7日めも燃え盛る福島山林火災 放射能拡散の危険性はありうる

 原発事故ではセシウムだけでなく、数多くの放射性核種が発生し、排出されました。そのうち微小粒子化したものは大海を超えて地球規模で拡散し、近くの山林や田畑に降り積もったものは、そのまま長い浄化の時を待っていました。しかし、森林火災は、眠れる放射性物質をゆり起こし、再び汚染を拡散するのです。そのことをちゃんと伝えているのはロシアの報道機関だけ。

 

7日めも燃え盛る福島山林火災 放射能拡散の危険性はありうる

スプートニク日本

福島第一原発事故による帰還困難区域の山林火災は発生から7日めとなった5日も燃えている。

福島県浪江町井手の国有林では消防、自衛隊による消火活動が続けられている。4日には自衛隊ヘリコプターなど12機が空から消火剤をまき、地上でも消防、自衛隊のおよそ240人が放射性物質からの防護服を着用して消火にあたったが、鎮火のめどはたっていない。チェルノブイリの森林火災の消火にあたったグリーンピースロシアの消防士、アントン・ベネスラフスキー氏は、次のように断言する。「火災中、セシウム137やストロンチウム90、プルトニウムのような放射性核種が空中に上がり、風によって運ばれる。これは動揺を掻き立てずにはいられない。それは、この不安定な原子を人々が吸い込み、内部被爆を被るためだ。」

福島県は火災による周辺の放射線量に目立った変化はないと発表している

 

 これは、「チェルノブイリの森林火災」を何度も経験したロシア人消防士ならではの言葉。彼ははっきり「鎮火のめどは立っていない」と警告していますが、日本のメディアはあくまでも「線量に変化はない」。

避難区域の火災、発生1週間も鎮火せず 放射線量に変動なし 福島・浪江

煙を上げる福島県浪江町の国有林=5日午後(同町提供) 煙を上げる福島県浪江町の国有林=5日午後(同町提供)

 東京電力福島第1原発事故で帰還困難区域になっている福島県浪江町の国有林で4月29日に起きた火災は、発生から1週間の5日も、陸上自衛隊や県がヘリコプターなどで消火活動を続けたが、鎮火しなかった。県によると、焼失面積は少なくとも約20ヘクタールとみられる。けが人はおらず、周辺の放射線量に大きな変動はない。5日は早朝に煙が弱まっていたが、午後になって再び煙が立ち始めたという。現場は比較的放射線量が高い帰還困難区域のため、陸自や消防は防じんマスクなどを身に着けて活動した。水の入った袋を背負い、足場の悪い登山道を火元まで約1時間かけて登った。火災は4月29日夕に発生。県などが消火に当たり、いったん鎮圧したが強風で再び燃え始めたため、陸自に災害派遣を要請した

 

 それどころか、人力で水の袋を「火元」に運んだという意味不明なことをやっています。火元が判明していればヘリで集中消火すればいいのに、実際は大雨でも降らない限り手も足も出ないのでは。「鎮火のめどはたっていない」のはやはり事実か・・・

 最悪なのは、あくまでも「放射性物質拡散」の危険視を完全否定していう福島県。

浪江町の林野火災における放射線モニタリング状況等について – 福島県 …

2017年5月2日更新www.pref.fukushima.lg.jp/sec/01010d/0502monitoring.html

 福島県浪江町の帰還困難地域において4月29日に発生した山火事につきまして、「放射能汚染の激しい地域では森林除染ができておらず、火災が起きれば花粉が飛ぶように放射性物質が飛散する」等といった情報がインターネット上に流れておりますが、火災現場周辺の環境モニタリングおいても火災の発生前後で空間線量率に変動はなく、林野庁による過去の山火事調査の結果においても、鎮火後に森林から生活圏へ放射性物質が流出する危険性は極めて低いとされており、現在、周辺環境に影響が及んでいる事実は一切ありません。詳しくは、関係機関が提供する下記の情報をご参照ください。

○福島県放射線監視室 空間線量モニタリング結果情報
http://www.pref.fukushima.lg.jp/site/portal/ps-kukan-monitoring.html

○原子力規制委員会 放射線モニタリング情報 全国及び福島県の空間線量測定結果

http://radioactivity.nsr.go.jp/map/ja/area.html

○福島県環境放射能監視テレメーターシステム

http://www.atom-moc.pref.fukushima.jp/public/map/MapMs.html
○福島県放射能測定マップ

http://fukushima-radioactivity.jp/pc/

 ずらずらとあげてあるデータの結果は、どれも「線量に異常はない」のはず。そんなもの、見る必要なぞないわな。それに、これまで「放射性物質」など無関係だったはずの林野庁が、「過去の山火事調査」で突然、危険性が判断できるようになったというのも信じられん。・・・すべての関連機関は、「フクイチ事件などなんてもなかった」ことをアピールするために、福島県人を全員、呼び戻したいのです。そのためには、現地の危険性を裏付ける事実を報道してはいけない。森林火災のつど、周辺住民の内部被ばくの可能が高まることなど知られてはいけない。事故が収束していないという情報は海外に漏れてはいけない、東京汚染ピックは、各国のアスリートを、日本人同様汚染するために行われるのだということを察されてはいけない・・・ま~、原発事故を起こした国は、こうして、「隠す」「だます」「しらを切る」のが日常になってゆくのです。2017.5.6

 

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/