大荒れ、富山のがれき説明会



 富山県で注目されていた焼却灰受入れをめぐる説明が行われました。本ブログでも何回かお伝えしたように、線量の低い米どころ・水どころをわざわざ汚すというとんでもない計画に、各地から駆けつけた住民が、森氏の乗る車を取り囲むなど大騒ぎ。
がれき試験焼却で説明会
20120912日(
http://mytown.asahi.com/toyama/news.php?k_id=17000541209120001
 森市長を乗せた車は抗議する住民らに囲まれ、一時騒然となった=10日夜、富山市山本


参加者限り非公開 住民理解は?
 富山市長、最終判断へ
 
 東日本大震災のがれきの試験焼却を巡り、焼却灰の最終処分場がある富山市山本で10日夜にあった住民説明会。一部地域に参加者を限り報道陣にも「非公開」とした市の運営に異論が出る中、2時間超にわたって行われた。試験焼却に関しては今後、市は説明会を開く予定はなく、その可否は森雅志市長の判断を待つのみとなった。
 
▽市、厳しい基準主張
 説明会は午後7時に開始。同9時20分ごろまでかかった。森市長、友坂義介環境部長ら市幹部のほか、環境省中部地方環境事務所、県環境政策課の担当者が出席。がれきの広域処理の現状や県内での処理などについて、山本地区などの住民約80人に説明し、質疑応答があった。 説明会終了後に会見した友坂部長によると、質疑応答では12~13人から計約30の質問が出て、会場の多くは試験焼却に反対の立場という印象を受けたという。質問数や時間などの制限は設けなかったとしている。具体的には住民から「安全レベルでも追加的に被曝するのは間違いない」「(搬出元の)岩手で処理できるのではないか」などの意見が出された。
 市側は「安全性の認識の違い。安全で国際的に認められた基準にする」「岩手では短期間で処理施設を作れない」などと回答したという。森市長はあいさつで、受け入れ時と同じ基準の「1キロあたり100ベクレル以下」を焼却灰にも適用する全国的にも厳しい基準を設定したと指摘。その上で、山本地区の協力を求めたという。市はまた、焼却灰の最終処分場「山本最終処分場」の敷地内で放射線量と放射能濃度を、周辺地域で放射線量を定期的にモニタリングする案も提示した。今後、市は試験焼却に関する住民説明会を予定していない。そのため、森市長の判断を踏まえて富山地区広域圏事務組合、県、岩手県側と調整がつけば試験焼却は実施される。「住民理解」の有無について、友坂部長はこう明言した。「理解を得られたかどうかは最終的に市長が判断する」 
 ▽「無責任」「意見様々」
 試験焼却に関して森市長が初めて開いた住民説明会は、報道陣を含めて完全に「非公開」で行われた。その理由について、市環境政策課は「市長が地元に配慮した」と説明する。参加者を限定するなら、報道陣を入れなければ関係者以外に情報が得られない――。記者がこう指摘すると、会見した友坂部長は「他の方に対して、どんな内容だったかを公開する意思はない」と述べた。森市長は説明会が終わってすぐの午後9時25分ごろ、「今の段階では何も申し上げられない」などと言うのみで足早に会場を後にした。抗議に集まった住民らに車を囲まれ、「無責任だ」「逃げるのか」と言葉を浴びせられても、口を真一文字に閉じたままだった。
 こうした市側の対応には、疑問や不満の声があがった。がれきの焼却施設がある立山町幹部は「なぜ報道陣に非公開なのかわからない。報道を通じて一般の方々に知ってもらう効果がある」と指摘する。同町では4~5月、町内全地区で計13回の説明会を報道陣に公開で開いた。この幹部は「カメラを気にして言いたいことを言えないと思ったのか」と首をかしげる。
 市議会共産党の赤星ゆかり、中山雅之両議員は、説明会の公開と市民全体を対象にした説明会の実施を求める申入書を7日付で森市長宛てに提出。「被災地の一日も早い復興を願う気持ちは同じでも、市民に様々な意見がある」と指摘した上で「富山市が真摯に耳を傾け、丁寧に答えることが求められる」と訴えた。(下山祐治)


 マスコミさえシャットアウトしたのは、住民をまとめきれていなかったからでしょう。これが、焼却炉がある立山町の説明会(町政懇談会)では、地元住民にすっかり手が回って、反対の声さえ出せなかったのと対照的。でも、がれき受け入れは、意図的に汚染を持ち込むという異常な政策であり、行政には許されない事業なのです。どうしてもやりたければ、富山市全域で、何回も説明会を開くなどの誠意が必要ですが、たとえ今は賛成でも、ちゃんとした情報を届ければ、必ず反対しますって。
 上の記事は、あたかも森市長の判断で事業ができるかのように書いていますが、これは間違い。現地の町内会(山本町および池多校下自治振興会)は市長と協定書を締結しているし、そこに定めていないことについては、必ず協議、同意が求められるのです。それを無視して事業を着工すると、契約違反だけでなく、いろんな行政法を踏み外す違法行為になるんでっせ。
 山本地区は、人口の少ない農業生産地。そこに処分場を作ったこと自体、大きなミスだったのですが、昭和60年代の住民はまだその危険性を知らなかったのでしょう。これは立山の焼却炉も同じ。いずれにしても、富山の土地と水を、がれきで汚してはなりません。
 なお、この件に関しては、下のチューリップテレビの動画がコンパクトでわかりやすいので、ぜひご覧下さい。http://www.tulip-tv.co.jp/news/detail/index.html?TID_DT03=20120911191039&MOVE_ON=1 2012.9.12

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/