フクイチ事故、海外からの提言(重要!)

 「現地なら燃してもいいのか!」の続編として、このブログでも何回か紹介したヘレン・カルデコット博士の最近の「提言」を紹介しておきます(政治ブログの記事を多少手直し)。
 彼女は放射線被爆と核開発を鋭く批判し続けているオーストラリアの小児科医であり、治療できない被害を拡大するなと唱える国際NGO「社会的責任を負う科学者、http://www.psr.org/」の理事を務めるなど、世界的に有名な反原発学者。北九州でがれきを燃すならフィルターをつければ子どもが守れる、などとおっしゃるどこかの大先生にぜひ読んでいただきたいもんです。
ヘレン・カルデコットの14の提言2012.08.31 Fridayhttp://akiomatsumura.com/wp-content/uploads/2012/08/Helen-Japanese-translation-+-bio-for-web.pdf (全文。以下はその一部(多少編集あり、カッコ★は私の意見及び注)。
 
 「放射能汚染下における日本への14の提言 原子力の犠牲になっている私達の子供達」
 日本はどのように対処すべきなのか。ここに提言します
1. 日本国内全土、土壌と水の放射能検査を行い、現在の汚染状況を把握すべきです。これは、風によって、放射能汚染が福島の点源から何百マイルもの遠方まで飛ばされるからです。(注:1マイル=1.6km)
(★特に、福島県内での一般廃棄物の焼却処理はただちに停止すべきです。また、ただちに、独立した国際汚染調査チームを組織すべき)
2.いかなる状況においても、放射能を帯びたゴミや瓦礫を焼却してはいけません。焼却すると、放射性核種が遠く広域に広まり、食べ物と魚で再濃縮するだけです。
(★がれきの広域処理、現地における高炉焼却などはただちに中止すべきです)
3.すべての食べ物は、スペクトロメーターを用いて、特定の放射性核種の検査を十分に行うべきです。
(★行政組織、食品取り扱い企業、小売店などに放射線測定センターを設けること、未検査の食物を広域移動させないこと、特に給食やスーパー、外食産業に流れないようにするシステムを作ること)
4.放射能汚染された食べ物の売買や飲食をすべきではありません。また放射能汚染された食べ物を汚染されていない食べ物と混ぜて売買するべきではありません。放射性核種は、体内の様々な臓器内で再濃縮されるのです。
(★それ以前に、汚染された土地における食糧生産を相当の期間、禁止すべきです。汚染食物及びそれを希釈したものの売買、取引、加工、保存、斡旋、配布には厳しい罰則を)
5.飲料水はすべて、毎週放射能検査を行うべきです。
(★特に、水道水は定期的な検査が必要です。)
6.日本の太平洋側で獲れた魚はすべて、これから長期に渡り、放射能検査をしなければいけません
(★東北沿岸部の漁は今後長期にわたって禁止すべき…特に、子どもや妊婦には魚食禁止令を出さなきゃ)
7.まだ高線量放射能汚染区域にまだ居住しているすべての人々、特に子供、妊婦や妊娠が可能な女性は、直ちに日本国内の放射能汚染がない場所へ避難してもらうべきです。
(★警戒区域の解除=汚染地に住民を呼び戻すエートス計画の即刻停止を!!子どもと適齢期の女性の移転費用を補助せよ!)
8.福島事故による放射能被曝を受けたすべての人、特に新生児、子供、免疫力が低下している人、年配者などは、癌、骨髄抑制、糖尿病、甲状腺異常、心臓病、早期老化や白内障の医学的検査を徹底的に、そして生涯に渡って定期的に受け、必要であれば治療を受けなければいけません。白血病は、これから2-3年で出現し始め、5年でピークを迎えるでしょう。固形癌は事故後10年から15年で出現し始め、今後、70年から90年に渡る世代間で頻発する可能性があります。
(★医療機関に放射能の関係が疑われる症例の報告を義務付けること。政府や原発産業から完全に独立した医療・調査機関を作り(国際的な)、無償で定期健診・治療を行うこと…費用はもちろん電力産業界に!)
9.日本のすべての医師や医療従事者は、ニューヨーク科学アカデミーから出版された、「チェルノブイリ大惨事、人と環境に与える影響」を読んで勉強し、自分達が直面している状況の真の医学的重大さを理解するべきです。
10.特に医師、政治家や一般市民も、私のサイト Nuclear Free Planet.org から更なる情報を得ていただき、私のラジオ番組、If You Love This Planetで、福島やチェルノブイリに関連するインタビューを聴いていただき、私の著書、Nuclear Power Is Not The Answerを読んでいただくよう、謹んで提言させていただきます。
(★http://www.nuclearfreeplanet.org/categories/fukushima.htmlに、フクイチ関係の記事がたくさん
11.国際医学コミュニティー、特にWHO(世界保健機構)は、直ちに結集し、上記で概要を述べたとてつもなく大きな任務を、日本の医療従事者や政治家が実行するのを助けるべきです。
(★上の3項は、親原発派が中枢を占める医学界、政財界にとって馬の耳に念仏。彼らを変えるには、一般市民がこのようなサイトから国際常識と知識を身につけ、武器とする必要があります)

12.日本政府は、国政的なアドバイスと援助を受け入れなければいけません。
(★世界史のワーストになるほどのフクイチ事故。日本政府は、問題の矮小化にばかり必死ですが、これを変えられるのは市民だけ。あらゆる政治活動を通じて、政策転換を迫るしかありません)

13.非常に緊急を要する事項として、日本政府は、マグニチュード7以上の地震が起こった場合に福島第一原発4号機と使用済み燃料プールが崩壊しないよう、IAEA(国際原子力機関)と米国のNRC(原子力規制委員会)、そしてカナダやヨーロッパなどの原子力専門家の国際的アドバイスと援助を求め、受け入れなければいけません。仮に、使用済み燃料プールが崩壊して地面に落ちた場合、その熱によりチェルノブイリの10倍の放射性物質が放出されるでしょう。無駄にしている時間はありません。現時点において、世界のコミュニティーは大惨事が起こるのを、無抵抗に待っているのです。
(★4号機にからむ東電の隠蔽、そして3号機にからむ核燃料開発疑惑、と、フクイチにはまだ多くのなぞがあり、それが解決を遅くしています。世界中に深刻な汚染を撒き散らしている戦犯企業・政府として、一刻も早く問題を明らかにし、解決への道すじをつけなければ)
14.国際メディアと日本のメディアは、上記に述べたような日本からの事実を直ちに報告し始めなければいけません。そうしないことには、世界的な大惨事を招くことになります。
(★これは難しい。政府や財界の金で動くマスメディアは、すでにその存在意義を失っています。求めるなら、科学的事実にもとづかない記事、政府や財界のキャンペーン擁護記事に警告を出し、報道機関が政財界の諮問委員になるというような悪弊を法律で規制しましょう)
このうちの三分の一でもなんとか実現させたい。2012.9.10

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/