フクシマ原発:農業は捨てよう

 福島県が県内の原乳とほうれん草などの出荷自粛を要請しました。驚いたのは、まだ現地で農業をしたいと思っている人がいるということ。あんまりじゃない?
 出荷自粛で農家凍る 福島、原発へ怒り心頭
 河北新報322()613分配信

 福島県は県内全域の農家に、牛の原乳と露地物野菜の出荷を自粛するよう要請した。「背筋が凍った」。佐藤雄平知事からの要請を受け入れた県農協中央会の庄条徳一会長は衝撃の大きさをこう表現した。形こそ要請だったが、命令に近い強い意志が感じられたという。(中略)「被災地ではものが足りないというのに廃棄処分しなければならない。原発への怒りでいっぱいだ」とやりきれない様子。①



 心から同情します。でもね、この地域の住民、とくに農家や酪農家の人々は、原発を受け入れればこういうこともある、と知らなかったとでもいうのでしょうか? むしろ、地域振興策として歓迎したんじゃなかった? 次世代に大きなつけを払わせる、という反原発派の必死の説得にも耳を貸さなかったんじゃなかった? 
 いまさら嘆いても遅いの! 汚染は海にまで広がっているし②、MOX燃料を使っていたことがわかり、海の向こうのアメリカまで大騒ぎになっているのに、農業を心配したり、「風評被害」を恐れたりしているなんて、鈍すぎ。どうして、部落ぐるみ、町ぐるみの即時移転を要求しないの? 
 あのねえ、政府や御用学者が何と言おうが、「フクシマ」はこれから、チェルノブイリと並ぶ、原発災害の代名詞とされるのですよ。原発から数キロ圏内は、おそらく高度汚染地域として隔離され、将来少なくとも数十年は立ち入りさえできないでしょう。原発を許す、ということはそういうことなのです(ごみ焼却炉や処分場も、同じく地域に死を招く事業です)。
 政府はこれからも必死でウソをつきとおし、パニックを防ごうとするでしょう。でも自分と家族の命を守りたかったら、ここは正に騒ぎを起こすべきとき。「フクシマの農業」なんてとりあえず忘れ、なるべく早く現地から離れ(特に子ども、妊婦)ないと、次は深刻な「原発差別」がふりかかって来るでしょう。どこか安全なところに落ち着いたら、自分たちが「原発」にどう対処してきたかを考えなおすことです。再出発はそれから。2011.3.22

(参考)
① http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110322-00000006-khk-l07
②原発の南16km、海で基準の16倍放射性物質読売新聞 322()1445分配信http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110322-00000616-yom-soci


東京電力は22日、福島第一原子力発電所から南に16キロメートル離れた岩沢海岸付近で21日夜に採取した海水から、原子炉等規制法が定める安全基準の164倍の放射性ヨウ素が検出されたと発表した

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/