桐生市:献血バッシングに一言

  先日の桐生市の反対行動の写真が、こちらにたくさん掲載されていました。http://hidenori1212.cocolog-nifty.com/blog/
 このブログ主は、「放射能問題をまじめに取り組んでいる方々に失礼」、「これはただの駄々っ子」「引くところは引いて、検証することが反対に繋がる」と、反対派をこきおろしながら、自分も反対派…なのかなあ…と思ったら、宮古市視察で、桐生用の試料から1.3kg持ち帰り、今後検査に出すとありました。ん?何のため?現地では空間線量しか測ってこなかったから? 
「各所で瓦礫を検査した所、0.06から0.10マイクロシーベルトの値が出ていた。」
「桐生行きの瓦礫については、数箇所測ったが0.07マイクロシーベルト前後であった」

 ほら、すべてのがれきは汚染されている! 彼が書いているのは、試験焼却用の試料は、特別、線量の低いものが用意されている、ということなんです。つまり、推進側は、明らかに試料を操作しているわけで、これに気づけば、「検証って何?」ということになります。ま、「瓦礫の処理の皇帝」なんて変換ミスを見ると、あまり深くは考えない人かもしれない。
 ところで、反対行動を挙行した桐生市のママ議員に、現在、バッシングが集中しています。例えば:
汚染地域の人の血、ほしいですか…市議つぶやき



2012年5月26日12時10分  読売新聞 群馬県桐生市の庭山由紀市議(43)(2期、無会派)が25日、市役所本庁舎前に献血車が止まっているのを見て、簡易投稿サイト「ツイッター」で「放射能汚染地域に住む人の血って、ほしいですか」などとつぶやき、市に苦情の電話やメールが殺到したことが分かった。市議会事務局が同日、明らかにした。同事務局などに午後1時10分~同5時15分の間に「こんな人を議員にしていいのか」「被災者に対する差別発言だ」などの苦情電話が64件、メールが117件、全国から寄せられた。謝罪や辞職を求めるものもあったという。騒動を受け、市議会は急きょ各派代表者会議を開いた。庭山市議は自らの発言であることを認め「私は(桐生市が)放射能汚染地域だと思っている」などと述べた。市議会は28日以降に再び各派代表者会議を開く。桐生市の庁舎前では年4回、県赤十字血液センターによる献血を行っている。http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120526-OYT1T00190.htm


 でこの件やらあの件やらに関し、桐生市議会では以下のような発言が飛び交った、と。これも上のブログから一部書き出し。ここも、表現の自由や集会の自由などを認めない風土のようですね・・・がれきを受け入れる地域の、こういう類似性は恐ろしいほど。
佐藤光好議員:過去にも問責決議もあるが、市民から辞職勧告すべきと声がある。
園田議員:大変な問題を起こした。問責・懲罰等3冠を達成と過去に茶化している。桐生市や議会に対して大変不快な事をされた。許せない。市民からも厳しい対処を望む声がある。今までとは違う厳しく。
周東議員:土曜に徳島から電話があった。桐生市議会としてどう対応するのか?冷静に対処していきたい。桐生市内からも電話があった。人間性を疑う。いろいろな抗議の声があった。
小滝議員:市民の名誉を傷つけている。議員としてあるまじき行為。
相沢議員:解職や直ちに辞職させれないのかと言う声があった。議会が開かれていないので、出来ない。やれることをやるべき。自らが反省して取るべき態度を取るべきだ。
相沢議員:6月議会で厳正なる対処を!
小滝議員:議会として抗議文を出したらどうか?
佐藤議員:重大な決議をすべきだ
園田議員:本会議が6月8日から10日間ある。抗議文など出すべきである。懲罰をすべき。
周東議員:徳島・茨城、全国から苦情が来ている。確りやるべきである。
相沢議員:今できることなど議会の意思を示す。出来ることを実行すべきだ。
荒木議長:議会としての対応 議会としての決定 議会としての声明 議会としての記者発表など…相沢議員:放射能汚染地域についての確認をすべき。
周藤議員:先日の瓦礫の受け入れに対し、座り込み等して警察に注意され、警察に移動されていた。これは問題だ。
相沢議員:お面をかぶっていた人がいた。脱いだら庭山だった。この件は、今後問題にして欲しい。佐藤議員:庭山議員であったら問題である。
 「放射能汚染地域」に指定されている事実さえ知らないお方がいて驚かされますが、議員が知らないくらいだから、一般市民はもっと知らないでしょう。桐生は今、放射能汚染対処特措法にもとづいて汚染状況を調査中で、今後、除染作業を始めようというところ。推進側は、その前になんとか試験焼却を済ませ、どさくさにまぎれて受け入れさせよという魂胆らしい。悪質です。
 焼却炉は、放射能を拡散し、濃縮する施設です。でも今、そこには放射能管理の専門家はおらず、これは、試験焼却は「特定工場における公害防止組織の整備に関する法律」に違反します。また、焼却炉の労働者をどうやって被爆から守るのか、そういう配慮もゼロで、さまざまな労働法に違反しています(なのに労働団体が賛成しているのはふしぎ)。
 それから、献血に関する庭山議員の指摘は当たり前です。私も、以前と同じように献血が行われていることを初めて知りましたが、これは非常に軽率、不適当。もともと輸血は感染の危険性が高く、過去に放射線治療を受けた人は、一生献血でません。尿に放射能が出ていれば、血液も汚染されていることになり、原発労働者に至っては自己貯血が勧められているくらいです。だから、広い範囲で血液と尿検査を行って、血液の安全性を確認しない限り、献血はやってはいけません。
2012.5.30

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/