IAEAと結託した福島県のごみ処理

 放射性廃棄物の処理に抵抗が続いているのを見て、ついに国際原発マフィアが前面に出てきました。国際機関のありがたい「お墨付き」をちらつかせて、住民に「新技術」を受け入れさせようという魂胆。福島県民は実証実験のモルモットとして提供されるわけで、広島原爆の生涯調査(ABCC、治療をせず放置、データはすべて米国行き)に似た気の悪さを感じます。これが、いずれ、すべての焼却炉に適用され、全国に広がってゆく。

焼却灰からセシウム分離 県とIAEA 来年中にも実証実験

2013/10/14 10:49 カテゴリー:
主要http://www.minpo.jp/news/detail/2013101411504
 県と国際原子力機構IAEAは平成26年中にも、ごみ処理施設などで出る焼却灰から放射性セシウムを分離する実証実験に入る。県内では現在、約13万トンに上る焼却灰の受け入れ先が決まらず、今後も増える見通し。自治体などは保管場所確保に苦慮しており、昨年締結した両者の国際協力プロジェクトの一環として取り組む。セシウムを焼却ガスに取り込み、灰に残さない焼却法を確立する。実現すれば、埋め立てや工業用資材としての再利用が進むと期待される。

 県とIAEAが検討する処理工程は【図ー省略】の通り。可燃ごみなど廃棄物を焼却する際に温度調整し、セシウムが動きやすい状態とする。さらに、薬剤でセシウムを化学反応させ、焼却により発生するガスに濃縮して含ませる。ガスはフィルターで捕捉され、冷めて燃え残りとなる。炉内の焼却灰にセシウムはほとんど含まれない。IAEAは放射性物質の研究を積み重ねており、県内のごみ処理施設で実施することは十分、可能とみている。県は今月末、担当者をウィーンのIAEA本部に派遣し具体的な協議に入る予定だ。26年中にも県内のごみ処理施設で実証実験に入り、成果が出れば本格実施に移行する。
 この焼却法では、全体量の7割が焼却灰に、3割がセシウムを含む燃え残りとなる。
 放射性物質汚染対処特措法の規定で、セシウムが1キロ当たり8000ベクレル以下の焼却灰は、埋め立て処分やアスファルト材などへの再利用が可能だ。8000ベクレル超~10万ベクレル以下は富岡町の管理型処分場に運び込む計画となっている。県は市町村と連携し、焼却灰の安全性を訴え、埋め立てや再利用を加速させる。燃え残りはセシウム濃度が8000ベクレルを超えるとみられ、中間貯蔵施設か富岡町の管理型処分場に搬入することを想定している。
 県によると、県内の自治体や衛生処理組合などの約20のごみ焼却施設では8月末現在、13万2000トンの焼却灰が処分できず、施設内などに保管されている。内訳は8000ベクレル以下が4万7000トン、8000ベクレル超~10万ベクレル以下が8万5000トン。放射線の影響を懸念し、建設資材として引き取る業者は極めて少ない。一方、富岡町は搬入に同意しておらず、比較的放射線量が高い県北や県中地区のごみ処理施設を中心に焼却灰がたまり続けている。
 県とIAEAは、こうした現状を打開しようと、今後の焼却処分の過程で発生する焼却灰からセシウムを取り除く技術を開発する。廃棄物処理が専門の高岡昌輝京都大大学院地球環境学堂教授は「分離操作が実現できれば、灰の処理はしやすくなる」とした上で、「わずかにセシウムが含まれる灰の処分に向け、住民理解を進めることも重要」と指摘している。
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 これまでに、ごみ処理施設にたまった13万2000トンからセシウムを分離する方法は見いだされておらず、県生活環境部は「国も処分に協力してほしい」としている。

 「セシウムが動きやすい温度調整」なんていっても、しょせんは焼却処理。セシウムの気化を抑えようとすると、ダイオキシン類が大量に発生するという矛盾は解消できないはず。第一、原発を進めてきたIAEAが廃棄物処理に乗り出しては、「核のごみは出ない」という新たな神話につながるでしょう。反IAEA連盟でも作らなきゃね。2013.10.16

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
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