兵庫県、産廃業者の違法伐採を容認

  兵庫県赤穂市とその北側の上郡町にまたがる「西有年(にしうね)産廃処分場問題」には、昨年7月からかかわっています。

 現地入り当日に、「予定地」の山林の違法伐採を発見(地元反対派はそれが違法とは気づいてもいなかった)、すぐに文書で事情説明を求め、森林法違反などで告発したり、地元で講演会を開いたりしましたが・・・さすが産廃予定地。反対派はやるべきことはやらず、やってはいけないことばかりやって…その結果、こういう↓状況になりました。

《西有年産廃》無届け伐採「欠格事由に当たらず」

 20200326http://www.ako-minpo.jp/smp/news_14449.html西有年産廃最終処分場建設計画をめぐり、許可権を持つ兵庫県は26日、計画地の樹木を無届けで伐採した事業者について、「不適格には当たらない」との認識を明らかにした。また、事業者が赤穂市と上郡町の指導で伐採した一帯に植樹したことに触れ、「違法状態は是正された。これ以上、手続きを止めておくのは不作為となる」とし、計画許可へ向けた手続きを進める意向を示した。西播磨県民局で行われた産業廃棄物最終処分場建設反対赤穂市民の会(会長=沖知道・市自治会連合会長)との意見交換の席上、遠藤英二県民局長が発言した。遠藤局長は無届け伐採が行われた計画地の山林について、「赤穂市と上郡町による指導状況を確認し、違法状態は是正された」と発言。捜査が未終結であることなどを理由に手続きの「保留」を要望した同会に対し、事業者を不適格とする法律要件が禁固刑以上の処罰を受けた場合としていることを踏まえ、「無届け伐採の罰則は罰金刑なので欠格事由には当たらない」とした。沖会長によると、この日の会合は、「関係市町へ事前協議書の意見照会を行う前に意見交換の場を持ちたい」との県側からの申し出を受けたもので、役員6人で県民局を訪問した。▽環境アセスメントに準じた調査、予測、評価の実施と公表▽千種川を水道水源とする住民すべてを関係住民とすること▽保安林指定を安易に解除しないこと―などを井戸敏三知事宛てに文書で要望。遠藤局長は「いわゆる『アセス逃れ』にさせないよう、しっかり事業者に説明を求めていきたい。関係住民の範囲は市町の意見を聞いて検討する。保安林の解除は、他に代替方法がなくリスクをフォローできる場合に限る」などとその場で回答した。

 ばかばかしくてほうっておこうとも思いましたが、記事に怒りのコメントがあり、まともな人もいることを知ったので、腹立ちを抑え、一応注釈をつけておきます。

 ★一番腹が立ったのが、市民が「県側が申し出た意見交換」に乗ったこと。知ってれば止めたけど、何の連絡もなかった。この手の話し合いは、事業者側が自分たちの都合を一方的に押し付ける場になることが多く、反対住民にとってはマイナスにしかなりません。それどころか、こんな席に出ると、必ず「住民の納得が得られた」と報告されるのです…それくらい、わからんのか。

 ★しかもこの件については、井戸知事が事業の推進を指示している文書「知事協議記録」の存在がわかり、それに対して知事部局の回答を要求していたはず。つまり、住民が相手にすべきは知事であって、「県民局」(出先機関)ではありません・・・そのこともくり返し注意したのに、理解できなかったのだろうか?

 ★県側は業者の「違法伐採」を黙認していることは当初からわかっていました。その事情は、私が市民団体に代わって書いた「要求書」や「告発書」で詳しく説明した通り、すべて「知事=社長」が事業を推進しようとしているのが原因なのです。これが「知事案件」、すべての法的手続きの前に社長がゴーサインを出しており、後の手続きは形式だけという意味です。その流れがわかっていないから、こういう話し合いにうかうかと乗っています。知らなきゃ仕方がないけど、私としては「なんで注意を聞かないのよ!」と言いたくなるわよ。

 ★なお25日ごろ、「違法伐採」に対する告発状を出した団体に、27日に警察に来るようにとの連絡がありました。要件不明。で、山本が電話で聞いたところ、「すべての資料を検察庁に送致した」「他に説明することはない」というので、行きませんでしたけどね。タイミングを考えると、警察も検察も、知事部局が「違法状態は是正された」と判断していることを受けて、事業者の犯罪を「なかったことに」しようとしていると考えられます。

 ★この件の捜査がおおいに遅れたのも、この事業が「知事案件」だから。上記「知事協議記録」も、住民の一部がこれを握りつぶし、問題を広く市民に知らせようとしなかったため、12月になってようやく記者会見で公開したんですけどね。その間、すっかり図に乗った業者(大栄開発)は、伐採後の「植樹」を指示されると、なんと山道の真ん中に樹を植えるという不法行為を行っていたのです。明らかな道路損壊、往来権の侵害で、さらなる違法行為ですが、赤穂市も上郡町も「これでいいんだ」。そして県は「違法状態は是正された」…ひどすぎ。

 つまり、「会社のカネを使いこんだけど、それがばれたので返した、だからいいでしょ」「知られたくない文書を住民が見てしまい、それを情報公開したけれど、新しい文書を作って古いのは破棄してしまったからいいでしょ」、「社長があの業者に処分場を造らせろと言っているから、何を言われても実行しろ。役に立つ反対派だけを相手にしろ」というのが兵庫県の論理。

 行政組織は犯罪組織に非常に近い。まともな市民の監視がないと、行政は必ず腐敗し違法を犯すことを肝に銘じておいてほしい。それは今のコロナ騒ぎにも通じることですけどね~。2020.3.28

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/