講演会を終えて

  昨日は「ラブキャナル」についてお話しする初めての機会でした。
  私自身が強い共感と感動をもって読み終えた本です。平日だし、
朝から雨、で、参加者はあまり多くはありませんでしたが、参加者の
真剣さが印象的でした。彼らに、キャナルの住民たちの深い苦悩と
勇気・正義感が伝わったでしょうか。
 会には横浜・金沢の「シンシア」、鶴見で進行中の「エコ・クリーン」
計画の反対者たちも参加していました。両方とも有害廃棄物焼却炉、
私も一時かかわりましたが、ほとんどの地域住民は動こうとせず、
シンシアは完成してしまいました。
 日本では、都市住民は戦わない。
 田舎や地方では、焼却炉や処分場ができると、生活が脅かされる
のがわかっているので、住民は必死で戦います。ところが、地方より
はるかに環境が悪い都市部では、市民は問題に鈍感・無関心、それ
どころか、反対運動に反発する向きもあります。企業や行政は、そう
いう住民感情を知り尽くしているからこそ、そこに汚染施設をもってく
るのだ、ということも知らずに。・
 公害問題は常に社会・政治体制を反映しています。そういう「政治
ルール」がわからないと市民は戦えない、私の話はそういうものでした。
 完成したものの、うまく稼動していないという話も多く聞きます。
 その理由もいろいろ。いずれにしても「ごみ」をとりまく政治環境は、
ここ数年、大きく変わりつつあるので、今後、建てても使えない焼却
炉が増えることでしょう。2009.10.1

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/