2023マウイ火災3 地獄の火災と地上げ

世紀の火災から一か月、何もわかっていない

マウイ大火災から早くも一か月。この間、山本は、住民の告発や外部の独立系メディアの取材・報道などで、この火災が住民への悪意をもった犯罪であるという確信をさらに強めた。なぜなら、明らかに、火災は極めて異常な形で発生し、鎮火を阻む組織的サボタージュがあったからだ。

例えば:1.火災の原因とされたハリケーン「ドーラ」と熱帯性高気圧の絶妙なバランス、これは気象兵器で実行可能だった、2.米軍が展開するダイレクトエネルギー兵器その他が使用されていた可能性がある(ハワイ大学のデータ・・・説明略)、3.火災が同時刻に複数個所から発生していたこと、いわば同時多発テロがしかけられていた、4.自然現象ではありえない高温になったこと(不明者の痕跡を消すため?)、5.火災原因の一つとされている電力供給会社、ハワイアン・エレクトリック社の「火災中の通電」と、その二転三転する証言(説明略)、6.鎮火のための水がなかった!

 これらに加え、住民は警察などに逃げ道をふさがれ、炎の町に追い返されたという事実、そして2000名もの子供たちが、あとかたもなく消え失せたという事実、火災から一か月たった今も、いったいどれほどの住民が被害にあったかさえわからないという事実がある。これらのことは、この火災が、ごく短時間に特定の地域とそこの住民を焼き尽くし、子どもを奪い、残った住民を混乱させ、さらには住民の土地を奪う意図があったことを示唆している。日本政府はここ数年、しきりと「法の支配」という言葉を口にするようになったが、これは、「無法の支配」の現実をごまかしている過ぎない。そして、この「無法」の主体はグローバリストだ。

マウイ火災とブラックロックの関与

上記⑤でハワイアン・エレクトリック社の名前を出したが、ここで注目すべきは、その大株主に、バンガードやブラックロックなどグローバル金融企業が顔をそろえていることだ。

これらの企業は、膨大な金力を生かして各国政府の中枢に入り込み、パンデミックや地球温暖化でも暗躍している裏仕事師であり、彼らの存在は、マウイ火災もグローバル計画の一部であることを示している。さらに、ブラックロック社はマウイ島の最大の土地所有者であること、マウイ島はここ数年、土地開発を巡り、土地価格が急騰していたことにも注意が必要だろう。

「楽園」の悩み

 ツーリストに大人気のハワイ。しかし、「観光」によって成り立っているとはいえ、ハワイの昔からの住民が常にツーリズムを歓迎しているわけではない。「南海の楽園」の住民は、それこそ島であること、リゾート地であることから、「普通のくらし」をするのが極めて難しいのだ。ツーリストの増加は観光業界に利益をもたらす一方、物価の高騰ー生活費の上昇を招くことは避けられない。ハワイの生活費は全米一高い。

 それ以上に問題なのが、不動産価格の高騰だ。島では土地は非常に貴重であり、オアフ島における一軒あたりの平均価格は100万ドル(日本円で一億円以上)と、一般市民には手を出せない価格になっている。従って、「業界」の地上げに会って土地や家を失った人は、ハワイに新しい社会問題—ホームレス問題ーを付け加えることになる。一般人が買えそうな不動産物件がほとんどないハワイでは、土地を失った人は新しい家を買うことはできず、本土に移住するか、ホームレスに転落するしかないのだ。下の2022年のデータを見ると、ハワイのホームレス率は全米ワースト2位だが、その数字はNY州とほとんど拮抗している。貧困率も高く、生活費は全米平均に比べて最も高い・・・ツーリストの「楽園」は、決してそこに住む人の楽園ではない。

 ハワイのホームレス問題はそれほど深刻であり、グリーン州知事は、今年1月、「ホームレスのための緊急宣言」を出している。これは、ホームレスのためのシェルター建設を加速するために、住宅建設の手続の簡易化と不必要なお役所仕事をなくすというもので、過去にも同様の宣言を出している。しかし、これは「企業にとって経済的利益がほとんど見込めなかった」ことから、企業はこれに乗らなかったとされている。そこで、知事は、この宣言を下敷きに7月に新たな制度を打ち出している。…山本は、これがマウイ火災につながる暗流ではないかと考えている。

7.17「住宅に関する緊急宣言」の波紋

 2023年7月17日、ハワイ州知事は「住宅に関する緊急宣言」なるものを公布した。1月の宣言同様、「人口問題、住居不足、ホームレス問題」の解決のために、「数千戸の手ごろな価格の住宅建設に向け手続きの合理化とお役所仕事を撤廃する」と約束したのだ。しかし今回は1月の宣誓と全く違う部分があった。つまり、現在、住宅建設に必要とされている手続きを構成する6つの州法と郡法を停止する、期限付きとはいえ、その制度を発動する権力を知事に与え、計画を検討する任務はすべて、知事が任命する22人の委員からなる作業部会に任される・・・。

グリーン州知事は、意思決定の合理化を目的とした緊急宣言に署名したHawaii Gov Takes Dramatic Action To Solve Housing Crisis. But Is He …

 少し読んだだけで、これは憲法違反であり、知事は完全な規制撤廃を目指していると判断できる。規制緩和ではなく、撤廃。しかも、この「宣言」は、単なる政府の方針表明ではなく「行政命令」として出されているから、制度の枠組みで決まったことは、郡や地方には遵守・実行義務がある。余計、憲法違反。そして、これこそグローバリストの「夢」の実現だ。もちろん、この制度は住民のために作られたものではなく、あくまでもマウイの土地開発を狙う企業群、あるいはすでにマウイ島に大量の土地を所有する投資家(ブラックロックなど)や、有名企業家(FACEBOOKのザッカーバーグら)、TVタレント(オプラ・ウインフリーら)に便宜を図るものだと言える。

 それでも、この制度にはなお問題があった。開発側が宣言が有効なうちに土地を確保し着工したくても、土地の所有権は勝手に奪うわけにはゆかず、納得ずくで売買しなければならない。そのためには現況の土地価格に見合った金額を提示しなければならない。普通、こういう場合は「地上げ」が登場する。地上げとは、「おいしい土地」に目をつけたハイエナらが、違法すれすれの手口でその土地を奪い取る手法であり、日本でもバブル期や、現在進行中の「令和の地上げ」でもおなじみだ。日本の場合、「地上げ屋」と呼ばれる連中が、対象となった地域の人々に理不尽な圧力を加え、不平等な取引を強いて追い出す役目を担う。しかし、マウイ島のように、地上げ対象地が歴史的背景がある「島」であり、住民が土地に深いルートを持つネイティブの場合、「地上げ」はもっと極端なー致死的なー形をとる。

 私たちは、グローバリストは決してネイティブや地域文化と共存できないことを知っておく必要がある。「新大陸」では、ネイティブは常に大量虐殺の対象となり、土地と文化、ひどい時には言語さえ奪われた。今回のマウイ大火でも同じようなシナリオが描かれていたのではないか、というのが山本の直感だ。彼らは、大火災によって土地の権利者も住民もすべて焼け死ねば、その土地の取得は極めて容易になると考えたに違いないからだ。この推測を証明できるのは地元の人々をおいてないが、少なくとも、今の段階で指摘できるのは、「緊急宣言」が、グローバリストの終わりなき欲望に火をつける役目を果たしたかもしれないと言うことだ。腐敗した政権は、もっと腐敗した企業と簡単に結びつき、どんな悪事でも合法的にやってのけられる。(続く)2023.9.10

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/