校庭のスミチオン・・・その毒性

 「すず」さんから、小田原の公立学校で、実際どのように農薬が使用
されているか、貴重なコメントをいただきました。すずさん、ありがとう。
(他のコメンテーターにもお礼を申し上げます。忙しくて一つ一つにお返事
はできませんが、必ず目を通しています。山本)
      
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 「学校農薬」、おどろきの散布実態

●三の丸小学校の作業報告書より
H17.9.12  630リットル(スミチオン)
H18.6.28 と H18.9.19 各600リットル(スミチオン)
H19.9.18 800リットル(スミチオン)
 いづれも希釈度は1000倍。平日午前中に施行、
その間生徒は校庭へ出ないようにしている。
●当時の仕様書
①アメリカシロヒトリと(茶毒蛾、イラガ等)の駆除。桜やポプラ等に。
②市立の小学校25校。中学校12校。
③スミチオンを希釈度1000倍で。
④市の指定から5日以内に実行すること。
⑤無風、風の弱いときに。以上
 多い学校は年に3度農薬を撒きましたとのことです、
あと、小田原市は同様に幼稚園や保育園にも業者によって撒いている、
と担当者(教育政策課)から伺っています。すず
 
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 やはりスミチオン! しかも平日、生徒の授業中に! これでは私に薬剤
名を言えなかったはずです。・・・ほんとうに驚き。子どもたちは事実上、危険
な汚染地帯で生活していることになりますから。
 スミチオンは、フェニトロチオン(MEP)を基材とした有機りん系殺虫剤です。
毒性が強く、米には1000倍希釈が義務付けられていますが、なぜか「毒物」
に指定されておらず、それが各自治体に蔓延している理由になっています。
 子どもは土を「食べる」
 
 もちろん、毒性のない農薬(殺虫剤)はありません。
 東北農業試験所では、MEP溶液を塗った桑の葉をカイコに食べさせ、実験
を試みました。それによると1000倍液でも反応が認められています。また同
乳剤を経口投与し、中毒症状を呈したカイコの体内から薬剤を検出したところ、
50,000倍液まで反応が認められています。
 人間がカイコみたいに農薬を口にするはずはない、そう思う人もいるかもし
れません。しかし、ヒト、特に子どもは、土を文字通り「食べて」いるのです。
地面との距離が近く、よちよち歩きや遊びの中で無意識に土を取り込んでいる
のですね。海外先進国が、早くから厳しい土壌汚染物質基準を決めた理由の
ひとつが、この土壌汚染物質の経口摂取による健康被害を避けるためでした。
(子どもの環境と安全に関しては、海外には多くの研究報告があります。)
 
 私の聞き取りによれば、小田原市は、害虫の発見も農薬散布の決定も、
基本的に業者まかせ。予算化した場合、執行しないと(使わないと)困るし、
すでに何十年も農薬散布が恒例化しているせいでしょう。しかも、アメリカ
シロヒトリ対策など、他の農薬も使われているようで、その全貌は不明です。
教育関係者の無知と無自覚には言葉もありません。もちろん、そこには、
農水省と住友化学、地方自治体と造園業らとの癒着もあるのでしょうが。
 スミチオンの毒性 
 
「発汗、発熱、咳、鼻と喉の痛み、たん、頭痛、めまい、目やに、呼吸困難、
目のごろごろ感、目が見えない、眼が赤くなる、吐き気、食欲不振、皮膚の
かゆみ、皮膚の発赤、かぶれ、手足のしびれ、だるさ、背中・肩・関節の硬
直(しゃがめない、首が回せない)、下痢、下血、激しい動悸、うつ状態」
 以上は、私が2007年8月、小田原市長への申し入れに記した症状です。
何も知らなければ、風邪など普通の病気として見過ごされてしまいそうですが、
小田原市の開業医には、毎年初夏になると、このような症状を訴えて病院に
来る患者が増えることに気づいている医師もいました。城址公園の松へのスミ
チオン散布とほぼ同時期であり、その症状がスミチオンによるものであることも。
 スミチオンの中毒症状については、海外の情報や専門家のサイトで調べると、
だいたい次のようなものがあげられています。
 ●吐き気、嘔吐、腹部けいれん、下痢、唾液と気道粘液過剰分泌(よだれ)
 ●鼻水、胸のしめつけ感
 ●頭痛、めまい、衰弱
 ●目がかすむ、薄暗さを感じる、縮瞳、涙が出る、毛様体筋けいれん
 ●全身の脱力感、筋肉が調節できない、会話不明瞭 
 ●眠けが強い、混迷、精神錯乱
 ●呼吸困難、口鼻の泡、チアノーゼ、気管支けいれん、頻呼吸
 ●失禁、痙攣、昏睡
 中毒症状が重くなると、徐脈、低血圧、胸痛、あるいはそれと反対の頻脈、
高血圧、不正脈をおこし、やがて心筋炎、呼吸中枢不全、呼吸筋麻痺や気管
支収縮へと至り、呼吸が停止し、死亡します。スミチオンは死をもたらす毒物
です。虫や鳥たち(あるいはもぐら、犬、ネコなど小動物も)にこれほど苦しい
死を与えている毒物が、人間にだけ「安全」なはずはありません。
 植物は農薬では守れません。それを守るのは人間です。市民の自覚と行動
が必要です。2009.3.7

この記事を書いた人

hiromachi