コメント(企業を守るアメリカのワクチン制度)

 「自閉症とワクチン、ミラノ地裁判決 (02/15)の記事の後半。解説部分で少し難しいかもしれませんが、アメリカ社会の「黒い現実」がよくわかるので、お読みくださいい。ただし訳はアバウト、それに健康省を厚労省と訳すなど、勝手に変えています。(翻訳:山本)
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 イタリアのこれら二つの判決は、いずれも「ワクチンと自閉症」を巡る激しい論争に、新しい局面を開くものだった。裁判所はどこも、公平で偏見のない決定を下す場所として機能することが求められている。今回のイタリアの判決は、ワクチンと自閉症に関連があると認めただけでなく、政府厚労省の決定を覆したという意味で、非常にすばらしい。まとめると、判決はMMRも、六価ワクチンもーーチメロサールとアルミニウムを含むーー自閉症を引き起こすと認めたのである。

 この判決は、アメリカのそれーーワクチン障害保障プログラムに関するアメリカ合衆国連邦裁判所、いわゆる「ワクチン法廷」の判決とは完全に矛盾している。アメリカでは2007年から2010年までの自閉症集団訴訟において、三名の特別主事と呼ばれる決定者たちが、六件のテストケースで、ワクチンで自閉症は起きなかったと認定した。主事の1人は、ワクチンで自閉症がおきるとの理論を、不思議の国のアリスに例えたほどだ。イタリアの法廷は、同様の訴えに対し、アメリカと対照的に厳しい判決を下している。

 この二つの判決の違いを私たちはどう考えればいいのだろう。イタリアでは何が違うのか? 大きな違いは、アメリカでは、保障を求めて政府を相手にした裁判に負けると、政府に民事の訴えは起こせず、メーカーを相手にすることしかできないということだ。家族にとって高額の保障費用はダビデ対巨人ゴリアテのように不釣り合いで、ただでさえ医療費支払いで苦しむ家族にとって大きな負担になるだろう。

 さらに、アメリカ最高裁は、2011年から、MMRのように、防腐剤チメロサールを使用しているとか、複数の生ウイルスを用いた同時接種のワクチンとか、不当に危険なワクチンに対する集団訴訟が起きることを想定し、これらを除外してしまった。最高裁のこの 2011 Bruesewitz v. Wyeth判例以来、全米どの裁判所も、ワクチンの欠陥に対する訴えーー巨大製薬会社を被告とする、もっともありそうな訴訟ーーを受け付けていない。

 アメリカのワクチン被害者と違って、イタリアの原告はGSK社を訴える必要はなく、厚労省を訴えればいいのだ。ミラノでもリミニでも、被害者はワクチンが自閉症を起こすという認定にもとづいて保障を勝ち取っている。被害を受けた子どもにとってはほんのちっぽけな支払いだという人もいるだろうが、訴訟を支えた家族や弁護士、医師にとって、この勝訴の意味するところは大きい。彼らはワクチン問題を公平な法廷の場に持ち込み、証拠にもとづいてこの上なく明らかな裁判所の回答ーーワクチンは自閉症を起こすーーを得たのだ

 裁判所の判決が科学的かといえば、もちろんそうではない。それどころか、逆に、自閉症に関しても、ワクチンの役割に関しても、いいかげんな医薬産業界に関しても、医学界と政府の逆襲に関しても、より多くの「科学」が必要なのだ。しかし、現在、ワクチンと自閉症に関する「必要な科学(の裏付け)」が欠落している状況では、この広範な証拠と証言にもとづいたこの公平な判決は、我々がもっている知識と洞察のもっとも素晴らしい情報源であろう。

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  イタリアの判例が今後、スタンダードになって行って欲しいものです。同時に、アメリカでは「企業が政府を支配している」現実、特に司法がこれほどまでに取り込まれているのがよくわかります。そりゃあ、よほどカツを入れないと、被害者は泣き寝入りでしょう。なお、記事を書いたメリー・ホランドはNYUの法学の研究者、ヘルスケアのNPOの顧問だそうです2015.2.17

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
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