濃縮ウランを隠し持っていた

 このニュース、日本の「核開発疑惑」を裏付けるような情報で驚きましたが、メディアはほとんど関心を示していません。というか、この問題の深刻さに人々の目を向けさせまいとしているのでしょうね。この翌日、野田番頭が「収束宣言」を出し、こちらの方が波紋を広げているのだから。

 国内廃棄物に大量の核物質 未計量や未報告の濃縮ウラン4トン


2011/12/15 02:09 【共同通信】http://www.47news.jp/CN/201112/CN2011121401001888.html


政府が国際原子力機関(IAEA)の保障措置(査察)の対象となっている全国の262施設を調査した結果、計量や報告をしていない濃縮ウランやプルトニウムなど核物質が廃棄物から大量に見つかったことが14日、分かった。政府は国際社会の批判を避けるためIAEAへの申告を急ぎ、水面下で協議を始めた。複数の政府高官が明らかにした。中でも政府系研究所で高濃縮ウラン約28キロ、原子力燃料製造企業で約4トンの低濃縮ウランがそれぞれ未計量だったケースを重視して調べている。中部、北陸、中国の3電力会社などにも未計量とみられる核物質があり、確認を進めている。
 
 共同通信のオリジナル版(多分)には、このニュースの次に以下の記事が続いています。
 日本が査察を受け入れる保障措置協定は1977年発効。核物質は兵器に転用されないことを保障するため計量管理し、IAEAに報告する義務がある。今回の未計量の核物質の多くは協定以前の廃棄物に含まれ、分散して処分されている。兵器やテロに使われる懸念や安全上の危険には直ちに結び付かないが、政府が国際社会に対して十分な説明責任を果たさなければ、IAEA理事会などで問題視される恐れがある。政府高官は、日本がIAEAに来年提出する保障措置報告にクレームがつく可能性も否定できないと述べた。
 「兵器やテロに使われる懸念はない・・・」とありますが、濃縮ウランは核武器―原爆製造の材料となるため、厳しい管理が求められているのです。1977年の協定の前に入手したから未申告でいい、なんて言い訳は通りません。特に、プルトニウムは、長崎に落とされた「ファットマン」型原爆の材料であり、これを隠し持っていたということは、巷に広がる、「日本のひそかな核開発疑惑」を裏付けることになります。
 実はこれらの濃縮ウランは、「実験用にアメリカから買ってきた」もの。2.8キロの高濃縮ウランは茨城県東海村の研究所に、4トンの低濃縮ウランは核燃料生産企業に「保管」されていたわけですが、プルトニウムの調達先は不明。これがイランなら、「核テロ行為」として、アメリカはとっくの昔に全土を攻撃していたでしょう。それができなかったのは、「これだ」という証拠がないから。
 イランは毎年、IAEAにきちんと報告をきちんとあげています。今年12月18日にも、20%の濃縮ウラン70キロを生産したと発表していますが、IAEAの天野とアメリカ政府はその報告を頭から否定し、核弾頭開発疑惑を主張して、攻撃姿勢を強めています。そのイランよりはるかに多い濃縮ウラン+プルトニウムを、日本は持っていたわけですが、アメリカがこれについて一言も発しないのは、日米同盟の利害が関係しているからでしょう。秘密も共有。放射能汚染と同じように、一般市民には知らせないのです。
 国際社会の日本批判はさらに強まるでしょう。アジアでは、放射能汚染を「(アジア侵略戦争につぐ)第二の大迷惑」ととらえる声もあり、警戒心も新たになるはずです。日本が本当は、何のために(どんな実験のため)、どこから(企業)、どれくらいの量を買い、どこにどれくらい保管しているのか、私たちは政府に説明を求める権利と義務があります。2011.12.20
 (参考)
http://v.ifeng.com/news/opinion/201112/40642c92-1a05-4a1a-a8a3-319e761bbd2b.shtml
http://v.ifeng.com/news/world/201110/53d707a8-e2f3-41ae-8dd9-dd26972ac98b.shtml
http://sankei.jp.msn.com/world/news/111106/mds11110622490007-n1.htm

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/