東京都は震災ガレキの焼却・埋め立てを開始しました。公然たる汚染の拡散・平準化策です。
また、被災地の農産物は、安く買い付けられ、九州など遠隔地に出回っているとの話も聞きます。これは隠然たる拡散策。いずれも、日本政府の「汚染拡散・平均化政策」を受けたもの。
本来は厳しく封じ込めるべき汚染を、こうやってばら撒くことは犯罪ですが、メディアは問題を追おうとせず、学界もひたすら沈黙。・・・と思っていたら、「ドイツ放射線防護協会」が出した、すばらしい勧告を知りました。一読の価値があるので、全文紹介します。拡散を。2011.12.06
(http://d.hatena.ne.jp/eisberg/20111130/1322642242 から。一部編集)。
2011年11月27日ベルリン
放射線防護協会は呼びかける:
放射線防護の原則は福島の原子炉災害の後も軽んじられてはならない。
放射線防護協会は問う:
住民は、核エネルギー利用の結果として出る死者や病人を、何人容認するつもりなのか?
放射線防護においては、特定の措置を取らないで済ませたいがために、あらゆる種類の汚染された食品やゴミを、汚染されていないものと混ぜて、「安全である」として通用させることを禁止する国際的な合意があります。
日本の官庁は現時点において、食品の分野、また、地震・津波被災地から出たガレキ処理の分野で、この希釈禁止に違反しています。ドイツ放射線防護協会は、この「希釈政策」をやめるよう、緊急に勧告します。さもなければ、日本の全国民が、忍び足で迫りくる汚染によって、第二のフクシマにさらされることになるでしょう。空間的にはっきりした境界を定め、きちんと監視された、安全な廃棄物置き場を作らないと、防護はさらに難しくなります。
「混ぜて薄めた」食品についても同じことが言えます。汚染された物や食品の取り扱いが現在のままでは、国民の健康被害をより拡大することになるでしょう。
今、日本では、焼却残渣や灰を海岸埋め立てなどに利用することにより、汚染物質が全県へ流通され始めていますが、放射線防護の観点からすれば、これは惨禍です。これでは、焼却炉の煙突から、あるいは海に投棄される汚染灰から、そこに含まれる放射性核種が、意図的に環境へと放出されてしまいます。放射線防護協会は、このような計画を中止するよう、緊急勧告します。
チェルノブイリ以降、ドイツでは、数々の調査によって、胎児や幼児が、放射線に対しこれまで考えられていた以上に、感受性が非常に強いことが示されています。チェルノブイリ以降のヨーロッパでは、乳児死亡率、先天性奇形、女児の死産などの分野に、大変重要な変化が起こっています。つまり、低濃度から中程度の線量による被曝によって、何十万人もの幼児が影響を受けているのです。ドイツの原子力発電所周辺に住む幼児たちのガン・白血病の検査も、ほんのわずかの線量増加でさえ、子どもたちの健康にダメージを与えることを強く示唆しています。
放射線防護協会は、少なくとも汚染地の妊婦や子どものいる家庭を、これまでの場合より、もっと遠くへ移住するよう支援するように、緊急に勧告します。本協会は、子どもたちに20ミリシーベルト(年間)までの線量を認めるのは、悲劇的で間違った決定だと考えます。
日本で現在通用している食物中の放射線核種の暫定規制値は、商業や農業の損失を保障するものですが、国民の放射線被害を保障してくれるものではありません。この閾値(山本注:20ミリシーベルト)は、日本政府が、ガン死の激増、死には至らないガン患者の増加、その他さまざまな健康被害の発生を受容していことを意味するのだと、本協会は声を大にして指摘したい。いかなる政府もこのようなやり方で、国民の健康を踏みにじってはならないのです。
放射線防護協会は、核エネルギー使用の利点と引き換えに、社会がどれほどの数の死者や病人を許容するつもりがあるのかということについて、国民のあいだの公の議論が不可欠だと考えます。これは日本だけに必要な議論ではありません。その議論はこれまで原子力ロビーと政治によって阻止されてきたのです。
放射線防護協会は、日本のみなさんに懇望します。
できる限りの専門知識を早急に身につけて下さい。どうか、食品の暫定規制値を大幅に引き下げるよう、そして、食品検査を徹底させるように要求してください。既に、日本の多くの都市に組織されている独立した検査機関を支援してください。
放射線防護協会は、日本の科学者たちに懇望します。
どうか、日本の市民の側に立って下さい。そして、放射線とは何か、それがどんなダメージを引き起こすかを、市民のみなさんに説明してください。
放射線防護協会会長 セバスティアン・プフルークバイル