娘が小さかった時、アメリカ製の抱き人形を買ってあげました。赤い毛糸の髪、布製の、その子の名は「ラジディ・アン」。ほんとに不細工、大雑把なのに、なぜか娘はとても気に入り、ぼろぼろになるまで大事にしていました・・・・・(写真は最近の、「かわいい」アン人形)
この人形が「ワクチン反対」のシンボルであることを、私はつい最近知りました!
ラジディ・アンは、絵本作家・イラストレーターのジョニー・グルエル氏が、娘のために作った人形でした。「娘が首のとれた古い人形を見つけてきた。私はそれに古い布で顔をつけ、目と三角の鼻を書き込だ。それから、古い物語を参考に、『ラジディ・アン』という名前をつけてあげた」。
グルエル氏にとって、娘のマルセラはずっと創作のインスピレーションを与えてくれる大切な存在でした。
ところが、その愛する娘のマルセラは、学校で接種した天然痘ワクチンのせいで死んでしまうのです。まだ、たった13歳。学校側は、マルセラには心臓病があったと主張し、両親はワクチンのせいだと反論しましたが、時は1915年、まだインフォームド・コンセントなどありません。こうしてグルエル氏はワクチン反対派になり、アン人形はそのシンボルとなったわけです。
親にとって何よりつらい子どもの死・・・でも、娘が亡くなったその月に、ラジディ・アンの商標権が認められました。以後、グルエル氏は、この人形と、後から創作した弟のラジディ・アンディを主人公に、「ラジディ・アン・ストーリー」を次々と発表し、アメリカの子どもたちのハートをつかんでいくのです・・・・おそらく、彼のそばには、常に娘がいたのでしょうね。
こんな「歴史」を知って、私はとても気がとがめました。実は、何回目かの引越しの時、私はすっかり汚くなり、すり切れたラジディ・アンをこっそり捨ててしまったのです! その後で、人形供養に行ったような記憶が・・・子どもたちが大事にするものには、大人にはわからないメッセージが込められているのかもしれません。ああ反省。今度新しい人形を買ってあげよう。2011.1.6
http://www.raggedy-ann.com/patty.html
http://raggedyann-museum.org/index.html(ラジディ・アン博物館、閉館中)