いまどき原発工事を再開? 大間MOX炉

 函館の知人から、「このままでは大間原発が建ってしまう!」という緊急SOSが入りました。フクシマ後、各地で原発稼や建設を中止する運動がさかんになっていますが、大間原発の知名度は低いようで、検索しても、「浜岡原発」(静岡県)の約100万に対し、「大間原発」でヒットしたのはわずか2万件。
 大間町は、青森県下北半島の突端にある人口わずか6300人ほどの小村。日立GEニュークリアエナジー社は、ここに、フクシマ3号炉と同じ、濃縮ウラン燃料のほかに、ウランとプルトニウムの混合酸化物燃料を使うプルサーマル発電炉を建設中です(事業主は電源開発)。海峡をへだてた函館まで直線距離で18キロほど(青森市より近い)。それなのに、政府は、防災対策の範囲をわずか10キロ以内としたため、函館市民に対しては説明会さえ行われていません。
            
 同県には高レベル放射性廃棄物を一箇所に集めて保管する六ヶ所村や、東通原発も建設中で、青森県は大きな爆弾を抱え込むことになります。ところが、大間町のホームページには、原発のことなど一言も見当たりません。でも、年表にはこそっと「1976年4月大間町商工会は原発新設に係る環境調査実施方を(町議会に)請願」と書かれていました。http://www.net.pref.aomori.jp/ooma/
 この請願を受けた町議会が、1984年12月に「原発誘致」を決議しているから、町民が「原発欲しい」とお願いした形ですね。推進派がよくやる手。実際には、地主の強硬な反対などで、計画は二転三転し、着工は2008年5月と大幅に遅れました。ところが、2014年の稼動をめざし、進捗率35.3%(2011年2月20日現在)になったところで、地震・津波、そしてフクシマ事故が発生したのです。
 この結果、東通原発1号機、大間原発、は一斉に工事が中断されました。いいえ、「危険だから」ではなく、「材料が手当てできないから」。そして、これに対し「早く工事の再開を」と望む声が、なんと大間町から出ているというのです。同町には反対運動もないそうで、すでに生活が原発マネー抜きではやっていけなくなっているのでしょうか。
 原発ができれば、有名な「大間マグロ」も売れなくなるし、原発関連の補助金が打ち切られれば(5年間)、生活は今よりもっと苦しくなるはずなのですが(これはフクシマ・双葉町でも同じ)・・・つまり原発立地は、カネと理解力の問題。これで何世代も続く汚染源を抱え込むというのは、あまりにも情けない。そこで発電された電力はどこに向かうの?
 「大間原発訴訟の会」http://ameblo.jp/ooma/entry-10483077057.htmlなどが、この計画を阻止しようとがんばっているようです。ターゲットを絞ればまだ止められるはずですから、どうぞみなさんも協力してあげてください。2011.4.21
(参考)
http://www.hokkaido-np.co.jp/cont/kawaraban/58293.html
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110317/dst11031718490071-n1.htm
http://www.jpower.co.jp/news_release/pdf/news081111-2.pdf
http://www.hitachi-hgne.co.jp/activities/abwr/domestic/ohma_state/index.html
http://ceron.jp/url/www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/286362.html

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/