マスクについて、マスクはしない、TVは見ないという読者から、こんな↓情報が入りました(ありがとう!)。
「 本日(11月18日)、東京新聞の一面に「マスク効果「富岳」太鼓判」の記事が載っていました。「富岳」とは理化学研究所のスーパーコンピューターだそうです。こういう記事は内容を理解できず、見出しだけで信じてしまいます。ワクチンでも94、5パーセント有効(米の企業)という記事がありましたが、テレビはもっと煽っているのでしょうか? コロナ騒動で他の重要なことは報道されず、忘れられていくのが心配です 」
検索しましたが、まだヒットしないのでどなたか内容を送っていただければ幸いです。
でも、この「富岳」によるマスクシミュレーションの報道は今回が初めてではなく、6月以来、いろんなメディアがくり返し報道していました。
たとえばこれ↓
「マスクに飛沫抑える効果あり」スパコン富岳が計算…不織布、通り抜ける粒子少なめ
www.yomiuri.co.jp › medical › 20200824-OYT1T50194 2020/08/25 —
…理化学研究所や神戸大などのチームは24日、計算速度世界一を誇るスーパーコンピュータ「富岳」を使って、飛沫を抑えるマスクの効果や、学校の教室などでの飛沫の拡散状況を予測した結果を公表した。不織布マスクやポリエステル製、綿製の布マスクはいずれも効果的なことがわかった。チームは3種類のマスクについて、せきを1回した時に飛沫をどの程度抑えるか調べた。その結果、不織布マスクは他の2種類に比べてマスクを通り抜ける飛沫の粒子の数が少なく、頬や鼻の隙間から漏れる粒子が多かった。一方、綿製はマスクを通り抜ける粒子の数が最も多かった。ただし、飛沫の体積をみると、不織布とポリエステルは8割ほど、綿でも7割ほどの飛沫がマスク内や顔に付着し、拡散を抑えられた。(後略)
最近ではこれ↓動画つき。
【特集】マスクは効果あり!? 世界一のスパコン富岳で調査 …
https://sun-tv.co.jp/suntvnews/news/2020/10/07/29460 2020/10/07(記事略)
いずれも、「マスク効果」を刷り込むための記事。「世界最大のスパコン」を持ち出した理由もそこにありますが、いつぞやの灯台教授の記事同様、まともな人は、反射的に「何、これ?」と感じるはずです…だから私に情報が来たのでしょう。これくらいなら、前記事のドクターによるタバコの煙実験( マスクはいかに役に立たないか 11/16) の方がよほど説得力がある。本来、このような発表に疑問を投げかけ、批判するのがメディアの役割ですが、ことコロナに関してはメディアはひたすら情報を横流して、政権・スポンサーと一体化しています。
で、以下はとりあえずの山本の感想です;
★これはあくまでも企業による「シミュレーション」に過ぎないので、そのまま信じないこと。というより、まず「疑う」こと。
★このような解析を行うには、3種類のマスクの材質、ウイルスに関するデータ、大気や風向、湿度や温度など、大量のデータの事前入力が必要です。このインプットは基本的にマニュアルだから、そこにバイアスが入り込む余地は大きい。それにデータ選出の適正さを保証するシステムなどもありません。つまりすべてが「任意」の世界です。
★ウイルスに関しては、飛沫感染のサイズが0.5マイクロメートル(mm)、飛沫核感染で0,1マイクロメートル(mm)としているけれど、このサイズが何に基づいているのか不明。それに飛沫「外」のウイルスはどう考慮するのか?
★それ以前に、コロナウイルスは分離さえされておらず、実態不明。その不明なウイルス研究対象とするのは不適当過ぎて、利権を感じる。
★ウイルス感染は、ウイルス自体の存在や挙動、人体との関係など未知なことばかりの複雑系の学問で、すべてを0か1で判断するコンピュータ学者などにわかるはずはない。なのに、「マスクは感染予防に役立つ」とはいったい何様のつもり?
で、念のため「富岳」について調べたら、それまでのスパコン「京」の後継機として開発中でした。運用開始は来年。↓Wiki
富岳(開発中) | 2021(予定) | – | 415 | 1300[19] | 28.3[23] | 2020年6月 1位 | 富士通 | A64FX(ARM) | Linux(RedHat) |
構築費は1300億円(10億米ドル。国費1100億円、民間200億円)。いや~これほど税金が使われ、海外のスパコンに比べ高額だとは(米のスパコン最大6億ドルに比べても高いとの指摘があった)・・・だからこそ理研はこれを「コロナ研究」に「活用」しようとしているわけです。↓Wki
2020年4月7日、理化学研究所は、整備中であり試行ではあるが、富岳を新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の性質の解明、および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬となりえる物質の探索などに利用する方針を発表した[1]。
…PCはモデルとシミュレーションの世界であり、生体や生(ナマ)の自然を対象にした研究にそのまま当てはめるわけにはゆきません。でも、PCの世界は競争が激しく、学者は「慎重」になるどころか、さらにその筋の研究を進めようとしています。
それを物語るのが↓のニュース。この「富岳」で行った研究がなんちゃら賞の最終候補になっていました。
~水槽実験や風洞実験がシミュレーションで完全代替できる時代到来
2020年11月13日 https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1288890.html
東京大学、みずほ情報総研株式会社、理化学研究所、一般財団法人 日本造船技術センターの研究グループによる、スパコン「富岳」を使った大規模数値流体シミュレーションに関する研究が、ゴードン・ベル賞の最終候補に選ばれた。11月16日から19日にわたってオンラインで開催される高性能計算に関する国際会議「SC20」で発表される。(後略)
運用開始前にこういう実験をくり返し、売込み先を確保していたなんてルール違反じゃないかと言いたい。それにもかかわらず、この研究はめでたく受賞を果たし、その成果はさまざまな産業の現場で使われることになるはず。そしてその過程において、現実の数値や、市民が行う測定値などは、事業の邪魔になるとして完全無視されることでしょう。テクノクラートが全面主導する社会はもうそこまで来ています。
2020.11.18