ワクチン反対つぶしの陰謀、「ディズニーはしか」

 「ディズニーはしか」騒ぎは、アメリカで拡大しつつある「ワクチンを拒否する権利」の流れを食い止めるための陰謀、というのが現在の私の見方です。作戦は極めて単純で、事前にメディアなどに根回しし、「はしかの流行=ワクチン拒否派」という世論を一気に高め、実はワクチン接種者もはしかにかかっていること(=ワクチンは効かない)に目を向けさせず、あわよくば国民に強制接種を義務付けようとしているのでしょう。
 というのは、アメリカは連邦国家なので、公衆衛生に関する政策も州によってかなり違うからです。最右翼のミシシッピ州がほぼ100%の接種率を達成しているのに対し、カリフォルニア州は自由度が高く、医薬業界から目の仇にされていました。なので、今回のはしかアウトブレイクはディズニーランド(カリフォルニア州)でなければなかったわけ。NVIC代表が「カリフォルニアがターゲット」と予想しているのは「ディズニーはしか」とMMRワクチン (02/03)、そういう背景があるからです。ところで、この件に関しては、オバマ大統領や、次期大統領選候補者、医薬産業かいの大物まで一斉に発言していますが、日本のマスコミはなぜかだんまり
 下はウオールストリートジャーナルの記事の超要訳ですが、2008年の大統領選挙の年の政治家の発言を並べてある部分が秀逸です。

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「ワクチンの安全性:バラク・オバマ、ランド・ポール、ヒラリー・クリントン、クリス・クリスティは何と言っているか」
2015.2.2 http://blogs.wsj.com/washwire/2015/02/02/vaccine-safety-what-barack-obama-rand-paul-chris-christie-say/
「最近のはしかアウトブレイクで、子どもにワクチンを打たせない家族が増えていることに、改めて焦点が集まっている growing number of American families who are opting out of childhood vaccines政治家らは、ワクチンで自閉症や病気になるのを心配し子どもにワクチンを打たせようとしない、ごく少数だがうるさいグループに対し、自分たちの立場を説明しようと一生懸命だ。ほとんどの学校が(入学の条件として)ワクチン接種を要求しているが、両親が宗教的理由や、その他の反対理由がある場合、ワクチンを打たないことを認めるところも多い。
 この問題に関する政治家の言い分は下のとおりだ。

★バラク・オバマ
 彼の声明は変化している。今回のはしか騒ぎに関しては、「ワクチンの後ろ盾である科学は非常に確実だ」として、両親にワクチン接種を勧めているが、2008年の集会ではまったく別の事を言っていた。「自閉症の数が非常に急上昇している。その理由をワクチンに求める人もいるが、まだ科学的に確定していないため、調査する必要がある」
★ヒラリー・クリントン
 彼女は2日、「科学は明らかだ。地球は丸いし、空は青い。そしてワクチンは効く。子供たちを守りましょう」とツイートしている。しかし、2008年、自閉症児の親のグループに、ワクチンと自閉症の関連を調査すべきかどうか、というアンケートに対し「私は自閉症の原因ーーワクチンを含む環境的要因も含めーーを見つけ出すための投資にかかわっている」と述べている
クリス・クリスティ
 ニュージャージー州知事、2016年の大統領選に出馬が噂されている。彼は以前、選挙運動のレターに「ワクチンの『決定権』に関しては親の側に立つ」と述べていた。今回のはしか騒動に関しては、滞在中の英国で、「バランスが必要」と述べている。called for a “balance
 「公務員として考えるより、両親として考える方がはるかに重要だし、両親にはその他の選択肢が必要だということもよくわかっている。それは、政府が決めるべきバランスだ。すべてのワクチンが同じように製造されているわけではなく、すべての病気のタイプが、同じような公衆衛生上の脅威となるわけでもない」
 しかしこの後、事務局は下のような声明statement:を出している:
「知事は、ワクチンは重要な公衆衛生の防護であり、はしかのような病気に対し子どもにワクチンを打つべきことには何の問題もないと信じています。同時に、州によってワクチンへの取り組みが異なるため、政府の強制接種には州とのバランスが必要という意味でした」
★ベン・カーソン
 
著名な脳神経外科医で、予防接種プログラムを強力に支持している:
「わが国では感染症のいくつかは予防接種によってほとんど撲滅された。感染症を撲滅する手段をもっている以上、哲学的、宗教的、その他の理由によって、それらの感染症が戻って来るのを許すべきではない」
★ランド・ポール
 
連邦上院議員、眼科医。ワクチンを拒否する親の権利を支持している。今回の件ではインタビューに答えてtesty CNBC interview
「私は、(それまで普通に)歩き、しゃべっていた子供たちが、ワクチンを接種した後、深刻な精神障害になってしまったという悲劇をたくさん耳にしています。ワクチンが悪いという意味ではありません。ワクチンはいいところもあると思いますが、親にもなんらかのインプット(山本注:「選択権」のこと)が必要だと考えます。子どもは政府のものではなく、親のものです。The state
doesn’t own your children. Parents own the children. これ(ワクチン接種)は、自由と公衆健康の問題なのです。
★ジョン・マケイン

 上院議員。2008年の大統領選でオバマの対立候補として立ち、ワクチンの安全性に関する質問に次のように答えているhas also raised questions about the safety of vaccines
「子どもの自閉症が増えていることは疑問の余地がない。問題はその原因は何かということだ。われわれは行きつ戻りつする中で、ワクチンに含まれる保存料(山本注:チメロサールーー水銀化合物ーのこと)に関係があることを示す重要な証拠がある」

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 つまり、ワクチン(医療行政)イコール政治なのです。米の政治家の多くは、みなワクチンの「怪しさ」を認識しているけれど、権力を握ったとたん、カネと人脈に縛られて前言をひるがえすのですね。それにしても、有名な戦争屋・マケインでさえ、自閉症とワクチンの関係を認めていたことには驚きました。同時に、この話題を全く取り上げない日本のメディアに、本当にぞっとします。「報道しない」のも強力な情報統制なので。2015.2.11

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/