徐々に住めなくなる・・・焼却施設が集中する福島県

 放射能汚染によって全村避難が続いている飯舘村。「悲運」に見舞われたこの村が、なんと「指定廃棄物焼却炉」の受入れを決めたというのに唖然としました。鮫川と同じく、村長の独断っぽい。記事には「指定廃棄物」という言葉さえなく、「村外から高濃度放射線廃棄物を受け入れる」という意味が本当にわかっているのか、ぞっとします。

減容化施設受け入れ
201310101111
 ●飯舘村 村外の廃棄物も
 飯舘村は9日、蕨平地区に国が計画する放射性物質を含む廃棄物の減容化施設を受け入れることを決めた。村の除染で出る廃棄物のほか、村外6市町からも稲わらや牧草などを受け入れ、燃やしてかさを減らして一時保管した後、処分場へ運び出す。複数の自治体の放射性物質に汚染された廃棄物を集める処理施設ができるのは初めて。村と環境省は9日、福島市内で記者会見を開いて明らかにした。減容化施設は、可燃性のごみを1日当たり240トンを燃やせる焼却炉と、1日当たり10トンの焼却灰や除染で出た土から、放射性セシウムを分離して、資源として使える部分を取り出す実証実験施設からなる。蕨平地区の共有地約10ヘクタールに、今年度末までに着工し、2014年度中に運転開始する予定だ。廃棄物は福島、相馬、南相馬、伊達、国見、川俣の6市町で出る、稲わらや牧草、下水汚泥や、飯舘村の除染で出る土や片付けゴミなど計約21万トンを見込む。焼却に伴う排ガスや飛灰は専用のフィルターで取り除き、放射性物質が外部に漏れないようにする。排水も流さないという。村は環境省とともに、地元向けの説明会を開催。今月7日にも最後の説明会を開き、地元の同意を得た
  村は9日、施設完成後、最大5年(実証施設は3年)で運転を終えることや、安全対策と情報公開の徹底などを記した確認書を環境省と交わした。東京で菅義偉官房長官に、住民の安全安心確保のため政府が責任を持って対応することを求める要請書も出した。6市町には飯舘村民が避難している。菅野典雄村長は廃棄物受け入れについて「村民のサポートをいただいている自治体へのお手伝いになる。お互い助け合うということだ」と語った。会見場では、同席した地元住民から「本当に期限で撤去してくれるのか」との声が上がったが、菅野村長は環境省との確認書を示し「最大5年と約束している」と説明した。 ただ、村中部で農業をしていた菅野浩さん(45)は「村外の汚泥も運び込むことなど、知らない村民も多い。必要性や安全性の説明を丁寧にやるべきだ」と話す。環境省は減容化施設を田村市都路町と川内村にまたがる東京電力の敷地にも計画しているが、周辺住民の多くは「住民の帰還を妨げかねない」などと反対している。(小坪遊)
http://www.asahi.com/articles/CMTW1310100700001.html

 「地元の同意を得た」というのも信じられません。避難している人々の同意をどうやって得たのか。公害防止協定を結ばず、「確認書」というのも怪しい。鮫川村長は2014年の秋ごろ「帰村宣言」を出すと発表していますが、さらなる汚染の中に村民を呼び戻すの?
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20121211-OYT1T01217.htm
焼却すれば、見た目のごみは減りますが、その実、排ガス、灰、排水によって相当広範囲が汚染され、その汚染は回収できません。汚染物はなるべく隔離して(東電付近に最終処分場ができるまで)一時保管しておくしかありませんが、そこに、指定廃棄物焼却炉という「電離則対象施設」を作れば、子どもや若者は住めません。鮫川村でも村長初め行政職員らの認識の低さに驚かされましたが、それこそ、環境省のねらい目なんですけどね。2013.10.12

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/