深夜の炭鉱事故

 私が住む南京はこの秋、歴史的寒冷に見舞われています。
十一月に雪が降り、以後、-1℃~1℃という寒さが続きま
した。隣の安徽省では雪のため200万戸が停電、6日ぶりに
復旧しています。南京でもこのままでは天然ガスが不足する
と、市は「節約」を呼びかけています。
 そんな寒さの中でおきたのが、黒竜江省鶴岡市の新興炭
鉱のガス爆発事故でした。死者は24日朝までに104人。
石炭は中国最大のエネルギー源であり、毎年、実に多くの
地下ガス爆発、落盤事故が起きています。そこには、急成
長する経済の需要に応えるため、無理な坑道拡大や違法
掘削など、事故を起こしやすい条件が多々あるようで、ここ
も例外ではなかったようです。
 事故がおきた11月21日深夜、地底では五百人以上が
働いていました。しかし、11月16日、ガスの検査員が地
底のガス濃度の高さに気づき、17日に全労働者を引き上
げる予定だったといいます。それが実行されず、多くの命
が奪われたのでした。検査員6名も犠牲になっています。
 三井三池炭鉱の爆発事故を思い出してしまいました。日
本ではエネルギー源を石油に切り替えてから、炭鉱事故は
過去のものになりましたが、それまで何度このような事故が
おきたことでしょう。でも、政府の対応は日本とはえらく違い
ます。最高検察院はすぐに特別調査員を現地に派遣し、国
務院も23日に全体会議を開き、企業の事故責任を厳しく
批判しているのです。
 都市へ電力を送るために、深夜の坑道で命を失った方々
に弔意を表します。私たちも経験と知恵で、やがて来るエネ
ルギー不足に備えないといけませんね。

下は21日のビデオです。最初が爆発事故、二つ目のニュースが「寒流」。ttp://space.tv.cctv.com/video/VIDE1258811153001887

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/