除染廃棄物も燃やす、環境省の狂気

  少し前のニュースですが、福島県でも、除染廃棄物の焼却に市民が反対しています。ここで燃すのは「指定廃棄物」、焼却処理によって放射性物質の一部は大気中に拡散して広範囲を汚染し、一部は灰に濃縮されて厳重管理が必要な高レベル放射性廃棄物となります。・・・これは田村市だけの問題ではありません。
 福島第1原発事故 焼却炉なき本格除染 田村市、きょうから開始 国の説明に住民不信感
毎日新聞 2012年07月27日 東京朝刊
 東京電力福島第1原発の20キロ圏内を対象とした初の国直轄の本格除染が27日に始まる福島県田村市都路(みやこじ)地区で、除染廃棄物を燃やす仮設焼却炉を設置する環境省の計画に住民が反発、計画が暗礁に乗り上げていることが分かった地区への説明はわずか1カ月前で、住民は「安全に不安があるから説明が遅れたのではないか」と国への不信感を募らせている。
除染では草木など大量の廃棄物が発生するため、仮置き場の容量確保が課題だ。環境省は仮設焼却炉による廃棄物の減量を図ったが、焼却が見通せないまま国の本格除染が“見切り発車”されることになる。
 都路地区住民らによると、同省福島環境再生事務所が6月9日、住民への除染説明会を開いた。だが焼却炉の説明はなく、説明会後に地区役員を集めた場で、民有地への焼却炉設置計画が初めて明らかにされたという。同事務所は地権者の同意を得たとしたが、一部役員が住民への説明を求めた。このため同事務所は同24日、焼却炉に関する初の住民説明会を開催。焼却炉は排ガス中の微粒子を除去するバグフィルター(集じん器)付きで「放射性セシウムは検出限界以下になる」とし、10月運用開始などが示された。しかし計画地周辺の住民は「焼けばセシウムが濃縮されて危険だ」などと反発した。http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20120727ddm012040021000c.html
 除染廃棄物をどう「処理」するか、気になってはいましたが、さすが環境省。やっぱり初めから「全量焼却」の予定だったのか・・・そこに使われているロジックも、がれき広域処理に使われたのと同じ。除染すればするほど廃棄物が増え、それを燃やせば燃やすほど放射性物質が拡散される、それを決めるのは企業+官僚+一握りの地元ボス、というシステムもまったく同じ。
 私たちは、原発大国化を止めることもできず、フクイチを引き起こしてしまった。その結果、世界に放射能汚染を広げるという加害者になってしまったのです。少なくとも、これ以上、加害を広げてはなりません。福島県の人たちは、この不合理によく気づいてくれたと思います。彼らをバックアップして、がれき広域処理(焼却)と除染焼却という、政府の狂気を止めないと… 2012.8.20

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/