新潟がれき訴訟始まる

  がれき訴訟はいくつか起こされていますが、新潟・三条市でも第1回目の法廷が開かれた、と連絡が入りました。訴状は見ていませんが、住民の恨みはかなり強いようで、それが市長個人を訴えることになったようです。がれき受入自治体は、どこも、市民が求める「必要性」と「合理性」「合法性」についての説明を避け、議論を一方的に打ち切る形で「強制執行」したのは誰もが認めるところ。黒岩相手の訴訟を見据えて、ちょっと勉強してみよう。

震災ガレキ処分損害賠償請求住民訴訟第1回

20131025
http://www.palge.com/news/h25/10/20131025sosyou.htm

 新潟県三条市が受け入れた震災廃棄物広域処理などにかかった費用49822500円を、國定勇人市長個人が同市に返還するよう求める「三条震災ガレキ処分損害賠償請求住民訴訟事件」の1回目の裁判が、24日午後130分から、新潟地方裁判所第1号法廷で開かれ、原告の伊藤得三さん、原告代理人の弁護士2人が意見陳述を行った。
 原告の伊藤さんは、震災廃棄物広域処理受入れを巡って、市側に全市的な市民学習会の開催要望、公開質問状や抗議文の提出、住民監査までの経過を説明し、「わたしたちが本気を出して聞こうが、頼もうが、全部無視。最終的には月岡処分場が放射能で汚染されました。あれほど反対したのに、今となっては何の役にも立たなかった。涙があふれ出て、むなしく、悔しくて、やりどころのない気持ちになりました。この問題を取り上げて頂き、市民を無視した行政のやり方を改善していただきたいと思います」と涙ながらに大竹優子裁判長に訴えた。被告側は訴えに対し今月16日付けで、原告の請求を棄却して、訴訟費用は原告側が負担するよう求める答弁書を提出し、この日は、國定市長、代理人弁護士とも欠席した

 大竹裁判長は、原告の訴状を確認し「支出を問題にしている。会計や経理の担当者が当該職員にあたるのでないか。債務負担行為自体を問題にするのか、どの行為を問題にするのか整理して下さい」と原告に求めた。裁判後に記者団に答えた原告代理人の齋藤裕弁護士によると「裁判所は、國定さんの責任を問うとしたら、契約の時じゃないかと。そうだとすると、何月何日に誰と契約したのかというものが出ていないので、そこを整理してほしいとした」と述べ、主張を整理、補正するとした。原告の意見陳述を含めて裁判は25分ほど。傍聴席には約30人が詰めかけた。

 意見陳述では伊藤さんの訴えを補足するかたちで、齋藤弁護士、中村周而弁護士の主張を二宮淳悟弁護士が代読した。齋藤弁護士は「自治体の違法な支出を問うと同時に、国の震災廃棄物広域処理政策を問うものでもある。三条市で処理されたガレキは全体の20分の1であり、なぜ域内で処理できなかったのか、20分の1を広域処理することでどういった効果があったのか、莫大な運搬費をかけてやることに対して、きずなとか、被災地から言われたからなどといった抽象的な説明しかない。三条市の無駄遣いを問うだけでなく、東日本大震災による国費の無駄遣いを問い、今後の起きうる大震災による無駄遣いを防ぐもの」と主張。二宮弁護士も、万一の異変や事故に対する責任問題、セシウム吸着モールやネットの科学的な根拠、持続期間の解明を重要視した審理を求める中村弁護士の主張を代読した。次回の裁判は12月26日(木)午前11時30分から
。2013.10.16

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
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