諏訪湖周広域ごみ処分場、水面下取引が終わっていた

 長野県諏訪湖周広域のごみ処分場問題の続報が入っています。この件に関しては、本ブログでも二度ほど取り上げました。

辰野の処分場計画、白紙か?(長野県) | WONDERFUL WORLD 2017210

処分場計画 下流の辰野町が反対運動(長野県) | WONDERFUL WORLD 2017717

 

溝埋まらず平行線 板沢のごみ最終処分場計画

社会 201827600http://www.nagano-np.co.jp/articles/27920

 諏訪市の金子ゆかり市長は6日、湖周行政事務組合が同市板沢で計画するごみ最終処分場について、下流域に当たる辰野町の板沢地区最終処分場建設阻止期成同盟会の役員と同町平出コミュニティセンターで懇談した。用地選定を担った諏訪市の金子市長と期成同盟会が懇談するのは昨年7月以来。今回も双方の溝は埋まらず、議論は平行線のままだった。

 金子市長は2017年度の組合予算に盛った事前調査の事業費は減額する一方、18年度の当初予算に改めて計上したいと説明。「事前調査を実施しなければ水環境や地盤の疑問に答えられない」として理解を求め、「将来にわたりごみを安定処理するためには、なくてはならない施設」と述べた。一方、同盟会の林龍太郎会長は「有賀峠を越えて辰野側に造らないでほしい」と改めて強調。同市が1962年にし尿の投棄場所を有賀峠の辰野町側に計画して町民が猛反発した問題にも触れ、「(市町の)境界ではなく、尾根で考えることが常識ではないか」とし、事前調査費は18年度当初予算にも盛らないよう求めた。

 懇談は冒頭以外非公開。終了後、金子市長は「双方が理解を進めるための一つの段階。辰野町の皆さんに理解をいただけるように取り組む」。同盟会側が18年度の予算に事前調査費を計上しないよう求めたことについては「コメントを控えたい」とした。一方、期成同盟会の林会長は「歩み寄りも進展もなく、平行線のままだった」とした上で、「金子市長らは『辰野の住民の同意なくして予算執行しない』と改めて言っていた。こちらは条件闘争をするつもりはなく、願いは一つだ」と重ねて白紙撤回を求めた。

 

 簡単にとまるはずだったのに、まだ止まっていなかった。それどころか、市は二年にわたり事業費が支出できなかったのにまた新年度に調査費を計上すると言い、さらに「双方が理解を進めるための段階」だなどといっている。・・・こういう場合、事業者は何らかの「王手」を抑えているものですが、それは何か?

 調べるとすぐわかりました。「土地」に関する契約が済んでいたのですね。問題が表面化する一年前のことです。

 「・・・諏訪市によると、地権者は板沢区や区民の18者。(2016年)9月20日には組合や市、区が最終処分場に関する合意書と土地賃貸借契約書に調印した。賃貸借期間は30年。一部買収する土地もあるという」

http://www.nagano-np.co.jp/articles/8897

 この数行だけ見ても、この事業に関しては①組合構成自治体が市民に問題を説明していなかったこと、②「区長の合意」はおそらく独断であろうこと(でなければ反対がおきるはずがない)、③事業用地を買い取りではなく長期賃貸としたこと、などいろいろ問題(=違法性)があるようです。こういう背景があるなら、予算計上そのものも違法。反対期成同盟なら、こういう点をつつかないと駄目じゃない。2018.2.8

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
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