核融合研の「避難マニュアル」、そんなものあるのか?

 「重水素実験」に関して、関係市などに電話した、という連絡を何人かの方からいただきました。

関係する自治体の市民対応はほとんど同じで、だいたい次のような感じです。

●実験は安全、事故はおきないから大丈夫

●トリチウムはコンクリートの壁で止めるから大丈夫

●トリチウムが出るといっても、ごく微量に過ぎず、大丈夫

●安全監視委員会がちゃんと監視しているから大丈夫

 まるで「大丈夫音頭」ですが、完全に核融研の言いなりなんですねえ。近隣三市は原発交付金が欲しいだけで、フクイチ事故、放射能汚染など知ったことか。学者も地元ボスも実験に大賛成、30年後にはどうせあの世だし、責任取る必要もないってところでしょう。こうして根回しが全部済んでいるから、「監視委員会」に反対派が入る余地はないし、今回の実験がせまっているのに説明会さえやらないのです。地元は決して反抗しないということが見すかされているんですね。

 ところで、ちょっと調べたら、核融合研には何種類もの通報、連絡マニュアルがありました。「事故は起こらない」はずですが、このマニュアルの存在は、「危険な公害施設」を認定するもので、事故も起こるし、その事故による環境汚染、健康被害が起きることを意味しています。

 特に、「遅滞なく連絡すべき重要事項」には、以下の事態が想定されています

●中性子及びトリチウムの年間発生量が研究所管理値を超えたとき

●事故などにより、トリチウムを含有する水が施設内に漏洩したとき、

●敷地境界の年間線量が研究所管理値を超えたとき

●研究所管理値を超えるトリチウム及びアルゴン41が排気されたとき

●研究所管理値を超えるトリチウム含有水が排水されたとき

●自身などの災害や事故などで、重水素実験を停止し、実験再開には主要機器等の修理等が必要になったとき

 

 これで、「事故はおきない、トリチウムは微量」なんて説明はうそっぱちだし、大気にも水にも、常時アルゴンやトリチウムが排出されていることもわかります。でも、周辺市民がこのようなことについて説明を受けたなんて聞いたことはないし、おそらく研究所の中だけの、ウチウチのマニュアルで、市民の避難マニュアルなんてあるのかどうか・・・この「重要事項」がいったいどんな状況を指すのかも意味不明で、説明が必要です。近隣の住民のみなさん、ぜひこのマニュアルについて研究所、自治体に問い合わせ、説明を求めて下さい。市民は知る権利があり、何か起きた場合、研究所の負担で「避難の権利」を実施させることを、今から求めておかないと、フクイチの二の舞になりうるからです。(この記事、書き直しました)2017.2.9

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/