RDFの終焉2(みなかみ町のお粗末)

 数日前、「 RDFの終焉 (07/22) 」で、RDFの運命は尽きた、と書いたばかりなのに、小さい町ではまだまだ「RDFの神話」が続いていました。それにしてもみなかみ町のお粗末なこと…責任は町だけでなく、議会にも、市民にもあるがな。

 

ごみ燃料施設、稼働できず…町の責任問う声も

20180728https://www.yomiuri.co.jp/eco/20180727-OYT1T50059.html

 群馬県みなかみ町に今春建設された町のごみ固形化燃料RDFの有効利用実証実験施設が稼働できない状態になっている。町との協定で民間の熱供給会社が実験を進める計画で、施設は建設会社が建てた。だが、町がRDFを一般廃棄物として処理しているため、県は「有価物(の燃料)と認めにくい」と、施設設置の届け出を受理していない。関係者からは町の責任を問う声が出ている。

 実験施設は、町の日帰り温泉施設「遊神館」に隣接する町有地にある。町のごみ処理場「奥利根アメニティパーク」にある施設で生成されたRDFを使い、ボイラーで遊神館のお湯を温めるため、実証実験で熱源としての有効性を確かめる計画だ。町は1998年から、RDFを燃やして発電し、処理場の電力に使っていた。だが、2006年に発電設備が故障。修繕費を検討した結果、発電は休止した。RDFは年間約2500トン生成されるため燃料として売却を始めたが、売却先が減少し、昨年度からは一般廃棄物として県外業者に処理を委託。町が支払う委託費は年間約1億円に上る

 この委託費や遊神館の運営費を抑制しようと、町は岸良昌・前町長時代の昨年10月、熱源利用の実験を進める協定を民間の熱供給会社と結んだ。構想に賛同した町内の建設会社が施設を建設し、設置も運営も民間が担う形となった。しかし、建設会社が大気汚染防止法に基づく施設設置届を今年4月に県に提出したところ、町のRDFが廃棄物として処理されていることが問題視された。民間事業で廃棄物を燃やす場合には事前調査を含む別の手続きが必要になるため、県は届け出の扱いを「保留」とした。町が主導的立場なのに「民設民営」で実験が進められることについても、県は「責任の所在が曖昧で、町の役割が不明確だ」と指摘する。

 町担当者は読売新聞の取材に対し、実証実験で効果が確認できた後、「軌道に乗った段階で町が施設を買い取ることが検討された」としている。建設会社の社長も「町の計画だから進めた」と話すが、施設稼働の行方が不透明になったことで、「頓挫したら、町に費用を請求する」と、町の責任を問う構えだ。この問題には、町議会からも「実証実験の中止も視野に議論すべきだ」との意見が出ており、町は、事業者との協定を含め、計画の大幅な見直しを迫られる可能性がある。

 ◆ごみ固形化燃料RDF=生ごみや紙などの可燃ごみを砕いて圧縮、乾燥させて直径1~5センチ大の円筒状に加工したもの。体積は元のごみの約5分の1となる。RDFの生成施設は、ダイオキシン規制に対応した大型焼却炉を造れない小規模自治体が国の補助制度を使って建設を進めた。県内ではみなかみ町と神流町で稼働している

 まったくご愁傷さまです。

 RDF発電施設は十年もたたないうちに使い物にならなくなり、燃料としても売れなくなったため、外部に処理を委託したわけですが、ここまではRDFをあきらめたほかの自治体とほぼ同じ運命です。

 ところがみなかみ町には助っ人が現れた。この事業者が、行き場がなくなったRDFを処理して温水供給に使うよ、施設も作るよ、ということで、町も飛びついたのでしょう。ところが、事業者はこの施設をおそらく「熱源供給施設」などとして届けた。でも、この施設、本来は「廃棄物処理施設」であり、アセスや説明会など廃棄物処理法にもとづく手続きが必要。RDFの原料は所詮、「ごみ」だから、それを燃やす施設には、当然、バグフィルターなど、さまざまな排ガスクリーニング装置が整備されていなければなりません。でも、写真を見る限り、この施設には煙突さえなさそう・・・稼動したら、大変な大気汚染は避けられません。温泉施設なんか利用できなくなるって。これにはさすがの環境汚染省も待ったをかけたわけですが、本来なら、「保留」ではなく、「不許可」とすべき案件です。

 みなかみ町の新RDF処理施設は、適正な手続きを経ずに一廃を処理する計画で、もちろん違法です。こんな馬鹿なことがまかり通っているのは、田舎町の町長は法令を無視する傾向にあるからか。でも、担当者は問題を十分知っていたはず。それに、議員だってこの事業のことを知っていたはずなのに、途中で待ったをかけることもなく、今になって「実験の中止も視野に」だって?

 ま~、これに反応できる市民がいればいいのですが。私なら、すべての協定を破棄させ、施設を即刻解体し、前町長を初めとした関係者に責任を取らせますね(もちろんとことん調べた上で)。誰が損したかは不明ですが、少なくとも税金でこの問題を収めることなどないように。2018.7.29

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/