がれき受入、森富山市長を告発

 長くなるけれど、告発状全文です。告発文を書くのは久しぶり・・・ほんとはもっと詳しく書き込みたかったけれど、時間がないので今回はいわば簡単版です(以下あて先、日付などは省略)

【告発の趣旨】
 富山市長森雅志氏の、がれき受け入れ事業という行為は、市民の健康・財産に大きな損害を及ぼし、公務員職権乱用罪(刑法193条)、傷害罪(刑法204条)、背任罪(刑法第247条)に該当とすると思われるので、早急に犯罪事実を取調べ、被告発人を厳正に処罰することを求め、ここに連名で告発する。

【告発に至る経過】
 富山市長森雅志氏は、市民の強い反対を押し切って、東北大地震で発生した災害廃棄物(がれき)の受け入れを決定し、20121216日から18日の早朝にかけて、岩手県のがれきを富山県中新川郡立山町にある富山地区広域圏クリーンセンターにおいて、一般廃棄物に約3パーセント混ぜて試験焼却を行った。また、この試験焼却の際に出た焼却灰を、同年1218日に富山市の山本最終処分場に埋め立てたが、この際、公害防止協定違反であるとして、これに抗議した現地の住民ら威力業務妨害で告訴している。今後、5月には本焼却を開始すると公言している。

【告発の
事実
一、震災がれきは、放射能を初めとした数多の汚染物質を含む極めて毒性が高いものであり、普通の廃棄物とみなすのは不適正である(そのため、一般廃棄物と混ぜて焼却し、排ガスに含まれる毒物の濃度を下げて放出する)。富山市は本来、その区域内で発生した一般廃棄物のみを処理すればよいことが法律で決まっており(地方自治法・自治事務)、遠隔地で発生した毒物を含むがれきを処理する義務はまったくない。しかも、市町村は、一般の市町村は放射能に対しても、その他毒物を含むような廃棄物に対しても何の知見もなく、当然、それらを適正に処理する能力も、また、経験もない。さらに、がれきの広域処理は根拠法を欠くという重大な違法があり(廃棄物処理法を暫定的に「読み替え」運用しているが、法的整合性は取れていない)、森市長の行為は、特別公務員としても、広域圏の理事長としても、裁量権の濫用であり、刑法193条の公務員職権濫用罪にあたる。

二、がれきに含まれる毒物とは、たとえば、セシウム、ウラン、ストロンチウム、トリウム、プルトニウムなど放射性物質、
PCB、ダイオキシンなど有機塩素系化合物、ヒ素、六価クロム、アスベスト、カドミウム、鉛など有害重金属スミチオン・グルホシネートなど農薬類、トルエン・ベンゼンなど揮発性有機化合物などを言う。いずれも、個別法で厳重な処理が規定されているだけでなく、PRTRにもとづいて、発生量や放出量を厳密に把握し、記録することが求められている例:PCB
は人の健康及び生活環境に係る被害を生ずるおそれがある物質であることから、「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」にもとづいて処理しなければならない)。
 しかし、がれきにおいては、これらすべてが渾然一体となっており、分別は不可能である。また、現在の焼却炉の燃焼温度は850度以上に設定され
いるため(ダイオキシン対策)、これらの毒物を含むがれき
を焼却すると、沸点の低い物質は気化して環境中に放出され、その結果、処理施設周辺の住民のみならず、排ガスが及ぶ地域の住民までも、等しく汚染にさらすことになる。特に化学物質に過敏な体質の場合、症状が悪しさせたり、特定の疾患に罹患したりする蓋然性が強い。がれき焼却による健康被害は、すでに、北九州市や大阪市で多数報告されており(市民側のまとめ)、この事業が富山市民に傷害を与えることは明らかであり、よって、森市長の行為は傷害罪もしくは障害未遂罪、刑法
204
にあたる。

三、富山地区広域圏クリーンセンターや山本最終処分場は、いずれも公害施設であることから、市(広域圏)と地元自治会との間に、公害を未然に防止する目的で「公害防止協定」が締結されている。それらはいずれも、地域内の廃棄物だけを受け入れることを原則としており、協定に定めがないことについては双方協議することを規定している。
がれきの受け入れについても、当然、この公害防止協定に基づく協議を行わなければならず、市民はその点を強く追及したが、森市長はこの協定を完全に無視して、がれき焼却と焼却灰の埋め立てるという、傷害罪を行使する行為を行った。この公害防止協定は、官民の契約であるところ、森市長がその契約書一方的破棄したのは、自治体の長として明らかに違法かつ不適正な行為であり、背任罪(刑法第247条)に相当する。

 その他、「がれき受け入れ」は、さまざまな行政法、特に環境法令に違反している。また、富山市長を初めその部下職員らは、がれきに反対して行動している市民らに対し、くりかえし暴言を吐いたり、侮辱的な言葉を浴びせるなど、人権侵害の行為も多い。
 富山県は、奇跡的に放射能汚染が低いレベルで推移しているが、いったんがれきを受け入れてしまうと、山形や大阪、静岡のように、線量の上昇は避けられないだろう。さらに、放射能に汚染された廃棄物の持ち込みが常態化し、次は廃止原発の廃棄物まで受け入れざるを得なくなる事態に発展することが懸念される。富山で、再び、イタイイタイ病の愚をくりかえさせないためにも、森雅志氏を厳しく取り調べ、厳罰に処せられたく、刑事訴訟法第239条の1にもとづいて、ここに告発する。以上

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/