係あるんだけど、誰も言わない)。もっとも、人口減を望んでいる向きもあるわけだから、本当に怖い時代ですね。でも、乗り切らないと。2011.4.2

① 福島県 田畑の土壌調査を開始 NHKニュース 2011年3月31日
www3.nhk.or.jp/news/html/20110331/t10015020031000.html
http://www.asahi.com/politics/update/0401/TKY201104010428.html
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この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/